クラリスロマイシンの短期投与はインフルエンザ感染にどのように効果的か? --粘膜免疫増強作用と気道粘膜繊毛運動改善効果— · 2
さて実際インフルエンザに罹患してしまった場合、抗インフルエンザ薬を処方して貰うと思います。
薬を飲めば数日の間に解熱し快復に向かいますが、実は抗インフルエンザ薬を使用すると獲得免疫が非常に出来にくくなると言われています。
ところがクラリスロマイシンという抗生物質を一緒に内服すると抗体産生に強い味方となる事が分かってきました。
抗生物質としての効能以外の効果です。
インフルエンザは形が変わりやすいとは言え抗体が出来るメリットの方が大きいので最近はインフルエンザ薬と一緒に処方されることが増えてきています。
また既存の高脂血症治療薬の一部に脳症や脳炎の予防効果が見つかったり、栄養ドリンクに配合されているDADA(ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン)がウイルス量を減少させる可能性があることが実験で分かってきています。
実際にはその効果がまだ人で確かめられたわけではなく実験段階ですが、今後インフルエンザの治療において重要な役割を果たす可能性があります。
池松秀之, 他: インフルエンザの呼吸器症状に対するクラリスロマイシンの効果--オセルタミビル治療例およびザナミビル治療例での比較検討
ニューキノロン系抗生物質は、マイコプラズマ肺炎の治療において、特に成人に対して使用されることが多いです。マクロライド系やテトラサイクリン系が効果を示さない場合に選択されます。小児や妊婦には使用されないことが一般的です。
クラリス(一般名:クラリスロマイシン)とはマクロライド系の抗生物質です。従来のマクロライド系抗生物質であるエリスロマイシンを改良してできたものであり、ニューマクロライドともいわれています。抗生物質の代表といえるのはβラクタム薬(ペニシリン系、セフェム系等)ですが、マクロライド系も肺炎球菌をはじめとするグラム陽性菌、インフルエンザ菌や百日咳菌など一部のグラム陰性菌、嫌気性菌、非定型菌のマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなど多くの細菌に対して効力を発揮します。いろいろな細菌に有効なので、呼吸器系の領域を中心に多くの診療科で処方されています。多くは咽頭炎・肺炎・中耳炎などに対する処方です。消化器領域ではピロリ菌の除菌薬としても数多く処方されています。皮膚科領域においては、感染を伴う、表在性/深在性皮膚感染症、リンパ管/節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍などの疾患に対して選択されることがあります。
粘膜免疫での IgA 産生をマクロライド系抗生剤のクラリスロマイシンが増強す
○出席停止の期間(学校保健安全法施行規則の改正(平成24年4月1日施行))
・インフルエンザの出席停止期間の基準については、「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあっては、三日)を経過するまで」に変更された。尚、発症日、解熱日を0日として数える。
つまり、発症日を0日目として、三日目までに解熱した場合は、六日目から出席可である。
Aegyptius などとも呼ばれ、ブラジル紫斑熱(Brazilian purpuric fever)を引き起こす。この疾患は、1984年にブラジルのサンパウロ市で10名程度の子供が化膿性の結膜炎に罹患した後、血管の破壊と紫斑などで死亡し、一般に知られるようになったが、現時点では稀である。E.検査法と診断法
