前立腺肥大症患者にデュタステリド0.05〜2.5mg注)を1日1回6ヵ月間反復
前立腺の悪性腫瘍を前立腺がんといいます。前立腺組織ががん化し増殖することで進行します。通常、前立腺がんには年単位のゆるやかな進行をたどるタイプが多いですが、一部には数ヶ月のうちに進行するタイプのものもあります。前立腺肥大症や前立腺炎との関係性は明らかではなく、それぞれが併存することもあります。日本では前立腺がんにかかる男性が増加傾向にあり、男性がん患者のなかで罹患率が1位となっています。明らかな発生危険因子はわかっていませんが、近親者に前立腺がんの方がいると(家族歴があると)発症率が高まるといわれています。
厄介者の前立腺の3大疾患として、前立腺癌、前立腺肥大症、慢性前立腺炎があります。 ..
最近発見される多くの方の前立腺がんは局所的であり、無症状です。前立腺肥大症や前立腺炎で受診された方に、たまたま前立腺がんがみつかることもあります。
しかし、前立腺がんがすすんでまわりに広がってくると症状がでることもあります。周辺臓器までひろがることをがんの浸潤といいますが、血尿や頻尿の原因になることがあります。また、血液やリンパの流れにのってがん細胞が離れた臓器へひろがることをがんの転移といいますが、転移先によって腰痛や足のむくみなど様々な症状をひきおこすことがあります。
前立腺がん診断のためには、まず血液検査でPSA濃度を測ります。その他には、直腸診(digital rectal examination; DRE)や、前立腺MRI検査があって、最終的には前立腺針生検による病理組織診断が必要です。
前立腺癌治療のためには、CT検査、骨シンチ(骨シンチグラフィ)による病期診断が必要です。
立川病院では上記すべての検査を行うことが可能です。
前立腺肥大症に対するデュタステリドの前立腺癌発症、下部尿路症状、QOL ..
前立腺から分泌される物質のひとつです。前立腺特異抗原(Prostatic Specific Antigen)の頭文字をとってPSAといいます。正常な前立腺組織でも分泌されるものですが、前立腺がん組織ではPSA生産量が増加するということから、前立腺がん腫瘍マーカーとして利用されています。基準値として一般的に言われているのは、4.0 ng/ml以下です。しかしPSAは年齢とともに自然増加する傾向であるため、日本泌尿器科学会(JUA)の「前立腺がん検診ガイドライン2018年増補版」では基準値を年齢で区切っています。64歳以下では0.0~3.0ng/mL、65~69歳では0.0~3.5ng/mL、70歳以上では0.0~4.0ng/mLとなっています。
ただしPSAが基準値を超えているからといってがんとは限りません。PSA値が上昇する疾患には前立腺がんだけではなく、前立腺炎や前立腺肥大症などもあるからです。もっともPSA値が基準を超えて高いほど前立腺がんがある可能性も高まります。統計的にがんである確率は、PSA 4~10 ng/ml で20~30%, PSA 10 ng/ml以上で50%程度といわれています。
常用されているお薬によってはPSA値が本来よりも低くでてしまうものもあります。処方薬ではアボルブ®、ザガーロ®(デュタステリド)、プロスタール®(クロルマジノン)、プロペシア®(フィナステリド)で、サプリメントではノコギリヤシにPSAを下げる作用があるため、受診時にお申し出ください。
立川病院では、PSA検査ができます。必要な方にはPSAを前立腺容積で割り算したPSA density(PSAD)やF/T比(free/total比)検査も行うこともできます。
前立腺は男性の泌尿生殖器臓器で、膀胱の出口部から尿道を取り囲むように存在します。役割は精液の成分である前立腺液を産生します。ふつうの大きさはクルミ大(約15~20g程度)と表現されます。前立腺の病気には前立腺がん(前立腺癌)のほかに、前立腺肥大症や前立腺炎などの良性疾患もあります。
前立腺肥大症はその名のとおり前立腺が大きく肥大している状態ですが、がんではありません。しかし、尿が出しづらいなどの男性排尿障害を引き起こします。
前立腺炎は前立腺の炎症ですが、細菌感染による急性前立腺炎と、原因のはっきりしない慢性前立腺炎があります。症状としては排尿時痛や発熱などを引き起こします。
立川病院では前立腺がんのほかに、前立腺肥大症や前立腺炎の診療もおこなっています。
* 前立腺炎,前立腺癌,過活動膀胱,低活動膀胱,膀胱炎,間質性膀胱炎,膀胱癌 ..
