多発性骨髄腫 / IMiDs / デキサメタゾン / CRBN / がん


Cesana Cらは、97例に対して、合計340コースのVAD療法について細菌感染症の危険因子について報告している。(Haematologica 88:1022-1028, 2003)1990年5月から2001年12月までの97例において、340コース中、敗血症3例(1.5%)、肺炎18例(9.7%)、CMV感染症2例、原因不明熱1例であった。その他に軽度の感染症として、尿路感染3例、急性気管支炎1例、皮膚蜂か織炎、である。帯状疱疹3例、口腔内カンジダ症4例、32例の患者に合計44回感染症のエピソードがあった。危険因子については単または多変量解析によって、診断後4ヶ月以後、好中球数最低値が1,000未満、血清クレアチニン値1.2mg/dLをこえている、抗生物質の予防投与の内場合、中心静脈留置、に感染症発症の危険率が高くなるとしている。治療前の危険因子としては男性、前治療歴を有する、持続点滴による投与、年齢56歳を越えた場合、骨髄腫のタイプとしては、病期にはよらず、尿中L鎖陽性者、PS, 非寛解例に高かった。
以上の8編の論文から好中球減少は約20%に認められ、感染症の合併には注意を要する。またこの疾患自体が免疫不全であり、高齢者に多い疾患であり、感染症、特に肺炎の合併、PSの不良例では注意する。
4.本療法の位置づけについて


5.国内における本剤の使用状況について


ボルテゾミブは,これまでに 1~3 回治療を受けたことのある多発性骨髄腫患者の再発治療において,高用量デキサメタゾンよりも優れている.

多発性骨髄腫に対するレブリミド(レナリドマイド)併用の高用量デキサメタゾンは低用量に比べ死亡率が増加

2000 ;65(2):132-5.
日本での不応性骨髄腫36例に行われた1990年から1999年にかけてのretorospective studyであり、診断からVAD療法に入るまでの中央値は14ヶ月間(2~76)、血清LDH値が高い群では予後不良であると報告している。
Fujii Y, Nisimura Y, Tanizawa Y, Azuno Y, Yaga K, Hirosige Y, Kaku K, Kaneko T, Matumoto N.
[VAD regimen for multiple myeloma--the effectiveness as first line therapy]
6例の未治療例および4例の既治療例に対して、VAD療法を行ったところ、それぞれ67%, 50%に有効性が認められ、奏功持続期間は4~38ヶ月間であり、感染症は36.8%に認められたが、重篤なものは観察されなかった。有用であるとしている。
臨床血液 1991 Mar;32(3):280-2.
Amano M, Itoh K, Togawa A.

くすぶり型多発性骨髄腫から(症候性)多発性骨髄腫あるいは全身性 ..

[VAD chemotherapy of multiple myeloma]
臨床血液 1990 Jul;31(7):917-21.
12例の不応性または再発した骨髄腫に、行われ、7例に奏功し、部分寛解3,minor response4例である。63.7%に奏功したと考えられる。感染症、消化管出血、うっ血性心不全が有害事象として報告された。
以上のように国内において症例報告等もあり、すでに繁用されており、使用経験は多い。
6.本剤の安全性に関する評価


7.本剤の投与量の妥当性について


Eastern Cooperative Group臨床試験共同グループ(研究E4A03)に参加している研究者らは、多発性骨髄腫の初期治療としてレブリミド®(レナリドマイド)と高用量デキサメタゾンを併用した場合、レブリミドと低用量デキサメタゾンの組み合わせに比べ死亡率が高くなると報告した。本研究はランダム化臨床試験で、詳細は2007年12月にジョージア州アトランタで開催の米国血液学会で発表された。

再発難治性多発性骨髄腫、belantamab mafodotin上乗せの有用性

レブリミドはサリドマイド誘導体の経口薬で、難治性の多発性骨髄腫の治療に効果が高い。レブリミドはサリドマイドより毒性が弱く、かつ骨髄腫に対する効果はそのままであると報告されている。現在、レブリミドは多発性骨髄腫患者の初期治療薬として評価されている。

研究E4A03は、新しく多発性骨髄腫と診断された患者445名を対象に、レブリミドと高用量または低用量のデキサメタゾンを併用したランダム化臨床試験である。高用量デキサメタゾン群のレジメンは、各サイクルとも多発性骨髄腫患者の治療における『標準』量とした(1-4日、9-12日、17-20日に各40mg投与)。本研究における低用量デキサメタゾン群は、1日、8日、15日、22日に各40mg投与とした。本研究はすべての年齢の患者を対象とし、中央値は66歳であった(35~87歳)。治療4サイクル後に部分寛解、完全寛解またはほぼ完全寛解が得られた患者は幹細胞移植に適応とした。部分寛解に達しなかった患者にはサロミド(サリドマイド)+デキサメタゾンによる治療を実施した。高用量デキサメタゾン群では低用量群に比べ深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓、感染症が多く発生するなど毒性が強かった。本試験の主な知見は次表のとおり。

[PDF] 再発難治性多発性骨髄腫におけるポマリドミド、ボルテゾミ ブ

多発性骨髄腫において、 免疫抑制作用のあるデキサメタゾンの使用方法は臨床医によって意見が分かれる. 本試験により、 レナリドミドと併用する治療の維持療法としてデキサメタゾンを抜くエビデンスが示されたということができる.