本菌による上気道感染症が疑われる患者(児)では、咽頭や鼻咽腔より細い綿棒で鼻粘膜液を採取しチョコレート寒天培地に接種し、35~37℃で24時間、アネロパック・CO2[三菱ガス化学(株)]や炭酸ガス培養装置などを用い5~6%の炭酸ガス濃度下で培養する。なお、チョコレート寒天培地に、バシトラシン(300mg/l)などを添加すると、上気道に常在する他の雑菌の生育が抑制され、分離効率が向上する。また、喀痰材料からインフルエンザ菌を効率良く分離・培養するため、元千葉大学小児科の上原らは、喀痰の「洗浄」を推奨している。膿性痰のグラム染色と鏡検(×1,000)では、グラム陰性で多形性を有する微小な短桿菌が多数の好中球とともに認められる。好中球による菌体の貪食像は乏しいが、好中球の周辺に菌体が無数に散らばるのが特徴的とされている。咽頭スワブの染色像では好中球は乏しく、一般的には扁平上皮細胞の周りに菌体が多数認められる。本菌の染色にはサフラニンよりもパイフェル液が推奨されている。菌体が小さく見落とされやすいため、鏡検時には塗抹の薄くなった箇所を注意深く丹念に観察する。乳幼児で食欲減退、嘔吐、けいれんや髄膜刺激徴候が認められ、細菌性の髄膜炎が疑われる場合は、直ちにCT検査により脳や髄腔の他の疾患を否定した後、腰椎穿刺と髄液沈渣のグラム染色を行う。鏡検により白血球の増加とともにグラム陰性の小桿菌が認められれば、インフルエンザ菌による髄膜炎も疑う。新生児の場合は、B群レンサ球菌(GBS)、大腸菌K1型莢膜株、乳児以降の場合は、肺炎球菌などによる髄膜炎が鑑別対象となるため、髄液のグラム染色とともに菌の分離・同定が重要である。F.薬剤耐性菌の状況
本菌は、従来は、ペニシリン系をはじめ多くの抗菌薬に感性を示していた。しかし、1970年代より、ペニシリンに耐性を獲得した株が出現した。ペニシリン耐性株には、プラスミド依存性にペニシリナーゼ(TEM-型、ROB-型)を産生する株とそれらを産生しない株の2つが存在する。後者は、ペニシリン結合蛋白(PBP)に変異を獲得しており、cefaclor(ケフラール)などの経口セファロスポリンにも耐性を示す。この種の株がわが国では外来患者からも多数分離されるようになり、後述するように、BLNAR株などと呼ばれている。また、50Sリボゾームを構成するリボソーマル蛋白(L4、L12)や23S rRNAに変異を獲得し、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなどに耐性を獲得した株や、さらに、DNAジャイレースやトポイソメラーゼのQRDR領域のアミノ酸置換により、キノロン、フルオロキノロンに耐性を獲得した株が出現し、海外でも警戒されている。G.「BLNAR」株について
遺伝子(PBP3をコードする遺伝子)の変異によりペニシリンや経口セファロスポリンに耐性を獲得した株(いわゆる「BLNAR」株)では、PBP3などのアミノ酸残基の置換部位や、さらにそれらの組み合わせなどにより、微妙に耐性度や耐性パターンが異なる。また、AcrAB排出ポンプ蛋白も本菌のペニシリン耐性に関与していることが示唆されているため、「BLNAR」株の識別を特定の遺伝子を検出して行う標準的な方法はまだ確立されていない。PCR法などによる遺伝子検査法も開発されつつあるものの、コストや手間の面から、一般的な細菌検査室で実施できず、現時点でも、耐性株の識別には、従来の薬剤感受性試験が最も簡便、実用的な方法とされている。H.侵襲性感染症の予防方法と効果
詳細は、別に記述する(本号参照)。I.治療法
Hib髄膜炎などの重症感染症の治療には、第一選択薬として、髄液に移行しやすいcefotaxime、血中の半減期が長いceftriaxone、またはcefuroximeなどが用いられることが多い。上気道感染症のときには、amoxicillin/clavulanate、cefiximeなどが用いられる場合が多い。第二選択薬としてimipenem/cilastatin、ciprofloxacin(成人)などが用いられている。ただし、PBPに変異を獲得したBLNAR 株などに対しては、cefaclorなどの経口セファロスポリンの効力は期待できない。biovar aegyptiusによる急性結膜炎やブラジル紫斑熱では、rifampicinが用いられた。国立感染症研究所細菌第二部 荒川宜親
インフルエンザの予防にはインフルエンザワクチン接種をお薦めします。 薬の効果 ..
