不眠症治療薬と QOL: MT1/MT2 受容体作動薬 ラメルテオンの研究開発
メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン, タシメルテオン*, アゴメラチン)とパーキンソン病との関連は、報告オッズ比(ROR)によって評価された。FAERSに登録された全患者のデータを解析したところ、ラメルテオン(ROR: 0.66, 95%信頼区間;95%CI:0.51-0.84)とタシメルテオン(ROR: 0.49, 95%CI: 0.38-0.62)はパーキンソン病と負の相関を示しました。逆に、アゴメラチンだけがパーキンソン病と正の相関を示しました(ROR: 2.63、95%CI: 2.04-3.40)。男性、女性それぞれ層別解析も実施しましたが、同様な関連性を示しました。
図2:活性化状態のメラトニン受容体 MT1 による作動薬ラメルテオンと認識機構.
「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」では、多剤併用が有効とのエビデンスはなく、併用の臨床試験も行われていない。代替として、メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)や抗うつ薬等の使用もしくは併用が選択肢となるが、症例に応じて使用する。
本研究では、FDA(米国食品医薬品局)によって集積された個別症例安全性報告のデータベース(FAERS)を用いて、メラトニン受容体作動薬とパーキンソン病との関連性について調査しました。
高齢者に対する眠剤 【より安全性が高いとされる,作用機序の異なる新たな眠剤(メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬)の登場】
黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの進行性喪失、α-シヌクレイン(α-syn)からなるレビー小体およびレビー神経突起の形成は、パーキンソン病の主要な病理学的特徴で、ドーパミンニューロンにおけるα-synの蓄積はアポトーシスを誘導し、最終的にパーキンソン病の症状を引き起こします。
先行研究の動物実験では、メラトニン受容体作動薬が、MT1受容体の活性化やPARP阻害により、α-synの凝集を抑制することによって抗パーキンソン作用を示す可能性や、アゴメラチンがPARP1の発現を変化することなく、カスパーゼ3を発現し、アポトーシス関連因子の誘導することにより、パーキンソン症状を示す可能性が示唆されていました。
総合病院精神科でのメラトニン受容体作動薬ラメルテオンの使用経験
オレキシン受容体拮抗薬に分類される新しい睡眠薬です。夜間の途中に目が覚めたり、朝早い時間に目覚めてしまう症状を改善する効果があります。
本研究では、個別症例安全性報告を用いた、ヒトを対象にメラトニン受容体作動薬とパーキンソン病との関連性を評価した初めての報告です。本研究で示されたメラトニン受容体作動薬とパーキンソン病との関連性については、パーキンソン病の新規治療戦略につながることが期待されます。
2010年代になると,GABA受容体に作用しない新しい作用機序の睡眠薬
ラメルテオンは体内時計のリズムを整えている生理的な物質に働くことで、睡眠を促していくお薬になります。
初診時の平均睡眠スケジュールは平日が3:21~11:03、休日が3:45~12:30でした。体内時計/クロノタイプの指標として知られるMSFsc(生理的な睡眠時間帯の中間時刻)は7:41でした。初診時は平均18:10(中央値18:00)に、平均0.653mg(中央値1/14錠)のラメルテオン投与が行われ、うちいくつかの症例では投与直後の眠気/倦怠感のためにさらに減量が行われ、最終的に平均投与量は0.571mg (1/7~1/50錠)となりました。この結果、平均約40日後の時点で、平均睡眠スケジュールは平日が0:17~8:43、休日が0:30~9:27、MSFscは4:46と、約3時間の大幅な前進が見られました(対応のあるt検定:p
オレキシン受容体拮抗薬 | 脳疾患を知る | 桑名眼科脳神経クリニック
同成果は、東大大学院 理学系研究科 生物科学専攻の岡本紘幸大学院生、東北大大学院 薬学研究科の井上飛鳥准教授、東大大学院 理学系研究科 生物科学専攻の西澤知宏准教授(研究当時、現・横市大大学院 生命医科学研究科 生体膜ダイナミクス研究室 教授)、東大大学院 理学系研究科 生物科学専攻の濡木理教授、関西医大 医学部 医化学講座の寿野良二講師、同・清水(小林)拓也教授、京大大学院 医学研究科 分子細胞情報学分野の野村紀通准教授、同・岩田想教授らの共同研究チームによるもの。
[PDF] メラトニン受容体アゴニスト ラメルテオン錠 Ramelteon Tablets
高齢者は,加齢により早朝覚醒・中途覚醒の頻度が増え睡眠時間が減少するが,その原因は体内時計の調節機能低下にあると考えられる1)。眠剤としてはベンゾジアゼピン(BZD)系薬剤,非ベンゾジアゼピン(非BZD)系薬剤が多く処方されてきたが,2014年にメラトニン受容体作動薬,15年にオレキシン受容体拮抗薬の国内販売が新たに開始された。BZD系薬剤は多くの種類が発売されているが,中には長期服用により耐性,依存性を生じている高齢者も多く,認知機能への影響も危惧される2)。非BZD系薬剤は,BZD系薬剤に比較すると筋弛緩作用は弱く,転倒リスクが低く安全性は高いが,耐性や依存性が指摘されている。
睡眠に関わるホルモン「メラトニン」と同様の働きをする「メラトニン受容体作動薬」というお薬があります。 ..
