流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
当初、コブラはライトウエイトスポーツとも言えるナローボディをまとっていたが(260、289エンジン搭載)、427エンジンを搭載するにあたり、ここで紹介しているようなフェンダーの張り出したグラマラスなスタイルに変貌するのである。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
289立方インチのV型8気筒エンジンを搭載するコブラは、モータースポーツの世界でもシェルビー、そしてフォードの目論みどおり多くの勝利を収めることに成功した。1960年代のル・マン24時間レースでは宿敵ともいえるフェラーリを圧倒するライバルとして常に意識される存在となった。また、1963年から1965年までの3年間に連続でアメリカ・マニュファクチャラーズ・チャンピオンシップを獲得したことも、また偉大なるコブラのレース史である。
フォードがキャロル・シェルビーの計画に本気で協力したことから、ACコブラのプロジェクトは調子よく進んだ。加えて、1964年にはレース仕様「シェルビー・デイトナ・コブラ・クーペ」も開発。このモデルは当時の耐久レースにおけるGTクラスで連戦優勝し、64年のルマン24時間レースでも総合4位に入賞したのだった。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
こうしてシェルビー・アメリカンは1964年の秋から427サイドオイラーを搭載した新型コブラの開発作業に入った。ここでの作業は主としてシャシー周りの強化がメインでありフレームを大幅に強化すると同時に、横置きリーフスプリングがアッパーアームを兼ねていたサスペンションをコンベンショナルなコイルオーバーショックに置き換えるという大きなモディファイが実施されることとなった。試作テストベッドとなったのはCSX2701とCSX2702の2台。いずれも完成の後に新たなシャシーナンバーであるCSX3001とCSX3002が与えられた。
フロントビュー。ACカーズが製造したオリジナルの「ACコブラ」は総数が1000台に満たなかったという。そのため、現代では程度のよい車両はオークションではなんと数億円の価格で取り引されるほどになっている。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
コブラの生産はその後順調に進み、さまざまなバリエーションが誕生していく。最初のコブラMkIには260立方インチ(4.3L)ユニットが搭載され、残りの51台のMkIには289立方インチ(ウインザー・フォード・4.7L)が採用された。1962年の後半には横置きリーフスプリング・サスペンションとラック&ピニオン・サスペンションのセッティングを見直すために、フロントサスペンションの大幅な設計変更も行われ、それは新たにMkIIとネーミングされ1963年から販売が開始されている。
ACカーズとのコラボレーションが終わったあとも、キャロル・シェルビーは「シェルビー・コブラ」として同車を作り続けた。アストンマーティンDBR1で1959年のルマン24時間レースでの優勝経験を持つ、すぐれたレーシングドライバーでもあるシェルビーの“ブランド力”もあり、いまも人気が高い。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
「コブラ」は、少々異色の経歴を持つクルマだ。元々は、1900年代初頭に誕生した英国最古の自動車メーカーのひとつとされるACカーズが、1953年にベースとなる「ACエース」を開発したところから物語は始まる。
かくして完成したのが「ACコブラ」で、1963年から70年頃にかけて、4.7リッターエンジンを積む「289コブラ」が600台、7リッターエンジンを積む「427コブラ」が347台生産された。これが「オリジナルコブラ」だ。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
オリジナルコブラの生産台数は全モデルを合わせても1000台に満たないが、生産終了後も人気は衰えず、構造がシンプルなこともあって多くのレプリカが作られている。またキャロル・シェルビー自身が1980年代後半に開始した、残っていたオリジナルパーツと新規製作パーツを組み合わせたコブラ427の継続生産モデルも存在する。
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流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
こうして世に送り出されたコブラは、圧倒的な性能を誇り、レースでも輝かしい成績を挙げた。しかし、ACカーズの業績低迷、ガソリン価格の高騰、アメリカ国内の安全基準を満たさなくなったことなどの諸事情により、コブラは消滅を余儀なくされる。ACカーズもやがて倒産を迎えることとなった。
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ラダーフレームにオープン2座ボディーを載せたACエースのエンジンを、英国フォードの2.6リッター直6から米国フォードの4.2リッターV8エンジンに換装したコブラ260(Mk1)が1962年にデビュー。4.7リッターを積んだコブラ289(Mk2)を経て、1965年にはシャシーを改良し、拡幅されたグラマラスなボディーに最高出力425hpを発生する7リッターV8を積んだコブラ427が登場。1t少々の軽量な車体と相まって、最高速度280km/h以上、0-400m加速12.2秒という、まさに敵なしの圧倒的な性能を誇った。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