○備蓄薬の放出について(平成21年9月4日)
通常流通している抗インフルエンザウイルス薬の市場在庫の枯渇が予測され、新型インフルエンザを治療する医療機関及び抗インフルエンザウイルス薬を調剤する薬局において治療等に影響がある場合に「県備蓄薬」を放出する。
☆インフルエンザにクラリスロマイシンが有効
・大正富山医薬品株式会社のデータによると
①クラリスロマイシンの添加により、培養細胞におけるインフルエンザウイルスの増殖を抑制した。
②クラリスロマイシン投与により活発な線毛運動が維持され、ウイルスの増殖も抑制されていることがわかった。
③クラリスロマイシンはIL-12の産生促進を介して、粘膜免疫に重要なIgAなどの抗体産生を増強していることが明らかになった。
ということです。
東北大学の渡辺彰助教授によると「ニューキノロン投与の場合と比較し、マクロライド投与のほうが発熱回数、発熱日数共に有意に抑えられました。また、インフルエンザ様疾患患児にセフェム系抗生物質を投与した場合と比べ、マクロライド系抗生物質を投与した場合の方が発熱期間が有意に短縮し、肺炎合併率も減少していることがわかります。」ということです。渡辺彰:日胸62(9):819-827二宮恵子:JJ Antibio 56(A):84-86,2003 (2004.12.08記)
ただし、その効果はインフルエンザの症状が出始めてからの時間や病状により異なりますので、使用する・しないは医師の判断になります。
抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用のためには用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です。
A型にのみ有効なアマンタジン塩酸塩はほとんどのインフルエンザウイルスが耐性を獲得しており、使用の機会は少なくなっています。
バロキサビル マルボキシルについては、薬剤耐性等の観点から、一般社団法人日本感染症学会と日本小児科学会が以下の趣旨の提言を出しています。
クラリスロマイシン インフルエンザはもちろん幅広くお悩み相談ができます
しかし、一般の細菌とは少し構造が異なります。一般の細菌は細胞膜と細胞壁の2種類で体が囲まれていますが、マイコプラズマは細胞壁を欠き、細胞膜のみで囲まれています。この構造の違いにより、他の細菌とは区別されており、効果のある抗生物質も特別なものとなるのです。
ご存じの通りワクチンはインフルエンザにかからないことを保証する物ではなく重症化を防ぐ物として接種しています。
現在日本では鶏卵を使用してワクチンを製造していますが、ここに一つワクチンの効果が落ちる理由が隠されています。
この対策として鶏卵を使わない新しい方法でワクチンを製造する方法が数年の間に始まる事になっています。
クラリスロマイシン、ルパフィン、プランルカスト、カルボシステインを飲んでおり、アラミストを点鼻して…
クラリスに最も特徴的なのは、一般的な抗生物質が効かないマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなどの非定型細菌にも有効であることです。マイコプラズマは肺炎を引き起こすことで有名ですが、皮膚に感染して皮膚に治りにくい傷を作る原因になることもあります。またクラミジアは性感染症の原因となり、外陰部に痛みや痒みを引き起こします。マイコバクテリウムは皮膚の下で膿を作り、ジクジクとした傷を引き起こす原因菌です。これらはどれも稀な病気で抗生物質が効きにくいのが特徴ですが、クラリスは比較的よく効きます。またクラリスが改良される前の薬であるエリスロマイシンには胃酸によって効力が落ちるという弱点がありましたが、クラリスは胃酸の影響をほとんど受けません。体内にしっかりと吸収されるため、1日2回の服用で十分な治療効果が得られます。その他の特徴として、クラリスはアレルギーを起こしにくいとされています。βラクタム系の抗生物質に対してアレルギーがある人でも使用可能です。ただし他の薬と相互作用を起こしやすいので、飲み合わせには注意が必要です。
クラリスロマイシンの説明で、「インフルエンザ菌への活性はエリスロマイシンより優れている」と書か..
