メラトニンにとってセロトニンは不可欠なホルモンということが分かりますね。
どうしても入眠困難が続く場合は、我慢せず一時的にでも薬の力を借りることも考えましょう。睡眠不足を我慢し続ける方が体調に悪影響を及ぼす場合があります。
睡眠薬は『作用』から2つに分類、更に『構造』から5つに分かれます。
また、メラトニンの細胞内への取り込みは通常であれば膜受容体で媒介されますが、近年グルコーストランスポーターがメラトニンの細胞内への取り込みにおいて中心的な役割を果たしていることが明らかになっています。糖質などのグルコースはがんの進行を促進しますが、メラトニンはこのトランスポーターを介してグルコースと競合し、グルコースの細胞内への取り込みを阻害します。
【症例1】50歳男性
中学時代より夜更かしがちとなり朝起きるのが困難になった。高校、大学と通じ遅刻も多かった。卒業後、企業に就職したが26歳頃より夜の入眠時刻が極端に遅れ、努力しても戻せなくなった。午前4~5時まで眠れず、午後1~3時にならないと起床できないようになったため、35歳で辞職し学習塾を始め、午後4~9時まで中学生の学習指導を行っていた。49歳で治療を希望して来院した。睡眠薬、ビタミンB12の投与では、ともに効果はなかったため、高照度光療法(照度3,000ルクスの光療法器を9~11時頃の2時間照射)を開始したところ、夜1時に入眠し、朝8時に覚醒できるようになった(図4)。
※以下では「メラトベル」として、メラトニンの効果や副作用をお伝えしていきます。
日中にセロトニンをしっかり生成させることで、メラトニンの分泌を促しましょう。
サーカディアンリズムが乱れてしまうと、睡眠のリズムに障害が出る「概日リズム睡眠障害」という状態になります。
若い方に多いのは、「睡眠相後退症候群」であり、夜更かしや徹夜を続けていることで、朝起きられなくなってしまう状態です。このことにより、学校や勤務先に遅刻をしたり、欠席・欠勤することが増えてしまうという問題が生じます。
一方で、高齢者に多いのは、「睡眠相前進症候群」であり、早すぎる就寝により夜中に目が覚めて眠れなくなる状態です。ご高齢の方が「眠れなくて困っている」と話され、よくよく事情を聞いてみると、夜7時には寝てしまっているとのこと。それでは、夜中の1時に目が覚めてしまうのも無理がないと思ってしまいます。
30分程度のウォーキングでメラトニンのもと(セロトニン)を増やしましょう。
DSWPD患者の不眠症状に対してラメルテオンを「就寝前」として処方してしまうと、それが何時になるか予測できず、時間がばらつくことは生体リズムを逆に不安定化させるおそれがあります。さらには、DSWPD患者は早朝に就寝することも稀ではないため、体内時計を最も後退させてしまう時間にラメルテオンを服用してしまうことも考えられます。このため、服用タイミングの指定は「就寝前」ではなく、体内時計を前進させることができる、夕方の具体的時刻を指定することが、DSWPDの治療において睡眠覚醒リズムを前進させる上で重要である可能性が考えられました。
■就寝前の過ごし方
① 食事、アルコール、コーヒー、タバコ、エナジードリンクは就寝の3時間前までに
特に寝酒は交感神経優位にし、寝ようとする大脳をたたき起こすようなもの。ぜひ控えましょう。早めに飲食を切り上げることで、交感神経を休め副交感神経優位の状態を促します。
② 就寝1時間前からパソコンやスマートフォンの画面を見ないようにする
ブルーライトの弊害だけでなく、絶え間なく動画を見続けることにより交感神経優位が続き、睡眠導入が妨げられてしまいます。
③ 入浴は就寝1時間前までに、熱い湯は避け10分程度で
眠気は深部体温が下がるときにやってきます。深部体温が上がりすぎると交感神経活性が上昇し、入眠しにくくなります。
④ 眠くなってから寝床に入る
ベッド上で本を読んだりテレビを見たり考え事を始めたりすると、「ベッド=眠る場所」と脳が認識しなくなり、入眠しにくくなります。どうせなら、
⑤ 必要に応じて、一時的に睡眠導入剤を用いる
メラトニンのサプリメントの素晴らしい点は、副作用がとても少ないところです。
<図3>
このように単独でも抗がん・抗転移効果があるメラトニンですが、化学療法や放射線治療との併用によってこれらの副作用を減らしたり治療効果を高める可能性があります。例えば、シスプラチンによる急性腎症や乳がんに対する放射線誘発皮膚炎を抑えます。そしてラットの研究ではありますが、メラトニン投与群はER陽性乳がんに対するアドリアマイシンの感受性が高まり、QOLの改善もみられました。
<日本看護研究支援センター 所長>看護系短大・大学での教員経験ののち、2002年より日本看護研究支援センターにて、臨床看護師の看護研究指導に従事。同時に、解剖学や看護師国家試験対策の非常勤講師として、全国の看護学生の指導も経験。国家試験のすべての領域についてのわかりやすい指導には定評がある。
まずは、眠りを司るメラトニンとは何か、その仕組みについて解説します。
先述した時差型の治療としては、高照度光を利用し、概日リズムが到着地の時刻に同調するのを促進させる方法がある。ヨーロッパへの西向き飛行後に速やかに生物時計を到着地時刻に合わせるには、到着地時刻での7時から15時の間(日本時刻の15時から23時)は、できるかぎり太陽光にあたるよう心がけて生物時計を遅らせるようにし、18時(日本時刻の2時)以降は、太陽光を避けることで概日リズムが早まるのを防ぐ。こうして概日リズムを遅らせるようにし、生物時計が持ち越している出発地時刻を速やかに到着地時刻に同調させる。アメリカへの東向き飛行後には、到着地時刻の7時から13時(日本時刻の24時から6時)までは、サングラスなどで太陽光を避け概日リズムが遅れるのを防ぎ、到着地の13時(日本時刻の早朝)以降はできるかぎり太陽光にあたり、概日リズムを早めるようにする。スポーツ選手が最高のコンディションで海外の大会に臨めるよう、スポーツ医学でもこれらのノウハウが取り入れられてきている。
