本邦でICS単剤・マクロライド系抗菌薬はCOPDに保険適用ではなく、クラリスロマイシンが好中球性炎症性気道疾患


個人的には実際の臨床現場において「クラリスロマイシン200mgを1日1回」で投与されるケースが散見されます。
投与期間については、慢性副鼻腔炎に用いる場合は3〜6ヶ月と報告されていますが、COPDや中耳炎に関しては明確にはされていません。


具体的な投与量はスライド81を参照)。 *2:非定型肺炎が疑われる場合:クラリスロマイシン、アジスロマイシン

マクロライド少量長期投与は「エリスロマイシン400〜600mg / 日」、「クラリスロマイシン200〜400mg / 日」が一般であると考えられます。ただし、これらの用量は経験則によるものとされています。

通常、抗生物質は短期間集中投与で効果を発揮しますが、マクロライド少量長期投与療法では、従来の抗生物質療法とは異なるメカニズムで症状改善を目指します。

〔実践編〕高齢者:呼吸器疾患の合併例に抗菌薬を積極的に投与:日経DI

CTを撮ると適切な治療薬が入っていない場合に、マイコプラズマ肺炎から器質化肺炎と言う厄介な肺炎に進展している患者さんが多いです。他院でマイコプラズマと診断され加療されたが、咳症状が改善しない場合は、薬剤耐性マイコプラズマの可能性や器質化肺炎の可能性を考慮した治療戦略を立てる必要があります。

マクロライド少量長期投与療法は、慢性気管支炎や慢性副鼻腔炎の症状改善に有効な治療法です。

DIクイズ6:(A)COPD患者のテオフィリンが減量された理由

1年間マクロライド系抗菌薬の長期療法を行うことでCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の増悪リスクは減少するが、聴力の低下やマクロライド系耐性菌が増えるリスクもあることが米国・テンプル大学病院のFrederick L. Ramos氏らによって報告された。Current Opinion in Pulmonary Medicine誌オンライン版2013年12月28日の掲載報告。

COPDの増悪は有害事象と関連しているため、その予防は重要である。最近の研究からマクロライドの長期療法はCOPDの増悪リスクを減少させることがわかっている。そこで、COPDの増悪抑制に対するマクロライド系抗菌薬の長期療法の効果を検討した研究のうち、より質の高いエビデンスを選定し、再評価を行った。この再評価では、マクロライド系抗菌薬の長期療法と健康関連QOL、喀痰細菌、耐性状況、炎症性マーカー、肺機能、費用便益分析の観点からも検討を加えた。

通常の治療に加え、エリスロマイシンまたはアジスロマイシンが1年間投与されていた患者を対象とした2つの質の高い無作為化プラセボ対照試験では、COPDが増悪するまでの期間は長く、頻度も低いことがわかった。その一方で、これらの患者では聴力の低下が多く認められ、マクロライド系耐性菌も多いことがわかった。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪例や市中肺炎患者に対するクラリスロマイシン(商品名:クラリスほか)治療により、心血管イベントが有意に増加することが、英国・ナインウェルス病院(ダンディー市)のStuart Schembri氏らの検討で示された。英国では、COPD急性増悪と市中肺炎は入院の主原因であり、治療にはクラリスロマイシンが頻用されている。同薬投与中に心血管イベントが増加する可能性が観察試験で示唆されており、短期投与により冠動脈心疾患患者の心血管死が増加したとする無作為化対照比較試験の結果が知られているが、呼吸器感染症の治療に用いた場合の心血管イベントに及ぼす影響はこれまで不明であった。BMJ誌オンライン版2013年3月21日号掲載の報告。

研究グループは、クラリスロマイシン投与と、COPD急性増悪および市中肺炎の患者における心血管イベントの発生の関連を検討するために、2つの前向きコホート試験(EXODUS試験、エジンバラ肺炎コホート試験)のデータを解析した。

