[PDF] レジメン名:XELOX(Capecitabine+L-OHP)+Bmab 療法 大腸がん
アントラサイクリン+シクロホスファミド併用(AC)療法においてアプレピタントを使用しない臨床試験のエビデンスから,2 日目以降のデキサメタゾンの上乗せ効果は証明されていない。さらにステロイドの副作用を減ずる目的で,AC 療法に対する2~3 日目のステロイド使用を行わないsteroid sparing という投与法は,ステロイド通常使用に対する非劣性が海外の第III相ランダム化比較試験で示されている。本邦でも,アプレピタント(またはホスアプレピタント)を併用した第III相試験において,AC療法を含む高度リスク抗がん薬に対するsteroid sparing が可能であることが示された14)。ただし使用された5-HT3受容体拮抗薬はパロノセトロンのみであることに留意する必要はある。したがって,AC 療法においては,steroid sparing は選択肢の一つとなる(→ 参照)。
• CAPOX(XELOX)、SOX、FOLFOXは中等度催吐リスクに準じた治療 ..
本記事は、株式会社法研が2012年6月26日に発行した「名医が語る最新・最良の治療 大腸がん」より許諾を得て転載しています。
大腸がんの治療に関する最新情報は、「」をご参照ください。
手術のあとに、抗がん薬を用いて再発予防を狙うのが術後補助化学療法です。一方、手術のできない進行・転移がんの患者さんに対しては、がんを縮小させたり増殖を抑えたりすることを目的に、化学療法が行われます。
[PDF] 2016年04月 『抗癌剤の催吐性リスク分類と制吐療法について』
第1 世代の各5-HT3受容体拮抗薬の制吐効果に差はないとされているが,わが国で行われた高度リスクの抗がん薬投与に対する,第2 世代の5-HT3受容体拮抗薬パロノセトロンとデキサメタゾンの併用群とグラニセトロンとデキサメタゾンの併用群の制吐効果を検討した第III相ランダム化比較試験において,パロノセトロンとデキサメタゾンの併用群が有意に遅発性嘔吐を抑制したことが示されている(参照)。また,高度リスクの抗がん薬投与に対するパロノセトロン,デキサメタゾン,アプレピタント併用群と,グラニセトロン,デキサメタゾン,アプレピタント併用群の制吐効果の比較を行った第III相ランダム化比較試験(TRIPLE 試験)が報告され,主要評価項目ではないがパロノセトロン群が遅発期において有意に悪心・嘔吐を抑制したことが示された。
ランダム化比較試験やプールドアナリシスの結果では,デキサメタゾン4~8 mg 経口投与(2~3 日目)とNK1受容体拮抗薬であるアプレピタント80 mg 経口投与(2~3 日目)の併用がデキサメタゾン単独より有用であった。この2 剤併用は,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの併用に比べても有意に遅発性嘔吐を抑制しており(21% vs.36%,p<0.001),ASCO ガイドライン2017,MASCC/ESMO ガイドライン2016 で推奨されている。
[PDF] 進行・再発 結腸・直腸癌 大腸癌用XELOX療法 患者プロトコール
大腸がんは手術で完全にがんを取りきれるがんですが、見えないがん細胞が残っていて、それが一定の期間をおいて再発することがあります。そうした見えないがん細胞を、抗がん薬によって、再発を予防する治療が「術後補助化学療法」です。治療は手術のあと十分に体力が回復してから行い、およそ手術後4~8週の間に始めるのが一般的です。
大腸がんの再発率は進行度によっても異なりますが、大腸癌(がん)研究会による調査では平均で17%です。わが国の手術は精度が高いといわれていますが、それでも、ステージIIIでは30.8%、100人中30人の患者さんが再発していることになります。これらをできる限り減らすのが、術後補助化学療法の目的です。
ASCO ガイドライン2017 によれば,遅発性嘔吐は,程度としては軽度なものが多いが,急性嘔吐の対処が不十分なときに起こりやすいとされる。治療としては副腎皮質ステロイド(経口デキサメタゾン)が推奨されており,メトクロプラミドや5-HT3受容体拮抗薬とも併用される。しかし,デキサメタゾンに加え5-HT3受容体拮抗薬を併用しても制吐効果の増強は得られない。さらに,急性嘔吐を認めた場合にはこれら2 剤を併用しても効果は不十分であるとされているため,抗がん薬の催吐性リスクや患者の状態に応じていずれか一方の使用にとどめるべきと思われる。