ラメルテオンは、体内時計を調整するメラトニン受容体(MT2)に対してメラトニンの16.9倍の作用をもたらすほか、ラメルテオンが体内で代謝されて生じるM-IIという物質もメラトニンの2/3程度の作用をもたらします(IC50)。問題は、体内で自然に分泌されるメラトニン自体は血液内に上記のとおり、どれだけ多くても夜間ピークで100pg/mL(0.1ng/mL)という程度でしか存在しないのに対し、ラメルテオンを1錠(8mg)投与すると、M-IIは54ng/mL(54000pg/mL)と、生理的なピーク濃度の少なくとも500倍程度以上の血中濃度を示します。さらにはM-IIは半減期(体から半分抜けていく時間)が2時間程度であるため、仮に就寝前の0時に服用した場合、12時間経過したあとも1/64が体内に残存していることになります(2^6=64)。これは、真昼の12時であってもメラトニンの夜間ピーク濃度の10倍程度以上の血中物質濃度、そして約6倍以上の受容体活性が残存することとなります。受容体活性(IC50)を反映したモデル図を以下に示します。
[PDF] ベンゾジアゼピン受容体作動薬は, 催眠・鎮静作用 ..
本研究は、実践薬学大講座 病院薬学研究室により実施され、研究成果は、すべての脊椎動物種における松果体とそのホルモン生成物、主にメラトニンに関する研究をカバーする査読付きの科学ジャーナルである「Journal of Pineal Research」(掲載時Impact Factor: 8.3)に掲載されました。
[メラトニン受容体作動薬] 体内時計を調節するホルモンであるメ
今回は睡眠薬の中でも作用が特徴的なメラトニン受容体作動薬ロゼレムについてお話していきます。
メラトニン受容体作動性入眠改善剤」です。 投与対象となるのは米国の診断基準 ..
新たに発売されたメラトニン受容体作動薬は,BZD系薬剤に比べると耐性や依存性はなく,副作用も少なく安全性が高いとされる。松果体から放出される睡眠ホルモンであるメラトニンと同様にメラトニン受容体を刺激することで睡眠を促す。一方,オレキシン受容体拮抗薬は視床下部から放出される覚醒ホルモンであるオレキシンを阻害し,覚醒レベルを低下させることで眠りに導く。やはりBZD系薬剤に比べ耐性や依存性が少なく,日中への持ち越し効果は小さいとされる。ただし,新たに発売されたこれら2つの薬剤は,高齢者への安全性や有効性に対するデータが乏しいのも現状であり,今後のデータの蓄積が望まれる。
メラトニン受容体作動剤(読み)メラトニンジュヨウタイサドウザイ
メラトニン受容体作動薬は、2010年に発売された新しいタイプの睡眠薬です。
従来の睡眠薬とは作用のしくみが異なり、メラトニン受容体を刺激し、生理的に覚醒と睡眠を切り替えて自然な眠りを促すはたらきがあります。
しかし、ロゼレムの方がメラトニン受容体への親和性が高く、催眠効果が高いのではないかと予想はできます。
メラトニン受容体作動薬 · -melteon · Target · D08170
岡本 紘幸(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 博士課程1年)
井上 飛鳥(東北大学大学院薬学研究科 准教授)
西澤 知宏(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 准教授(研究当時)/横浜市立大学大学院生命医科学研究科 生体膜ダイナミクス研究室 教授(現所属)
濡木 理(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授)
寿野 良二(関西医科大学医学部 医化学講座 講師)
清水(小林) 拓也(関西医科大学医学部 医化学講座 教授)
野村 紀通(京都大学大学院医学研究科 分子細胞情報学分野 准教授)
岩田 想(京都大学大学院医学研究科 分子細胞情報学分野 教授)
メカニズムを利用しているので、副作用は少なく依存性もありません。ここでは、メラトニンやメラトニン受容体作動薬 ..
睡眠は我々の生命維持に必須であり、ホルモンなど多様な情報伝達物質で制御されます。本研究で着目したメラトニンは特に睡眠の誘導で中心的な役割を果たし、その過程ではGPCRの一種であるメラトニン受容体とGiタンパク質三量体による神経細胞の活動を抑制するシグナルが重要となります。メラトニン受容体は睡眠障害に対する治療標的として注目され、2010年に不眠症治療薬ラメルテオン(商品名ロゼレム)が承認されています。そのため、メラトニン受容体を含むシグナル伝達複合体の構造決定は睡眠のメカニズムの原子レベルでの理解のみならず、より効果的な薬の開発に貢献します。近年メラトニン受容体の結晶構造が報告されましたが、これらは不活性型構造を示しており、メラトニン受容体の活性化に伴う構造変化やシグナル伝達因子であるGiタンパク質三量体と選択的に共役する機構は不明なままでした。
発に着手し、動物試験において、MT1 及び MT2 受容体に選
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬でみられるような記憶障害、運動障害、依存性が認められません。さらに、反復投与を行っても、耐性や反跳性不眠は出現しません。
医療用医薬品、OTC医薬品の薬価・添付文書情報を網羅し、関連文献と共に提供するWebサイトです.
今回、東京大学大学院理学系研究科の濡木理教授らのグループは、クライオ電子顕微鏡による単粒子解析法でメラトニン受容体MT1とGiタンパク質三量体で構成されるシグナル伝達複合体の立体構造を解明しました。さらに国内外の複数の研究室との共同研究の下で機能解析やバイオインフォマティクス解析を行い、受容体の活性化メカニズムやGiタンパク質三量体と選択的に結合する機構を明らかにしました。この研究成果により、睡眠障害の治療薬開発が促進されると共に、GPCRとGタンパク質との選択的なシグナル伝達に関する研究が進展することが期待されます。