ボルテゾミブ,レナリドミド,デキサメタゾンの併用(VRd)は,新たに診断された多発性骨髄腫患者に対する一次治療の選択肢として選好される.VRd レジメンに抗 CD38 モノクローナル抗体イサツキシマブを追加することで,移植非適応の多発性骨髄腫患者の病勢進行または死亡のリスクが低下するかは不明である.


[PDF] 当院で多発性骨髄腫の治療としてカルフィルゾミブと ..

国際共同非盲検第 3 相試験で,多発性骨髄腫と新たに診断された移植非適応の 18~80 歳の患者を,イサツキシマブと VRd を併用する群と,VRd 療法のみを行う群に 3:2 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性評価項目は無増悪生存とした.完全奏効以上,完全奏効を達成した患者における微小残存病変(MRD)陰性状態などを,重要な副次的評価項目とした.

[PDF] 多発性骨髄腫 ( Multiple Myeloma, MM )

高用量のデキサメタゾンは低用量に比べ消耗性が強く副作用も多いため、患者がサルベージ療法に耐えられない可能性が高くなる、と著者らは結論づけている。また、デキサメタゾンを低用量で用いれば高用量に比べ寛解期間が長くなると示唆している。

[PDF] 対象疾患 No レジメン 多発性骨髄腫(MM) MM-13

骨髄腫が再発した患者 669 例を,ボルテゾミブを 1,4,8,11 日目に静脈内ボーラス投与(1.3 mg/m2 体表面積)する 3 週間のサイクルを 8 回行ったのち,ボルテゾミブを 1,8,15,22 日目に投与する 5 週間のサイクルを 3 回行う群と,高用量デキサメタゾン(40 mg 経口投与)を 1~4 日目,9~12 日目,17~20 日目に投与する 5 週間のサイクルを 4 回行ったのち,高用量デキサメタゾンを 1~4 日目に投与する 4 週間のサイクルを 5 回行う群のいずれかに無作為に割付けた.デキサメタゾン投与に割付けられた患者については,疾患の進行後,並行試験において,クロスオーバー法でボルテゾミブを投与することが認められた.

[PDF] 再発または難治性の多発性骨髄腫に対する皮下注射 ボルテゾミブ

多発性骨髄腫の治療には通常高用量のデキサメタゾンが用いられるが、実際には低用量が優れているかもしれないというデータは興味深い。

[PDF] 多発性骨髄腫に対する DBd療法(2-3サイクル目)

446 例が無作為化された.追跡期間中央値 59.7 ヵ月の時点で,60 ヵ月無増悪生存率の推定値は,イサツキシマブ+VRd 群では 63.2%であったのに対し,VRd 群では 45.2%であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.60,98.5%信頼区間 0.41~0.88,P<0.001).完全奏効以上を達成した患者の割合は,イサツキシマブ+VRd 群のほうが VRd 群よりも有意に高く(74.7% 対 64.1%,P=0.01),完全奏効と MRD 陰性状態が得られた患者の割合も同様であった(55.5% 対 40.9%,P=0.003).イサツキシマブ+VRd レジメンに,新たな安全性シグナルは認められなかった.投与中の重篤な有害事象の発現率と,投与中止にいたった有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

移植非適応の多発性骨髄腫(症候性)に対する推奨治療レジメンは何か, 新規薬剤を ..

ボルテゾミブは,これまでに 1~3 回治療を受けたことのある多発性骨髄腫患者の再発治療において,高用量デキサメタゾンよりも優れている.