XELOX療法(CapeOX療法)は添付文書のC法に該当します。レジメン上では
遅発性嘔吐は,抗がん薬投与後24 時間以降に発現するもの,と定義されており,そのコントロールは,患者のQOL 維持,さらに精神的安定や治療に対する意欲の向上のためにも必要不可欠である。薬剤の催吐性リスクを適正に評価し,エビデンスに基づいた制吐薬の適切な使用を検討する必要がある。
現在、術後補助化学療法の対象となっているのは、ステージIII(リンパ節に転移がある)の患者さんです。結腸がん、直腸がんは問いません。ステージIIIの患者さんに対しては、術後補助化学療法によって、明らかに再発率が減ることが臨床試験によって実証されています。
ステージII(がんが大腸の壁に広がっている)の患者さんについては、はっきりとした再発予防効果は立証されていません。ただし、再発のリスクが高いと考えられる患者さんに対しては行ったほうがよいというのが、今の一般的な考え方です。
治療に関してガイドライン上は年齢の制限はありませんが、当施設では年齢や全身状態を考慮して行います。一般に高齢になるにしたがって効果は出にくく、副作用は出やすくなります。そこで、高齢の患者さんにはその点をよく説明し、相談をして決めるようにしています。
全身状態としては肝臓や腎臓(じんぞう)の機能が落ちていないこと、白血球や赤血球の数が維持され、免疫機能が十分あること、手術後の合併症が重くないことなどを確認します。
FOLFOX療法、XELOX療法ともに、治療期間は6カ月です。
なおホスアプレピタントの海外第III相ランダム化比較試験として,中等度リスクの制吐薬治療における5-HT3 受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用に対するホスアプレピタントの上乗せ効果が報告されている。
デキサメタゾン6.6mg(day1)デキサメタゾン4mg (day2-3)
基本的に5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン6.6~9.9 mg を静注(8~12 mg を経口)の2 剤併用とするが,一部の抗がん薬(カルボプラチン,イホスファミド,イリノテカン,メトトレキサート等)を投与する場合にはアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与の併用が推奨され,その際にはデキサメタゾンを減量(静注: 3.3~4.95 mg,経口: 4~6 mg)する(→参照)。また,わが国では400 例を超えるオキサリプラチン投与患者に対する第III相ランダム化比較試験が行われ,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下において,アプレピタント/ホスアプレピタント群がコントロール群より全治療期間,特に遅発期の悪心・嘔吐の制御に優れることが示された。
[PDF] オキサリプラチン投与時における側管からのデキサメタゾンブドウ糖
CHOP 療法も高度催吐性リスクに分類されている。しかし実臨床では制吐薬として2 剤併用が行われる傾向にある。これは高用量のプレドニゾロンを5 日間投与するため遅発性の悪心嘔吐が低いと考えられているためであり,実際に我が国で行われたCINV 観察研究では,79%で2 剤併用が行われていた。CHOP 療法に対するNK1 受容体拮抗薬の有効性については,1 コース目は2 剤併用を行い,2 コース目からNK1 受容体拮抗薬を上乗せする試験が報告されている。また第2 世代の5-HT3受容体拮抗薬の有効性について検討したいくつかの前向き試験が本邦より報告されている 。2 剤併用,3 剤併用のどちらが良いかについてのランダム化比較試験は,第II相試験での報告しかなく,今後の検討が必要である。
オキサリプラチン 5%ブドウ糖液にデキサメタゾンを溶解し, pHを上げることで