MRI(磁気共鳴画像装置)で前立腺を撮影することにより、前立腺がんの存在や、前立腺がんが被膜外浸潤や精嚢浸潤をおこしている場合にはわかることがあります。とくにMRI拡散強調画像(DWI)では診断能力が高いと言われています。
立川病院では、1.5テスラMRI拡散強調画像(DWI)で検査ができます。
PSA検査やMRI検査でも前立腺がんが疑われる場合でも、診断は確定していません。前立腺がん確定診断のために前立腺針生検が必要となります。前立腺に生検針を刺し、小さなサンプル組織を採取することで病理組織検査が可能となります。病理組織検査で前立腺がんの診断と、悪性度(Gleason score)が判明します。
前立腺針生検の合併症として、血尿、血便、排尿困難、細菌感染による発熱(急性前立腺炎)などがあります。そのほとんどが重篤な合併症ではありませんが、まれに急性前立腺炎は敗血症となり集中治療が必要となることがあります。
前立腺針生検はあくまで組織サンプルを採取する検査ですので、がんの診断をすることができても、小さながんを完全に否定することはできません。
立川病院では経直腸的超音波ガイド下針生検を、一泊二日入院のクリニカルパスで検査を行っています。生検には18G針を使用し、12か所生検を基本としています。麻酔は局所麻酔薬である2%キシロカイン®(リドカイン)を用いた前立腺周囲神経ブロックのみで、当日夕飯から食事は可能です。発熱予防のために抗生剤であるクラビット®(レボフロキサシン)を予防内服します。
抗血小板薬であるバイアスピリン®(バイアスピリン)、パナルジン®(チクロピジン)などや抗凝固薬であるワーファリン®(ワルファリン)などを内服中の方は休薬が必要となるため、必ず診察時に申し出てください。
前立腺肥大症の治療薬のひとつ、アボルブのジェネリック医薬品(デュタステリド) ..
テストステロン補充療法の際に、5α-レダクターゼ阻害薬のデュタステリド(国内では前立腺肥大症としてのみ適応、商品名:アボルブ)を併用しても、筋肉・臓器・骨などを計測対象とした除脂肪体重の増加への影響はほとんどないことが明らかにされた。デュタステリドには、テストステロンの5α-ジヒドロテストステロンへの変換を阻害する作用がある。米国・ボストン大学のShalender Bhasin氏らが、約140人の健康な男性について行った、無作為化プラセボ対照試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年3月7日号で発表した。
研究グループは、2005年5月~2010年6月にかけて、18~50歳の健康な男性139人を対象に試験を行った。被験者を無作為に8群に分け、うち4群にはテストステロンとデュタステリド(2.5mg/日)を、別の4群にはテストステロンとプラセボを、それぞれ20週間投与した。テストステロンの投与量は各群とも、50、125、300、600mg/週の4つだった。
主要アウトカムは、除脂肪体重の変化で、副次アウトカムは脂肪体重、筋力、性機能などの変化とされた。
被験者のうち、20週間の試験を完了したのは102人だった。
テストステロン投与量補正後、デュタステリド群(いずれの投与量群とも)とプラセボ群で、除脂肪体重の変化量に有意差はなかった(p=0.18)。
具体的には、除脂肪体重の増加量平均値は、デュタステリド群でテストステロン50 mg/週群では0.6kg、同125 mg/週群では2.6kg、同300 mg/週群では5.8kg、同600mg/週では7.1kgだった。一方でプラセボ群は、テストステロン50 mg/週群では0.8kg、同125 mg/週群では3.5kg、同300 mg/週群では5.7kg、同600mg/週では8.1kgだった。
副次アウトカムの各指標についても、デュタステリド群とプラセボ群で有意差はなかった。
Gleason scoreは前立腺がん特有の分類で、病理組織検査により診断します。前立腺がんの浸潤パターンや構造異型に着目してがんの形態をパターン1~5の5段階に判定します。前立腺がんの特徴として組織像の多様性があるため、量的に最も優位なパターンとそれより劣勢なパターンの数の合計をGleason scoreとして表現します。
立川病院では前立腺生検によって採取した組織で病理組織検査をおこないます。通常、生検から2週間程度の期間が必要です(病理診断部に要確認)。
[PDF] 5α還元酵素阻害薬 前立腺肥大症治療薬 デュタステリドカプセル
医師がちゃんとした病名を教えてくださらなかったので自分で「前立腺炎」と判断しています。(ネットでの症状が全く一緒です)
ご症状からすると、おっしゃるように、慢性前立腺炎の可能性が高いように思います。 検査で異常がないことが特徴の一つでもあります。 ..