EXODUS試験には、2009~2011年に英国の12施設にCOPD急性増悪の初回診断で入院した40歳以上の患者1,343例[クラリスロマイシン投与群281例(年齢中央値70歳、男性48%)、非投与群1,062例(72歳、49%)]が登録された。エジンバラ肺炎コホート試験には、2005~2009年にエジンバラのNHS Lothian病院で市中肺炎と診断された患者1,631例[同:980例(65歳、51%)、651例(68歳、48%)]が登録された。

主要評価項目は、1年後までに発症した心血管イベント(急性冠症候群、非代償性心不全、重症不整脈、心臓突然死)および急性冠症候群(ST上昇急性心筋梗塞、非ST上昇心筋梗塞、不安定狭心症)による入院とした。副次的評価項目は1年後までに起きた全死因死亡および心血管死であった。

1年以内に心血管イベントを発症したのは、COPD急性増悪例が268例[クラリスロマイシン投与群73例(26.0%)、非投与群195例(18.4%)]、市中肺炎患者は171例[同:123例(12.6%)、48例(7.4%)]であった。

COPD急性増悪例に対するクラリスロマイシン投与により、心血管イベント[ハザード比(HR):1.50、95%信頼区間(CI):1.13~1.97]および急性冠症候群(HR:1.67、95%CI:1.04~2.68)の多変量調整済みリスクが有意に増大した。

市中肺炎患者に対するクラリスロマイシン投与では、心血管イベント(HR:1.68、95%CI:1.18~2.38)の多変量調整済みリスクは有意に上昇したが、急性冠症候群(HR:1.65、95%C:0.97~2.80)のリスクの増加には有意な差はなかった。

COPD急性増悪患者では、クラリスロマイシン投与と心血管死にも有意な関連がみられたが(HR:1.52、95%CI:1.02~2.26)、全死因死亡との関連は認めなかった(HR:1.16、95%CI:0.90~1.51)。市中肺炎患者では、クラリスロマイシン投与と全死因死亡、心血管死に関連はなかった。心血管イベントのリスクは投与期間が長くなるほど増加した。

βラクタム系抗菌薬やドキシサイクリンを投与されたCOPD急性増悪例では心血管イベントの増加はみられなかったことから、クラリスロマイシンに特有の作用であることが示唆された。

著者は、「COPD急性増悪例および市中肺炎患者に対するクラリスロマイシンの投与により、心血管イベントが増加する可能性が示唆された。これらの知見は、他のデータセットを用いた解析を行って確認する必要がある」と結論している。

[PDF] 1)マクロライド療法の慢性閉塞性肺疾患(COPD)増悪抑制作用

【質問】ノイトロジンの用法用量についてご教示ください。 先天性・特発性好中球減少症の適応は、皮下投与又は静脈内投与のどちらの場合でも2μg/kg1日1回と用量設定が同じですが、他の適応では皮下と静注で体重あ...

ちなみに、マイコプラズマ治療の第一選択薬は、マクロライド系抗生剤(クラリスロマイシン・アジスロマイシンなど)ですが、近年耐性化が進んでおり効果が得られない人が続出しています。マクロライド系抗生剤を投与して3日間程度で効果判定を行い(自覚症状が改善しているか)、効果が顕著にでない場合は速やかにキノロン(レボフロキサシン・トスフロキサシン・ラスフロキサシンなど)へのスィッチが必要です。


COPD の治療に先行して工藤名誉教授の開発した、び慢性汎細気管支炎における使用な

【質問】吸入器の補助器具の入手方法についてご教示お願いいたします。 サルタノールインヘラーを導入された方が握力が弱くボンベの底を押すことができないことがわかりました。 検索したところそのような場合は...