NCCN ガイドライン 2015 では,アプレピタントの代わりに多受容体作用抗精神病薬(MARTA)であるオランザピンをパロノセトロンとデキサメタゾンと3 剤併用で用いるオプションが示された。さらに同2017では,新たにアプレピタント(またはホスアプレピタント),パロノセトロン,デキサメタゾンの3剤併用にオランザピンを加えるレジメンも提示された。これらは,シスプラチンとAC療法を含む高度リスク抗がん薬投与に際し,オランザピンが,パロノセトロンとデキサメタゾン併用下においてアプレピタントと同等であることが示された第Ⅲ相ランダム化比較試験や,アプレピタント(またはホスアプレピタント),パロノセトロン,デキサメタゾンの3剤併用にオランザピンを加える有用性が示された第III相ランダム化比較試験の結果を受けている。ASCO ガイドライン2017 でもオランザピンを加えた4剤併用が推奨療法として追加された。オランザピンはわが国でも複数の臨床試験が行われた。オランザピンは公知申請により2017 年6 月から,他の制吐薬との併用において成人では5㎎ を1 日1 回経口投与(患者状態により最大1日10㎎ まで増量可能),最大6 日間を目安として先発品と一部の後発品で保険下にて使用が可能となった。本邦における推奨用量,使用方法については未だ検証段階であるため,適切な患者に慎重に投与することが望まれる。慎重投与すべき患者としては,糖尿病患者ならびに高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者であり,使用に際しては副作用の傾眠や血糖上昇に十分注意する。高齢者への投与も慎重に行うべきである。作用点が重複するドパミンD2 受容体拮抗薬ドンペリドン,メトクロプラミド,ハロペリドール,リスペリドンなどとの併用は勧められず,また,睡眠薬との併用には注意を要する。投与量に関してはランダム化第Ⅱ 相試験ではあるが,高度リスク抗がん薬投与に対し3剤併用に加えたオランザピン5 ㎎ と10 ㎎では遅発期の悪心・嘔吐の制御において同等であったとの報告もある。
[PDF] <本体1> アロキシ 1V デキサメタゾン 9.9mg ポララミン注
NK1受容体拮抗薬であるアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与と5-HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾン9.9 mg 静注(12 mg 経口)の3 剤併用が推奨される。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの2 剤併用に比べ,アプレピタントを加えた3 剤を併用することで制吐作用の著しい改善が示されている~。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬(→ 参照)は,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,薬剤間またその投与経路によって効果に大きな差はなく,用量や投与回数の影響を受けないことから,抗がん薬投与開始前に必要量を単回投与とする。第2 世代5-HT3受容体拮抗薬のパロノセトロンは,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,急性嘔吐の予防効果は他薬剤と同等であるが,遅発性嘔吐の予防において優れている(→ 参照)。デキサメタゾンの用量(→ 参照)については,第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬との2 剤併用では13.2~16.5 mg を静注(16~20 mg を経口)とされてきたが,アプレピタントとの併用では,アプレピタントがCYP3A4 を阻害することによりデキサメタゾンの濃度-時間曲線下面積(area under the concentration-time curve; AUC)が増加するため,3 剤併用では9.9 mg 静注(12 mg 経口)に減量する。ただし,副腎皮質ステロイドが抗がん薬として投与されるCHOP 療法などではレジメン内のステロイドは減量してはならない。アプレピタントの投与期間は3 日間が推奨される。ホスアプレピタントはアプレピタントの水溶性を向上させたリン酸化プロドラッグであり,静脈内投与後に体内の脱リン酸化酵素によって速やかに活性本体であるアプレピタントに変換される。ホスアプレピタントはオンダンセトロン,デキサメタゾンとの3 剤併用でアプレピタントとの同等性が示されており,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下での抗がん薬投与30 分前,150 mg の単回使用が推奨される。ただし,副作用として注射部位痛/発赤/血栓性静脈炎の頻度が高いことに留意すべきである。