睡眠相後退型の治療法としても、光療法が有効である。
メラトニンは日中に分泌したセロトニンが原料となって分泌されます。
うつ病は、急性期には投薬治療を行ってしっかり休んでもらうことが重要ですが、回復期には「生活リズム(24時間周期のサーカディアンリズム)の調整」が重要な課題となります。そのためには、起きる時間を固定し、朝の青白い光をしっかり浴びるようにします。日中は、病状に応じて無理のない日課(買い物や料理や掃除、または運動。余裕があれば人と会う)を組み込んでいきます。人間の睡眠覚醒リズムを作るのは、光だけでなく、軽い運動や日課も含まれるためです。
メラトニンの原料であるセロトニンは、必須アミノ酸であるされます。
1987年秋田大学医学部医学科卒業。医師、博士(医学)。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医、日本睡眠学会専門医。日本睡眠学会、日本生物学的精神医学会、日本時間生物学会の理事、日本学術会議連携会員などを務める。秋田大学医学部精神科学講座准教授、バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、2006年より国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。これまでに睡眠薬の臨床試験ガイドライン、同適正使用と休薬ガイドライン、睡眠障害の病態研究などに関する厚生労働省研究班の主任研究者も歴任。
メラトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンからセロトニンをへて作られます。
幸せホルモンとも呼ばれ、幸福感アップやストレスの緩和、質の良い睡眠をもたらしてくれます。
次回は、睡眠の質や満足感の得られる睡眠について取り上げます。
1987年秋田大学医学部医学科卒業。医師、博士(医学)。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医、日本睡眠学会専門医。日本睡眠学会、日本生物学的精神医学会、日本時間生物学会の理事、日本学術会議連携会員などを務める。秋田大学医学部精神科学講座准教授、バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、2006年より国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。これまでに睡眠薬の臨床試験ガイドライン、同適正使用と休薬ガイドライン、睡眠障害の病態研究などに関する厚生労働省研究班の主任研究者も歴任。
睡眠について(後編)~良質な睡眠を得るために~|ドクターコラム
これによるとメラトニンの投与により、がんの種類やメラトニンの投与量に関係なく1年後の相対死亡率をなんと34%も減少させることができたとの報告がされています。しかも重篤な副作用はありませんでした。<図2>
メラトニン受容体作動薬は、脳内のメラトニン受容体に作用し、体内時計を介する事によって、睡眠と覚醒のリズムを整え、睡眠 ..
メラトニンは起床後、日光を浴びてから12〜15時間ぐらい経過すると、体内時計からの指令で分泌が徐々にはじまり、その後2~3時間で分泌のピークを迎えます。
看護師国試対策|サーカディアンリズムとは、覚醒・睡眠のメカニズムと関係するホルモン ..
睡眠は、年齢を重ねるに伴って、睡眠時間が短くなる、途中で目が覚めること(中途覚醒)が多くなる――などの変化がみられるようになります。寝る時間も起きる時間も前倒しになる、朝型化(早朝覚醒)も、年齢に伴う変化の一つです。今回はこの朝型化について、秋田大学大学院医学系研究科の三島和夫教授(精神科)に聞きました。
「朝日を浴びるといい」のはなぜ?知っておきたい睡眠のメカニズム
メラトベルの作用機序については後述しますが、MT1とMT2の両方に作用します。します。
睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンの分泌が止まり、脳が覚醒して眠気が覚めていきます。 スイッチ2:セロトニンの分泌の促進
この男性の光療法前後の睡眠と直腸温の変化を示したのが図5である。光療法前は昼の12時頃に最低体温が現れているのに対し、光療法後は朝の6時頃に変化してきているのがわかる。また、光療法前には体温の振幅が1度程度であったのが、1.5~1.8とかなり大きくなっているのがわかる。患者さん自身も「もやもやして、ぼんやりしていたのが、すごく体調が良くなった」と感想を述べている。直腸温だけでなく、メラトニンリズムにも変化が現れ、3,000ルクスの光を2日間照射するだけで、メラトニンリズムが前進した。したがって、この症例からもわかるように、光により睡眠相を含む生体リズムを変化させることが可能である。生体リズムの変化は、光を浴びる時間帯によっても異なり、夜に強い光を浴びると睡眠相は後退し、朝に光を浴びると睡眠相は前進する。
人間の睡眠は、大別すると2つの機構(メカニズム)で形成されており、状況に応じて ..
しかし地球環境のもつ24時間のリズムに逆らい、睡眠不足が慢性化すると、さまざまな健康障害が引き起こされます。疲労からの回復や身体の修復に悪影響が生じるばかりでなく、「うつ病」を発症することもあるのです。
あるが、日中の受光量が増えると、夜間のメラトニン分泌が増加し、夜間の睡眠の質も改
グリーンハウス株式会社 ぐっすりタイムズは
厚生労働省「スマート・ライフ・プロジェクト」と、みなさまの睡眠の質向上を応援します。
睡眠とは? 睡眠には2つのメカニズムがあります。1つは“夜になったら眠る”という体内時計機
メラトニンの様々な種類のがんに対する作用については多くの論文で証明されていますが、メラトニン単独または化学療法や放射線療法などの補助療法としての効果を調べた10件のランダム比較試験のメタアナリシスをご紹介します。