「427 コブラ」は497件の商品が出品されており、直近90日の落札件数は300件、平均落札価格は5,225円でした。
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コブラは大別して、「オリジナルコブラ」「コンティニューションコブラ」「リプロダクションコブラ」という3つに分類される。それぞれについてはおいおい説明するとして、今回紹介する「アジアパシフィックモデル(以下APモデル)」は、「シェルビーアジア」の田邊代表が日本向けにプロデュースしたもので、上記でいうと「リプロダクションコブラ」の中の1台だ。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
ところが、短期間に大きなインパクトを残したコブラの消滅を惜しむ声は大きく、やがて世界中で無数のコブラのレプリカ=リプロダクションが生産されるようになった。これが「リプロダクションコブラ」で、1973年頃から早くも登場しはじめた。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
前置きが長くなったが、そんなACコブラに乗った。エンジンは427(7リッター)で、フェンダーもかなりグランドエフェクトされている。現代のコブラに関してはレプリカやリプロダクションが蔓延していて、どれもACコブラと呼ばれることが多い。詳しいことはわからないが、シェルビー自身がその後新たな素材でつくり上げ、サインしている車両もあるとかいうくらいだ。
まぁ、その辺の難しい話はともかく、アルミ製ボディをまとったコブラが目の前に現れた。その姿はまさに「コブラ!」といった印象で、筋肉ムキムキのマッチョさをアピールする。う〜ん、この辺の仕上がりはシェルビーらしいとでもいうべきなのだろうか。
この車両は、キャロルシェルビーとともにオリジナルコブラを製作していた人物・マイク マクラスキーが製作したもの。本物のオリジナル・コブラと同じ鋼管フレームを使い、戦闘機も手がけるようなマイスターの手によって一台一台仕上げられた。忠実に再現されたフレームに被せられたボディも、オリジナルと同素材のアルミニウム製だ。
エンジンはフォード製水冷式V型90度8気筒OHVを搭載し、435馬力ものパワーを発生させる。なお、忠実に再現されたグラマラスなボディラインはもちろんのこと、メーターや各スイッチ類などのレイアウトやシフトレバーの角度、エンジンルーム内の電装パーツの配列、さらにはビス1本1本のサイズや向きにまでこだわり、とことんオリジナルに則って再現されている逸品である。
早速、試乗させてもらう。サイドマフラーをふくらはぎに当たらないようにコブラに乗り込むと、そこには包まれるようなキャビンが待ち受けている。広いわけではないが、タイト過ぎないスペースは思いのほか居心地がいい。
そして、エンジンに火を入れると、バババーンと点火し、ドッドッド…とアイドリングをはじめる。なるほど、これがあのアメリカンV8か。このサウンドが多くのカーガイを魅了したのか。カラダに伝わる振動とともに一発でコイツの魅力に取り憑かれてしまう。
安楽な現代車とはまったく異なる乗り物に、心奪われるのは当たり前のことかもしれない。それほど異質なものだ。
現代車とはまるで違う感覚。細身のステアリングを握って、細身のシフトノブを動かして、爆音を奏でるエンジンを自らが操って公道を走る。そこにはアメリカンV8の魅惑的なサウンド以外、何もない。
試乗の印象としてはこれはこれで、十分公道を走れる範囲にあるということだ。細かいことは気にせず、街中をこ一時間ドライブしてまだガレージに帰る。それだけでも十分堪能できるし気持ち良いし、何より最高の気分転換になる。こんな贅沢もありではないか?
早々に試乗は切り上げたが、しばらくはあのサウンドが耳から離れない。ドッドッド…という重低音。あれこそ、ホンモノのアメリカンV8だろう。一点の濁りもない純粋なエンジンサウンド。残念ながら現代車においては、あのサウンド、振動は決して味わえないだろうな…。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
続いて「マークII」そして65年には「427」とも呼ばれる「マークIII」が発売された。427キュービックインチすなわち7リッターのフォード製V8エンジン搭載車だ。ACコブラというとたいていのひとが思い浮かべるのが、この迫力あるモデルである。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
ただしこの年はデイトナクーペによる世界耐久選手権の他、新たにフォードとのジョイントプロジェクトとして始まったGT350RによるSCCAプロダクションへの参戦がスタートしたこともあり、シェルビー・コブラ427によるワークス参戦はあくまで限定的なものだった。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
しかしもう一つの問題に関する対策は容易では無かった。その問題とは何か? パワー不足である。ちなみにシェルビー・コブラの最高出力は1964年仕様の世界耐久選手権用ワークスマシンだった289FIAロードスターで350hp前後というもの。このパワーは1965年シーズン中には400hp近くまで高められ、ポテンシャル的にはさらに上を狙うことは不可能では無かったものの、耐久レースというその戦いの性格を考えると徒に限界を目指すことは得策ではなかった。
流札となったシェルビー「427コブラ」(C)Courtesy of RM Sotheby's
ボディサイドにはFORD427コブラ(427キュービックインチ/6997ccのエンジン搭載)のエンブレムが貼られていますが、車検証の排気量が7010ccである事から、実際のエンジンは428キュービックインチであると思われます。