前立腺がんの病期分類はステージA、B、C、D に分かれます。病期分類はTNM分類をもとに振り分けられます。TNM分類の決定には、MRI、CT、骨シンチなどの画像診断を用います。
ステージAは偶発がん(TNM分類のT1a, T1bにあたります)で、他の目的で切除された前立腺のなかに偶然見つかるがんのことをいいます。例えば、膀胱がんに対する膀胱前立腺全摘除術や、前立腺肥大症に対する経尿道的切除術のときに見つかることがあります。
ステージBは前立腺がんが被膜内にとどまっている状態(TNM分類のT1c, T2a, T2b, T2c)です。
ステージCは前立腺がんが被膜外浸潤や精嚢浸潤(TNM分類のT3a, T3b)している場合の局所浸潤癌です。
ステージDは前立腺がんが周辺臓器まで浸潤(TNM分類のT4)したり、リンパ節転移(TNM分類のN1)、他臓器転移(TNM分類のM1)した状態です。
分類上、ステージBとステージCのちがいは前立腺をとりかこむ被膜を越えているかどうかですが、実際には、画像診断での病期分類(臨床的病期分類)と、前立腺全摘出して判明する病期分類(病理学的病期分類)と一致しないこともあります。そのため、臨床病期分類に加えてPSA値、Gleason scoreを用いた「日本版ノモグラム」という表で病期予測を加えることができます。
前立腺炎と勃起不全の関係は、前立腺の炎症が勃起機能に影響を与える可能性があるため、重要なテーマです。
前立腺肥大症は尿道をとり囲む前立腺が大きくなることにより尿道が圧迫され、尿が
出にくくなる、排尿後に残尿感を感じる、尿が近くなるといった症状をきたします。従来より日本ではα1遮断薬などが前立腺肥大症の内服治療薬として一般的に 使用されてきました。
しかしこういった従来からの治療薬は前立腺肥大症で大きくなった前立腺を縮小させる効果はなく、大きくなりすぎた前立腺肥大の治療は手術治療に頼らざるを得ない状況が長く続いていました。 しかし2009年9月より新しい作用機序をもつ5α還元酵素阻害薬(デュタステリド)が日本で発売され、現在急速に広まりつつあります。
テストステロン補充療法の際に、5α-レダクターゼ阻害薬のデュタステリド(国内では前立腺 ..
【5α還元酵素阻害薬デュタステリドの登場】
デュタステリドは前立腺そのものを小さくすることにより尿の出を改善させるお薬です。
いわゆる前立腺肥大症の原因そのものを治療できる「病因治療」が可能な日本で唯一のお薬と考えられています。すでに欧米では日本に先行して発売されており、前立腺肥大症への治療効果や薬物安全性に関する報告もあります。
【デュタステリド前立腺】に関する医師への相談をご紹介。【デュタステリド ..
今回は前立腺肥大症です。前立腺肥大症は前立腺の内腺という部分が腫大しておこります。主な症状は「尿が出にくい」です。出にくくなる機序には①大きくなった前立腺で直接尿道が圧迫される機械的閉塞と②交感神経系の刺激(内臓や血管を自動的に調節する神経である自律神経には、興奮モードの時に優位な交感神経とリラックスモードの時に優位な副交感神経があります)によって前立腺が収縮して尿道が圧迫される機能的閉塞、があります。出にくい、だけではなく残尿感、頻尿、夜間頻尿、尿失禁、などの症状がでることもあります。
診断には超音波検査が必須です。超音波で前立腺の大きさや排尿がちゃんとできているか(排尿後に膀胱に尿が残っていないかどうか)を調べます。また尿流測定といって、排尿の勢いを調べる検査を行うこともあります。重要なのは前立腺癌ではないという確認です。血液検査でPSA(前立腺特異抗原)を調べたり、直腸診で前立腺を触って異常がないかどうか確認します。前立腺癌は現在男性で最も多い癌ですから、ここは重要です。
治療には薬物療法と手術療法があります。薬物療法には、大きくなった前立腺を縮小させる薬剤と機能的な収縮を和らげて尿道をひろげる薬剤が複数あり、状況に応じて使い分けたり併用したりします。基本となる薬剤は尿道をひろげる薬剤であり、タムスロシン(先発商品名:ハルナール)、シロドシン(先発商品名:ユリーフ)、ナフトピジル(先発商品名:フリバス)の3剤です。タダラフィル(先発商品名:ザルティア)も同様の作用があります。デュタステリド(先発商品名:アボルブ)は前立腺を縮小させる薬剤ですが、中止してしばらくするともとに戻ります。これら5つの薬剤は、診療ガイドラインで推奨グレードAです。
薬剤で効果不十分な場合、排尿後も多くの尿が膀胱に残る場合、尿が出なくなった場合、などは手術療法を行います。麻酔をして、お腹を切らずに尿道から内視鏡を入れて、電気メスで大きくなった前立腺内腺を切除したり、レーザーで組織を蒸散させたりします。入院が必要です。稀に前立腺が巨大な場合には、お腹を切ることがあります。
次回は慢性前立腺炎です。
前立腺癌の腫瘍マーカーとして使用されるが、前立腺炎や前立腺肥大などでも上昇する。 ..