クリアナール、ムコダイン、ムコソルバン、ビソルボンなどがある。 去痰剤はそれぞれに性格が違うので用途により選ぶ。 抗生剤

内服薬はCOPDの治療においては吸入薬の補助的な役割で使われることがほとんどです。喀痰調整薬とマクロライド系の抗菌薬が使用されます。
喀痰調整薬はCOPDの方の痰の量を抑え、痰を出やすくします。またCOPD急性増悪の既往がある方の増悪を抑制し、生活の質を良くする作用があることも知られています。
マクロライド系の抗菌薬(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン)は気管支に悪さをする細菌を殺菌する作用もあるのですが、それに加えて気道炎症を抑える作用、痰の量を減らす作用、痰を排出しやすくする作用(自浄能力改善作用)があることが知られています。特に頻繁に肺炎などの気道感染症を繰り返す症例に有効です。使用前には必ず痰の検査を行い、非結核性抗酸菌などの慢性気道感染を起こす菌がいないことを確認します。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第6版

長期の喫煙歴があり慢性にせき、たん、労作時呼吸困難があればCOPDが疑われます。確定診断にはスパイロメトリーといわれる呼吸機能検査が必要です。最大努力で呼出した時にはける全体量(努力性肺活量)とその時に最初の1秒間ではける量(1秒量)を測定し、その比率である1秒率(1秒量÷努力性肺活量)が気道の狭くなっている状態(閉塞性障害)の目安になります。気管支拡張薬を吸入したあとの1秒率が70%未満であり、閉塞性障害をきたすその他の疾患を除外できればCOPDと診断されます。また、重症例では胸部エックス線画像で肺の透過性亢進や過膨脹所見(資料 1-a)が見られることもありますが早期診断には役立ちません。高分解能CTでは肺胞の破壊が検出され、早期の気腫病変(資料 1-b)も発見できますが、COPDの診断には閉塞性障害の有無が重要となります。また、COPDは全身の炎症、骨格筋の機能障害、栄養障害、骨粗鬆症などの併存症をともなう全身性の疾患です。これらの肺以外の症状が重症度にも影響を及ぼすことから、併存症も含めた病状の評価や治療が必要になります。

安定期COPDに対する長期低用量マクロライドは増悪リスクを減らす

慢性気管支炎や慢性副鼻腔炎でマクロライド系抗生物質を少量継続する方法は、「マクロライド少量長期投与療法」と呼ばれ、長年に渡りその有効性と安全性が確認されています。

COPD の末梢気道病変優位型の患者では、慢性的に喀痰が出ている患者のほうが ..

COPDに対する管理の目標は、(1)症状および生活の質の改善、(2)運動能と身体活動性の向上および維持、(3)増悪の予防、(4)疾患の進行抑制、(5)全身併存症および肺合併症の予防と治療、(6)生命予後の改善にあります。気流閉塞の重症度だけでなく、症状の程度や増悪の頻度を加味した重症度を総合的に判断したうえで治療法を段階的に増強していきます(資料2)。喫煙を続けると呼吸機能の悪化が加速してしまいますので、禁煙が治療の基本となります。増悪をさけるためには、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が勧められます。薬物療法の中心は気管支拡張薬(抗コリン薬・β2刺激薬・テオフィリン薬)です。効果や副作用の面から吸入薬が推奨されており、主として長時間気管支を拡張する吸入抗コリン薬や吸入β2刺激薬が使用されています。気流閉塞が重症で増悪を繰り返す場合は、吸入ステロイド薬を使用します。長時間作用性β2刺激薬と吸入用ステロイドの配合薬も有用であることが証明されています。非薬物療法では呼吸リハビリテーション(口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの呼吸訓練・運動療法・栄養療法など)が中心となります。低酸素血症が進行してしまった場合には在宅酸素療法が導入されます。さらに呼吸不全が進行した場合は、小型の人工呼吸器とマスクを用いて呼吸を助ける換気補助療法が行われることもあります。症例によっては過膨張した肺を切除する外科手術(肺容量減少術)が検討されることもあります。

図 1 COPD および気管支喘息合併 COPD の急性増悪の機序(文献 1 ..