一般的な感染症に対してはクラリスロマイシン1日400mg、非結核性抗酸菌症には1日800mg、どちらも2回に分けて経口で投与します。投与量は年齢、症状にあわせて増減します。またピロリ菌の除菌に用いる場合は他の抗生物質や胃薬と併用して処方されます。
インフルエンザ予防接種抗生物質について | 医師に聞けるQ&Aサイト
近年、特に小児のマイコプラズマ肺炎において、マクロライド耐性マイコプラズマが増加しています。そのため、マクロライド系抗生物質が効果を示さない場合は、他の薬剤に切り替える必要があります。
抗インフルエンザ薬による獲得免疫抑制をマクロライド薬併用で阻止
治療開始から24時間以上経過し、全身状態がよければ登校(登園)許可証を発行しています。学校保健安全法施行規則第18条において、学校で流行が起こった場合、必要に応じ校長が学校医の意見を聞き、第3種の感染症として出席停止措置をとれる疾患です。
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症
薬剤耐性インフルエンザウイルスとは、本来有効である抗インフルエンザウイルス薬が効かない、あるいは効きにくくなったウイルスのことです。この薬剤耐性ウイルスは、インフルエンザウイルスが増殖する過程において特定の遺伝子に変異が起こることにより生じると考えられています。
薬剤耐性インフルエンザウイルスは、本来有効である治療薬に対し抵抗性を示しますが、他のインフルエンザウイルスと比較して病原性や感染性が強いものは今のところ確認されていません。また、薬剤耐性ウイルスに対してワクチンが効きにくくなることもありません。
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症 - ..
文科省は、インフルエンザの出席停止期間を学校保健安全法の施行規制で、「発症後5日」の出席停止を条件に加え、幼稚園児については、解熱後の停止期間も2日から3日に改めました。そこで、その妥当性検証するため、家庭内と学校内感染の疫学調査とウイルスの消失時間における調査を行いました。
ⅰ)家族内で乳幼児と学童が同世代に感染する割合は、21%と13%で、同世代への感染率は乳幼児の方が高くii)流行状況では、保育園で1)誰とも感染の影響を持たない単独罹患者21%、2)クラスにウイルスを持ち込んだ第1罹患者16%、3)先行の罹患者の感染初期に感染を受けた者62%、4)先行する罹患者の復帰後に感染を受けた者1%であり、小学校では1)30%、2)16%、3)48%、4)5%でした。iii)経時的なウイルス力価の検討から、薬剤投与開始からウイルス消失までの時間(中央値)は、乳幼児で4.1日、学童で2.9日及び薬剤投与開始から解熱までの時間はそれぞれ、1.7日、0.8日と差を認めましたが、解熱からウイルス消失までの時間には差を認めませんでした。
このことから、感染期間の判定は、解熱を基準にするのが妥当で、家族内で乳幼児に高い感染率がみられたものの、保育園で出席停止から復帰した児童からの感染は小学校より少なかったことより、出席停止期間を保育園児で長くする必要はないものと思われました。
さらに、薬剤別の薬剤投与開始からウイルス消失までの時間は、ラピアクタで2.2日、イナビルで3.2日、リレンザ で3.5日、タミフルで4.0日と有意差なく、薬剤投与開始から解熱までの時間はそれぞれ、0.8日、1.7日、1.1日、1.2日とラピアクタとイナビル間以外、有意差は認められなかったものの薬剤間に治療効果の違いがあることが示唆されました。発症からから解熱までの時間は治療開始の時間と薬剤に依存するため、早期の治療と薬剤の選択が出席停止期間を左右すると思われました。
のため受診。 本剤は 1回吸入以降、使用なし (飛 び降りの原因
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
[PDF] 抗インフルエンザウイルス剤『リレンザ』 処方に際してのお願い
○うがいは効果あるでしょうか
ウイルスが気道上皮に付着してから上皮細胞内に侵入するまでの時間は30分程度と言われています。したがって感染をおこす環境においては30分おきにうがいを繰り返さないと効果はないと思われます。
[PDF] 新型インフルエンザワクチン接種における 副反応報告について
妊娠中や授乳中の場合にはクラリスを使用できないわけではありませんが、気軽に内服できるわけでもありません。妊娠中に高容量のクラリスを投与すると胎児に心血管系の異常、口蓋裂、発育遅延等の異常が生じる可能性があると動物実験にて報告されています。また、クラリスは母乳にも移行します。病気の種類に応じて、治療を行うメリットと治療を行わないデメリットを比較・検討し、担当医と十分に相談して治療に当たりましょう。
[PDF] Nら;・二= 凍執着阜≒ †:二っこコ: ヽ 一
2012-2013年シーズンは培養でAH3N2(香港型)が80%(平均年齢36.0歳)、B型が19.2%(同30.3歳)、H1N1pdmが0.8%(26.4歳)の混合流行で、成人~高齢者に多く、H3N2では60歳以上が19.8%を占めました。ワクチンは9歳以下の発症率が非接種群27.3%、接種群9.8%と有効で(p
ノイラミニダーゼ(NA)阻害は平均の解熱時間(投薬開始から37.5℃未満に下がるまで)がA型では23.0時間(ペラミビル)~28.1時間(ザナミビル、ラニナミビル)と有効性が高いものの、B型は32.2~46.8時間とやや有効性が低いという結果でした。また各NA阻害薬投与後(±5日目)のウイルス残存率はH3N2で10~20%前後、B型で20~30%前後で、ウイルス残存率は特定の発熱パターンと密接な関係を示しました。
また今シーズンは高齢患者が多かったことから、1回完結型吸入薬ラニナミビルの高齢者における有用性を検討しましたが、高齢者でも大部分の症例で吸入可能であり、80歳以上でも有効率が高いことが確認されました。
抗生剤と予防注射の関連はないので大丈夫です。免疫力には感染症の種類が関係します。 ホームへ.
