CYP3A、P-糖蛋白質(P-gp)を阻害する。[16.4、16.7.1
マクロライド系抗菌薬を大別すると,14員環系,15員環系,16員環系の3つに分けられる。14員環系マクロライドのエリスロマイシン(EM)やクラリスロマイシン(CAM)はシトクロムP450(CYP)3A4との結合親和性がきわめて強く,強力なCYP阻害作用を有するため,同様にCYPで代謝される薬物の血中濃度を上昇させることが知られている。また,消化管および腎近位尿細管に発現するP-糖タンパク質(P-gp)の阻害作用も有するため,CYP3A4基質でなくてもP-gp基質である薬剤については,CYPを阻害しない15員環系マクロライドのアジスロマイシン(AZM)においても,併用投与による血中濃度上昇に注意が必要である。
肝臓P糖蛋白質(P-gp)活性に及ぼすクラリスロマイシン(CAM)の影響
イトラコナゾールの経口製剤とダビガトランを併用した臨床試験はこれまでに実施されていないが,イトラコナゾールの類薬で,強いP糖蛋白質阻害作用を示すケトコナゾール(経口製剤はわが国未発売)を併用し,ダビガトランの体内動態への影響を検討した臨床試験が実施されている1)。
ダビガトラン150mgとケトコナゾール400mgをそれぞれ同時に単回経口投与した臨床試験では,ダビガトランの最高血中濃度(Cmax )は2.35倍,血中濃度─時間曲線下面積(AUC)0-∞ は2.37倍に上昇している(表1)。またケトコナゾール400mgを反復投与し,最終投与時にダビガトラン150mgを同時投与した場合でもCmax,AUC0-∞が単回投与時と同程度(2.49倍および2.52倍)に上昇することが示されている。一方,総ダビガトランの消失半減期 (t1/2)は単回投与でも反復投与でも延長しなかった(単回:非併用7.31時間vs. 併用7.17時間)。
類薬のケトコナゾールとの併用試験により強い相互作用が認められたことから,同様に強いP糖蛋白質阻害作用を示すイトラコナゾールの経口製剤を併用した場合でも,ダビガトランの血中濃度が2~2.5倍程度に上昇する恐れがある。経口抗凝固薬は2倍程度の血中濃度の上昇でも,出血などの副作用が増加する可能性があるため,併用禁忌に設定されている。
以下に、薬物相互作用試験で認められた薬物動態への影響をまとめた。
また、本剤はCYP3A、P-糖蛋白質(P-gp)を阻害する。[16.4、
ベラパミル,アミオダロン,キニジン,クラリスロマイシンなどのP糖蛋白質を阻害する医薬品は,ダビガトランと併用注意となっている。健康成人を対象とした臨床試験により,これらの医薬品をダビガトランと併用した場合,総ダビガトラン(ダビガトランと同等の抗凝固作用を示すグルクロン酸抱合体の総和)のAUCとCmax が1.5~2.5倍程度に上昇することが示されている(表1)1)2)。
P-糖タンパク質(P-糖タンパク質、PDBエントリー )は毒性分子から細胞を守っている最も一般的な分子ポンプである。このポンプは細胞膜の中にあって、異質な疎水性分子を探している。それが見つかると、分子をつかんで自身が持つ窪みの奥深くへと入れ、ポンプは新しい構造へと変化する。新しい構造では細胞の外側に口が開いており、そこから分子は排出される。過程全体はATPの動力によって動いており、それによって確実に全てタイミング良く行われるようにしている。
本剤による抗凝固作用が増強することがある。 P-糖蛋白阻害剤(経口剤)
もちろんP-糖タンパク質がこの仕事を効果的に行うには、様々な種類の分子を排出できる必要がある。実際、P-糖タンパク質は分子の大きさが数十原子から数百原子までの幅がある、何百種類もの分子を排出することが分かっている。そのほとんどは疎水性で、通常膜内で見られるものである。この中には多くの毒性分子が含まれるが、シクロスポリン(cyclosporin、免疫抑制薬)や抗がん剤のように重要な薬も含まれる。そのため、P-糖タンパク質の働きは利のあるものとも害のあるものともなりうる、すなわち毒から私たちを守ってくれるが、一方で摂取した治療薬の効果を減らしてしまうことにもなるのである。なお、がんの化学療法におけるP-糖タンパク質の役割については後述する。
転移性がん(metastatic cancer)におけるがん細胞は特に治療が難しいことが多い。なぜなら様々な抗がん剤に対して耐性を持つようになってしまうからである。がん細胞は余分にP-糖タンパク質を構築して、絶えず抗がん剤を排出することで多剤耐性を獲得する場合があるのである。そこで、がん細胞におけるP-糖タンパク質の働きを阻害し、抗がん治療が効くようにする方法を見つけるための研究が精力的に行われている。一つの解決方法は、ここに示すような(antibody、PDBエントリー )を使う方法である。抗体はP-糖タンパク質の中の小さな領域(緑色の部分)に結合し、ポンプが動作するのに必要な動きを妨げる。また別の方法として、タンパク質の活性部位にとどまる薬剤を見つけ、内側から動作を妨げるという方法もある。
た、CYP3A4/5及びP糖蛋白に対して阻害作用を示す。 併用注意 ..