Cmab+SOX(XELOX)療法 L‐OHP(1)+Cmab(1,8,15)+S-1(Cape)【q21d】
現在のがんの化学療法は、複数の薬を用いる「多剤併用療法」が主流で、大腸がんでも、やはりいくつかの薬を組み合わせて治療します。
大腸がんの術後補助化学療法で柱となる薬(キードラッグ)は、フルオロウラシル系の抗がん薬、フルオロウラシル(商品名5‐FUなど)です。通常はフルオロウラシルの作用を強める活性型葉酸製剤のホリナートカルシウム(商品名ロイコボリン、ユーゼル)またはレボホリナートカルシウム(商品名アイソボリンなど)という薬とともに使われます。
現在、世界的に大腸がんの術後補助化学療法の標準治療となっているのは、フルオロウラシル+レボホリナートカルシウム+オキサリプラチン(商品名エルプラット)を組み合わせたFOLFOX療法と、カペシタビン(商品名ゼローダ)+オキサリプラチンを組み合わせたXELOX療法の二つです。FOLFOX療法は2009年8月、XELOX療法は2011年11月に健康保険適用となっています。
当施設は、世界の標準治療を採用しているので、当然ながらこれら二つの組み合わせのいずれかを行うことが原則です。FOLFOX療法に関しては、mFOLFOX6療法(mはModified;修正の略)と呼ばれる組み合わせを用いています(FOLFOX療法は、薬の投与量や投与スケジュールによって1~7までバージョンがあります。当施設ではmFOLFOX6療法を採用)。
FOLFOX療法、XELOX療法のどちらを選ぶかについては、副作用や投与法などから、患者さんに合うほうを提案し、患者さんとともに検討して決定します。ただし、副作用や体調などからどうしても一種類の抗がん薬での治療を希望する場合には、フルオロウラシル単独で治療することもあります。
なお、標準治療という言葉に対して、よく患者さんが勘違いしていることが多いので、改めて確認しておきたいと思います。患者さんのなかには「月並みな治療ですか?」と聞いてくることがままありますが、標準治療とは、「さまざまな研究で治療効果が実証された、現時点で世界で最も信頼性の高い治療」です。その標準に沿って治療を行うべきだと、私たちは考えています。
[PDF] 一般消化器外科<胃癌XELOX療法>(1コース21日)
抗がん薬投与後,24 時間以内に出現する急性嘔吐は,抗がん薬の治療アドヒアランスを妨げる最も大きな要因の一つであり,その予防制吐効果の成否は遅発性嘔吐の治療効果にも影響を及ぼす。したがって,特に催吐性リスクが高度および中等度の抗がん薬投与に際しては,急性嘔吐を未然に防ぎ,さらに遅発性嘔吐の治療反応性を良好に保つためにも,積極的な制吐薬の投与を行う必要がある。以下に急性嘔吐の予防を目的として,抗がん薬投与前に行うべき対処を催吐性リスク別に概説する。
[PDF] 対象患者: 大腸がん レジメン名: XELOX(結腸・直腸癌) 1
抗がん薬の催吐性リスクは,高度,中等度,軽度,最小度の4 段階に分類される。良好な治療アドヒアランスを得て,がん治療を円滑に進めるためにも,催吐性リスクの適正な評価と個々の症例に応じた予防的対処を行う必要がある。
Day2,3 デキサメタゾン 8mg 分2 又は グラニセトロン 2mg 分1
FOLFOX療法による再発の予防効果は、ステージIIIでは約2割と報告されています。つまり、100人中30人が再発するところを23~24人にまで減らすことができることになります(MOSAIC試験)。
一方、XELOX療法については、FOLFOX療法と直接比較した試験はありませんが、ほかの試験の結果などから、有効性は変わらないと考えられています。
また、今最も注目されているがんの治療薬に、分子標的薬がありますが、現在のところ術後補助化学療法では有効性が認められていないので、使われません。