Pfeiffer(プハァィフェル)と北里柴三郎が、インフルエンザ患者の鼻咽頭から小型の桿菌を発見し、1892年1月のドイツ医事週報に発表したことが、本菌(当初は、Pfeiffer's bacilliと呼ばれた)の名称の起源となった。1933年に、英国の研究者らがインフルエンザウイルスを発見したが、その後も、本菌の学名として「」が使用されてきた。本菌は、国内では「インフルエンザ桿菌」と表記されることもあるが、「インフルエンザ菌」が、細菌学的な正式の和名である。B.細菌学的特長
インフルエンザ菌は、グラム陰性の小型の球桿菌または桿菌であり、「」という名前が示すとおり、血液成分であるX因子(X factor:hemin)やV因子(V factor:NADおよびNADP)などを生育に必要とする。菌を被う莢膜多糖体の構造の違いにより、a~fの血清型と無莢膜株(non-typable)に型別される。インフルエンザ菌b型莢膜株は、「Hib」と呼ばれ、乳幼児に髄膜炎を引き起こすことで知られている。I~VIIIおよびbiovar aegyptiusのbiotype(生物型)に型別される。Hibの遺伝子型を、、、、、、の7つの遺伝子の変異を指標としたMLST解析では、欧州や米国では、ST-6型の株が多い傾向が見られる。病原因子としては、b型莢膜多糖の産生、定着因子としての線毛、IgA1プロテアーゼ、28kDa膜蛋白などが指摘されているが、Hibが侵襲性を示す機構については、不明な点が多い。C.疫 学
本菌は、ヒトの鼻咽腔に常在し、その多くは無莢膜株であるが、小児の髄膜炎や敗血症例から分離される株は、95%以上がHibであり、Hib感染症患児の兄弟や両親からHibが検出される場合もある。5歳以下のHib髄膜炎の罹患率は、Hibワクチン導入前の欧米、北アメリカ、アラスカ地域では、10万人対40~300であり、まだHibワクチン導入がされていないわが国でのこれまでの富樫、神谷らの調査では、10以下と推定されている。しかし、Hibワクチンを定期接種として導入した米国などでは、罹患率は着実に低下し、現在は、「ほぼ0」に減少した。ただし、最近あらたに、Hibワクチンで防御できない無莢膜株による小児の中耳炎などが市中感染症(CAI)として問題となりつつある。D.インフルエンザ菌感染症と症状
一般的には、ウイルスなどによる「風邪」の回復期にしつこい痰(膿性)が続く場合などに、喀痰より本菌が分離されることが多く、生物型IIまたはIII型の無莢膜株は、中耳炎、副鼻腔炎、慢性気管支炎、結膜炎からしばしば分離される。莢膜血清型がb型で生物型I型株は、主に生後4カ月以降の乳幼児の敗血症や髄膜炎の起因菌となることが多く、急性喉頭蓋炎(閉塞性喉頭炎)の原因にもなる。成人の肺炎は有莢膜株による場合が多い。一方、