デュタステリドを用いた治療は効果が数か月かけてゆっくり発現すると言われています。
従来から使用されているα1遮断薬との併用でより良好な結果が出たとの報告もあります。
前立腺の肥大を抑制し、前立腺肥大症による排尿障害などの症状を改善する効果が得られるお薬です。 · ユビー病気のQ&Aとは?
前立腺がんの転移先は骨が最多です。骨に転移している(ステージD)かどうかは骨シンチで診断します。骨転移をすると痛み(がん性疼痛)や骨折(病的骨折)がおこる可能性があります。それらの症状を骨関連事象(骨イベント)といいますが、その発症を遅らせる効果が期待できる薬にはゾメタ®(ゾレドロン酸)やランマーク®(デノスマブ)というお薬があります。
立川病院では骨転移に対する検査や治療ができます。
前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬でザルティア錠と同種同効薬です。ED治療薬シアリス ..
しかしこのようなデュタステリドによる前立腺縮小効果には限界があると考えられ、デュタステリドで十分な治療効果が得られない場合や、尿閉などで治療を急ぐ場合には今でもやはり手術治療が必要となる場合があります。
経口投与した時、0.5mgではおよそ投与5ヵ月で定常状態に達し、6ヵ月で
副作用かなとおもったら担当医にすぐにご相談いただくことが大切です。肥大した前立腺を徐々に小さくして症状を良くしていくお薬なので、効果を急がず、まず6ヶ月間はきちんと飲み続けていただくことが大切です。また、PSA検査を行う際は、アボルブ服用中であることを、必ず担当の先生にお伝えください。
医療用医薬品 : デュタステリド (デュタステリド錠0.5mgZA「FCI」)
ステージBの場合、根治的前立腺全摘除術ができます。前立腺と精嚢および精管膨大部を合わせて摘出し、切断された膀胱頸部と尿道の縫合術を行う手術です。方法にはいくつか種類がありまして、開腹手術(恥骨後式前立腺全摘除術;RRP)の他に腹腔強下内視鏡手術(LRP)やロボット支援前立腺全摘除術(RARP)があります。いずれの方法においても術後合併症としてはED(勃起機能障害)と尿失禁が代表的です。
手術をすれば必ず治るというものではなく、手術後5年間は経過をみる必要があります。再発が認められた場合には救済(サルベージ)放射線治療やホルモン治療を追加します。
立川病院ではロボット支援腹腔鏡下前立腺摘出術(RARP)での根治的前立腺全摘除術ができます。入院クリニカルパスを使用しており、入院期間は通常7泊8日程度です。
PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を
前立腺がんの放射線治療には外照射療法と組織内照射療法があります。外照射療法には通常照射、三次元原体照射(three-dimensional conformal radiation therapy: 3D-CRT)、強度変調放射線治療(intensity-modulated radiation therapy ; IMRT) があります。治療オプションとなる対象はステージBとステージCの方です。有害事象としては急性期には頻尿、排尿時痛、血尿、下痢などがありますが、放射線治療終了後1ヶ月以内に改善することが多いです。数カ月後に認められる晩期有害事象としては直腸出血や尿道狭窄があります。組織内照射療法としてはヨウ素125による永久挿入密封小線源療法(low dose rate: LDR)が代表的です。放射線を出すシード線源を前立腺内に埋め込む方法ですが、前立腺がんの悪性度や前立腺容積で適応が制限される場合があります。放射線治療をすれば必ず治るというものではなく、手術後5年間は経過をみる必要があります。再発が認められた場合にはホルモン治療を追加します。
立川病院では外照射療法のなかでも三次元原体照射ができます。治療期間としては約2か月間の通院治療となります。放射線治療を受けられる方にはホルモン療法を先行させ併用するネオアジュバントを推奨しています。放射線による晩期障害(とくに直腸障害)発生の可能性をおさえるために、SpaceOAR®(スペーサー)を直腸と前立腺の間に注入する方法もご紹介しています。