COPD患者さんは病気が進行すると労作時の息切れのために、運動するのがつらく、出歩くのが億劫になってしまいます。運動しなくなったり、出歩かなくなったりすると、四肢の筋力が低下し、少しの運動にも多くの酸素を必要とするようになります。しかし、COPD患者さんの肺にはその酸素を供給するのに十分な余力がないため、より強い息切れを感じるようになります。するとさらに運動などの身体活動を避けるようになり悪循環になってしまいます。この悪循環を断ち切るためには、無理のない範囲ではありますが、運動をするほかありません。目標として週に3回30分ずつご自分のペースで散歩など、主に下肢を使った運動をするのがよいです。ご自身で動けない場合などは呼吸リハビリテーションをおねがいすることもあります。

[PDF] JAID/JSC 感染症治療ガイドライン―呼吸器感染症

インフルエンザワクチンはCOPDの増悪頻度と死亡率を減少することがわかっています。具体的にはインフルエンザワクチンによって、インフルエンザやその関連肺炎による入院を30%減少させ、死亡率も50%減少させるというデータがあります。
また肺炎球菌ワクチンは23価莢膜多糖体型肺炎球菌ワクチン(PPSV23)と13価蛋白結合型肺炎球菌ワクチン(PCV13)の2種類があります。PPSV23は大規模な研究でCOPD患者さんの肺炎やCOPD増悪が抑えられることがわかっており、PCV13も65歳以上の肺炎球菌性肺炎を抑制することがわかっています。PPSV23は国の定めた定期接種に入っており、65歳以降の5年ごとに初回のみ定期接種のお知らせが来ていると思います。PPSV23は5年ごとに接種することが推奨されています。PCV13は任意接種になっていますが、PCV13とPPSV23の併用によってより強力に肺炎球菌を予防することができます。COPDの方はリスクが特に高いので、まずはPPSV23による定期接種をベースとして、PCV13も時期をみて接種するのが良いと考えられます。佐久市では66歳以上で定期接種の対象外の方の肺炎球菌ワクチンの助成がありますのでご活用ください。助成を希望される場合は先に申請を行ってから予約を行い接種するようにご注意ください。以下のリンクから佐久市の申請ページにジャンプできます。

高齢者や,COPD・陳旧性肺結核など肺に基礎疾患を有する患者の場合は ..

1.管理目標
2.管理計画
a.原因物質(危険因子)の特定とその回避
b.重症度の評価および治療計画
c.長期管理
3.気流閉塞の基準を満たさない場合

COPD)であるとみなされます。COPD、または気管支拡張症や嚢胞 ..

クラリスロマイシンは広範囲の病原微生物に対して効果を発揮し、グラム陽性菌、グラム陰性菌、マイコプラズマ、クラミジア、さらには一部の非定型抗酸菌にまで及ぶ幅広い抗菌スペクトルを持つことから、様々な呼吸器感染症の治療に重要な役割を果たします。

抗菌薬が用いられるときは通常、アジスロマイシンやクラリスロマイシンなどの薬剤が投与されます。

【A】「マクロライド少量長期投与」は好中球性炎症性気道疾患に対して保険適応になったこともあり、徐々に認められてきました。

A。以前は陳旧性肺結核症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、 肺切除後、じん肺、 ..

3.非薬物療法
a.呼吸リハビリテーション
b.身体活動性の向上と維持
c.セルフマネジメント教育
d.栄養管理
e.酸素療法
f.換気補助療法
g.外科・内視鏡療法
4.喘息合併COPDの管理
a.喘息を疑う場合と成人喘息の治療
b.喘息を合併する場合のCOPDの治療
5.全身併存症および肺合併症への対応
a.併存症の管理
b.肺合併症の管理
6.在宅管理
a.在宅医療の目的
b.在宅医療の対象者と提供者
c.在宅療養をサポートする社会的資源
d.在宅管理の効果
7.終末期COPDへの対応
a.終末期・最終末期の考え方
b.終末期のトータルペインと多職種連携チーム医療
c.Advance Care Planning
d.緩和ケアと呼吸リハビリテーションの導入
e.終末期COPDの呼吸困難への対処
8.災害時の対応
a.災害時の特徴
b.平常時からの対策
c.地域システムの整備
d.医療機器業者との連携
e.災害の遷延化