多発性骨髄腫の自家造血幹細胞移植、化学療法、救援療法、地固め・維持療法、支持療法など治療法をご紹介します。

新たに診断された(初発)多発性骨髄腫(NDMM)患者において、導入療法として用いたレナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(RVd)単独群に比べて、RVdに自家造血幹細胞移植(ASCT)を併用した治療群が無増悪生存期間(PFS)において有意に優れていたことが米国で行なわれた第Ⅲ相試験DETERMINATIONで報告された。

[PDF] 多発性骨髄腫の最新治療:骨髄腫腎や 分子標的薬を含めて

ベンダムスチン+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの併用療法が再発・難治性の多発性骨髄腫患者で高い奏効率を示す

[PDF] 多発性骨髄腫における薬物療法の進歩とボルテゾミブの役割

多発性骨髄腫の自家造血幹細胞移植、化学療法、、地固め・維持療法、などにおける治療法をご紹介します。

未治療・移植適応例に対する推奨治療【時流◇最新GLに基づいた多発性骨髄腫の診療】 ..

Dimopoulos MA らはVADとliposomal doxorubicin(VAD doxil群)の比較試験を行っている(Ann Oncol 14:1039-44, 2003)。127例のVAD療法と、132例のliposomal doxorubicin(VAD doxil群)を用いた群との比較では、127例VAD群のみの結果について記載する。年齢中央値66(37-88)歳、男性67例、女性59例、治療に対する反応は完全寛解16例(12.6%), 部分寛解62例(48.8%), 反応なしが、49例(38.6%)であり、grade 2以上の好中球減少20%, grade 2以上の血小板減少10%, greade 2以上の吐き気、嘔吐4%, 脱毛55%, grade 2以上の粘膜障害7%, grade 2以上のerythrodysesthesia 2%, grade 2以上の神経障害13%であった。VAD doxil群でもほぼ同じであった。VADでのTTPは23.93ヶ月間であった。(95%CI16.92~30.94).
6.

多発性骨髄腫とレナデックス レナデックスという多発性骨髄腫の薬がある。 成分はデキサメタゾン。ステロイドです。

多発性骨髄腫は、体内に入ってきた異物など、非自己とみなした物質(抗原)から体を守る形質細胞が、がん化したことによって発症する病気です。多発性骨髄腫は、完全に治癒させることは難しい病気ですが、近年、造血幹細胞移植(正常な血液をつくる細胞を移植して、その機能を回復させる治療法)や、新しいタイプの薬が使われるようになり、治療成績はとても向上しています。
最初の治療は、患者さんの年齢や体力、合併症や臓器障害による症状などによって、造血幹細胞移植を行う場合と、2~3剤の薬を組み合わせて症状を緩和する治療を行う場合に大別されます。いずれも、異常に増えた骨髄腫細胞と骨髄腫細胞からつくられるM蛋白という異常な蛋白をできる限り減らし、症状を軽くすること、悪化させないようにすること、良い状態で長く過ごせるようにすることを目指します。

鎮痛剤 非ステロイド性消炎鎮痛剤は多発性骨髄腫の患者さんでは腎機能障害の原因や胃潰瘍の原因になるためあまり使用しません。

【11.1.1】誘発感染症,感染症の増悪(24%)〔B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎が発現。[8.1,9.1.1,9.1.2,9.1.8,9.8参照]〕【11.1.2】続発性副腎皮質機能不全(0.6%),糖尿病(1.1%)〔[8.1,9.1.1,9.1.3,9.8参照]〕【11.1.3】消化性潰瘍(1.1%),消化管穿孔,膵炎〔[8.1,9.1.1参照]〕【11.1.4】精神変調,うつ状態(6.3%),痙攣〔[8.1,9.1.1参照]〕【11.1.5】骨粗鬆症(0.6%),大腿骨及び上腕骨等の骨頭無菌性壊死(0.6%),ミオパチー(2.3%),脊椎圧迫骨折,長骨の病的骨折〔[9.1.4,9.8参照]〕【11.1.6】緑内障,後嚢白内障(1.1%)〔連用により眼圧亢進,緑内障,後嚢白内障を来すことがある。[8.4,9.1.1,9.8参照]〕【11.1.7】血栓塞栓症(5.7%)〔[9.1.1参照]〕【11.1.8】腫瘍崩壊症候群〔適切な処置(生理食塩液,高尿酸血症治療剤等の投与,透析等)を行う。[8.6参照]〕

B:ボルテゾミブ,D:デキサメタゾン,L:レナリドミド,d:少量デキサメタゾン,A:ド

多発性骨髄腫の治療経過は、最初の治療後に奏効が何年も続く場合もあれば、骨髄腫細胞がなかなか減らず、薬を変更したり放射線療法と組み合わせたりと、いろいろな治療の工夫が必要な場合もあります(難治性)。
多くの患者さんは、最初の治療で奏効が得られた後、安定した状態が長く続きますが、その後、再発、治療、奏効を繰り返します。
新しい治療薬の登場により、奏効を維持できる期間は以前に比べ、とても長くなっており、骨髄腫は進行や症状をコントロールしながら、長くつき合う病気となっています。