イサブコナゾールはCYP3A(CYP3A4及びCYP3A5)の基質である。イサブコナゾールは、CYP3A、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)1A1の阻害剤である。
また、イサブコナゾールは、P糖蛋白(P-gp)、乳癌耐性蛋白質(BCRP)、有機カチオントランスポーター(OCT)2及び多剤・毒性化合物排出蛋白(MATE)1の阻害剤である。イサブコナゾールは、CYP1A2、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C8及びCYP2C9の誘導剤である。
P-糖タンパク質は、2つに折りたたまれ似たような半分同士となった1本の長い鎖でできている。上図では、一方の半分を青で、もう一方の半分を緑で示している。この両者をつなぐ短いタンパク質片はこの結晶構造では示されておらず、代わりに赤紫色の点線で示している。両方の「半分」がいかに似ているか、そして両者が重なっている領域がいかに広いかに注目して欲しい。これはタンパク質の進化の過程で遺伝子の重複が起こり、このように似た半分同士がつながって1本の長いタンパク質になったためだと考えられている。
CYP3A4、P-糖蛋白を阻害する薬物の併用時は濃度上昇に注意が必要である。 ・免疫 ..
P-糖タンパク質を阻害する医薬品と影響を受ける医薬品
P糖タンパク質』は、毒性のある物質を体の細胞の中に入れないようにする ..
また、60kgを超える患者でも、クレアチニンクリアランスが50mL/min以下である場合や、P糖蛋白阻害薬を使用している場合は減量しなくてはなりません。
5 C群に属し、P‑糖タンパク質によって脳内への移行が妨げられる。 ⎜ 16⎜
P-糖タンパク質に関連する薬品はCYP3A4に関連する薬とだいたい同じです。あとはP-糖タンパク質を阻害する薬品としてベラパミル、影響を受ける主な医薬品としてはダビガトラン、ジゴキシンを覚えておけば国試対策としては十分でしょう。語呂合わせ:ベラの旅路
⇨ P-糖タンパク質 (P-gp) や, 乳がん耐性タンパク質
リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタールや健康食品のセントジョーンズワートは、ほぼすべての種類のCYP(CYP2D6を除く)およびP-糖タンパク質を誘導し、ベンゾジアゼピン系薬剤などの医薬品の代謝・排泄を促進します。
また、本剤は、P-糖蛋白質に対する阻害作用を有することから、P-糖蛋白
クラリス(一般名:クラリスロマイシン)とはマクロライド系の抗生物質です。従来のマクロライド系抗生物質であるエリスロマイシンを改良してできたものであり、ニューマクロライドともいわれています。抗生物質の代表といえるのはβラクタム薬(ペニシリン系、セフェム系等)ですが、マクロライド系も肺炎球菌をはじめとするグラム陽性菌、インフルエンザ菌や百日咳菌など一部のグラム陰性菌、嫌気性菌、非定型菌のマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなど多くの細菌に対して効力を発揮します。いろいろな細菌に有効なので、呼吸器系の領域を中心に多くの診療科で処方されています。多くは咽頭炎・肺炎・中耳炎などに対する処方です。消化器領域ではピロリ菌の除菌薬としても数多く処方されています。皮膚科領域においては、感染を伴う、表在性/深在性皮膚感染症、リンパ管/節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍などの疾患に対して選択されることがあります。
(6)CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)
クラリスに最も特徴的なのは、一般的な抗生物質が効かないマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなどの非定型細菌にも有効であることです。マイコプラズマは肺炎を引き起こすことで有名ですが、皮膚に感染して皮膚に治りにくい傷を作る原因になることもあります。またクラミジアは性感染症の原因となり、外陰部に痛みや痒みを引き起こします。マイコバクテリウムは皮膚の下で膿を作り、ジクジクとした傷を引き起こす原因菌です。これらはどれも稀な病気で抗生物質が効きにくいのが特徴ですが、クラリスは比較的よく効きます。またクラリスが改良される前の薬であるエリスロマイシンには胃酸によって効力が落ちるという弱点がありましたが、クラリスは胃酸の影響をほとんど受けません。体内にしっかりと吸収されるため、1日2回の服用で十分な治療効果が得られます。その他の特徴として、クラリスはアレルギーを起こしにくいとされています。βラクタム系の抗生物質に対してアレルギーがある人でも使用可能です。ただし他の薬と相互作用を起こしやすいので、飲み合わせには注意が必要です。
*クラリスロマイシン錠50mg小児用「CEO」では「2.相互作用」です。 Page 2
一般的な感染症であれば、服用開始から2~5日程度で症状が改善してきます。
ただし、症状が良くなったからといってすぐに服用を中止してはいけません。症状をしっかり改善し、かつ耐性菌の発現を防ぐためには一定期間服用を続けなければいけません。
したがって、重篤な副作用などがない限り、処方されたクラリスロマイシンは飲み切るようにしてください。