ヒドロキシジンの制吐作用には,ドパミン D2受容体を介した機序も関与してい
また、嘔気・嘔吐の患者関連因子としては、年齢や性別、飲酒習慣が知られており、とされています。
治療)に比べて、制吐効果が上回っていた(急性嘔吐でリスク比:1.26、遅発性嘔吐 ..
患者さんが治療を継続できなくなるような悪心・嘔吐は決して経験させてはいけません。
患者さんが安心して治療に専念できるように、個々の病態を考えた支持療法を行っていきたいと思います。
明治薬科大学 薬学部卒
都内薬学部を卒業後、総合病院に勤務し、DI業務を経験。医療現場のニーズに応えられるように日々精進し、情報を収集・発信中。
臨床の薬剤師のために、そして患者さんのために!
③制吐作用(ドパミン受容体拮抗作用,5-HT3 受容体拮抗作用)◇中枢性嘔吐 ..
嘔吐中枢はのに存在し、化学受容器引金帯(参照)と呼ばれる構造を介して、または直接刺激されます。化学受容器引金帯が刺激されると悪心を感じ、その刺激がある一定レベル(閾値:いきち)を超えると実際に嘔吐が起きます。嘔吐中枢が直接刺激された場合には、悪心を伴わずに嘔吐が起こります。
嘔吐の原因は、視覚、嗅覚、などの大脳皮質からの刺激によるもの、頭蓋内圧によるもの、や消化器などの臓器に分布する自律神経への刺激を介するもの、抗癌剤などの薬物や細菌の毒素などの化学的刺激によるもの、乗り物酔いのように前庭器官への刺激によるものなど、様々です。
嘔吐に対する作用機序は不明であるが,延髄における GABA の枯渇,血液脳関門 ..
一度、重度の嘔吐を経験してしまうと、抗癌剤レジメン治療変更後も嘔吐性事象で苦しむケースが散見されるため、嘔吐が発症する前 (抗癌剤投与前) より、しっかり制吐剤を使用していくことが重要である。
悪心に対しては、CINV (chemotherapy-induced nausea and vomiting) であるのか、消化管粘膜障害であるのかの見極めが重要になる。後者の可能性が高ければ、プロトンポンプ阻害薬、H2ブロッカー等の制酸薬の効果が、制吐剤よりも期待できることがある。
また、味覚障害、嗅覚障害が食欲不振につながるケースもみられるが、ここでは栄養士による栄養指導が効果的な場合もある。ケースに応じて様々な職種による患者サポートを行うことが非常に効果的であり、推奨される。
第4脳室底部にある神経細胞。脳関門によって、通常は血液中の物質は中枢神経組織に移行しにくくなっています。しかし、化学受容器引金帯は血液脳関門の外に存在するため、血中の物質の影響をそのまま受けます。化学受容器引金帯はを介し、隣接する嘔吐中枢を刺激します。乗り物酔いのような、前庭器官を介した刺激も、ここを通過して嘔吐中枢に作用します。
制吐作用を発揮すると考えられている。錐体外路症状はハロペリドールと比較して.
吐く前に唾液が出るのは、嘔吐中枢の近くに唾液分泌中枢があるためです。嘔吐中枢が刺激されると、この唾液分泌中枢も一緒に刺激され、吐く前に唾液が出てくるのです。
以前よりわが国では,経口抗がん薬のうちフッ化ピリミジン薬の使用頻度が高く,大腸がんにおけるUFT/ロイコボリン,カペシタビン,胃がんにおけるS-1,肺がんにおけるUFT は比較試験により術後補助薬物療法の有効性が示されている。また,切除不能再発胃がんや大腸がんに対しても,S-1 やカペシタビン,UFT/ロイコボリン,大腸がんにおけるTAS102(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)は,ガイドラインで推奨されている治療の一つである。これらの経口抗がん薬は単回での催吐性リスクは少ないが,連日内服による消化器症状がある。
制吐薬は、作用機序によって異なる種類に分けられます。またそのほかに ..
これら経口抗がん薬の治療効果を得るためには,服用アドヒアランスを損なわないよう悪心・嘔吐対策が重要である。
・従来の制吐療法と作用機序が同系統の制吐療法の比較試験[68]
軽度リスクの経口抗がん薬に対して,MASCC/ESMO ガイドライン2016 では,制吐薬3 種類(5-HT3受容体拮抗薬,デキサメタゾン,ドパミン受容体拮抗薬)を単剤で使用することが勧められているが,最小度リスクに対する制吐薬の予防的使用は推奨されていない。一方,NCCN ガイドライン2017 では,軽度・最小度リスクの経口抗がん薬を含めて,悪心・嘔吐が生じた際にメトクロプラミド,プロクロルペラジン,5-HT3受容体拮抗薬などの連日投与(必要に応じてオランザピンやロラゼパムを併用)が推奨されている。しかし,経口抗がん薬に対する制吐薬の比較試験がないため,これらの推奨される制吐療法の信頼度は低い。ただし,これらの経口抗がん薬の有効性のエビデンスを示した比較試験のプロトコールをみると,Grade 2 の悪心・嘔吐が発現した場合にはおおむね支持療法を行うかまたは休薬し,支持療法によってコントロールできない場合には,投与量を一段階減量する,さらにGrade 3 の悪心・嘔吐が発現した場合は,投与量を一段階減量することが一般的である。したがって,がん薬物療法のエビデンスを示した臨床試験のプロトコールを参考に,日常臨床で使用されている薬剤を使用するほか,食事の工夫,カウンセリングなどの支持療法を実施し,コントロール不良の際は休薬し,抗がん薬を一段階減量して再開するという原則を守り,Grade 3 以上の悪心・嘔吐を発現させず,Grade 2の悪心・嘔吐が継続しないように内服を継続することが求められる。
・世界の主要な制吐療法ガイドラインで推奨されている。 米国臨床腫瘍学会 ..
また,高度・中等度リスクの経口抗がん薬に対して,MASCC/ESMO ガイドライン2016 では,5-HT3受容体拮抗薬,副腎皮質ステロイドの2 剤併用が推奨されている。NCCN ガイドライン2017 では,5-HT3受容体拮抗薬の経口連日投与が推奨されているが,シクロホスファミド,エトポシド,テモゾロミドでは,日常臨床において治療目的や放射線治療併用のために副腎皮質ステロイドが併用されていることが多い。
40 μg/kg を静脈内持続注入したときの制吐効果が検討された。 20 μg/kg 群 ..
2サイクル以降、患者さんに吐き気は見られず、化学療法を継続することができました。
ティーエスワンを休薬するとともに、メトクロプラミド、ドンペリドンなどの制吐剤投与を行います。
吐く直前には、反射的に深く息を吸い込みます。同時に声門と軟口蓋(なんこうがい)が閉じられてが止まり、気道や鼻腔に吐物が入るのを防ぎます。こうして、胃から口までのルートが出来上がるわけです。この時に呼吸が停止するのは、嘔吐中枢の近くに呼吸中枢があるためです()。
CDDPレジメン施行時の悪心嘔吐予防対策として、本邦では作用機序の異なる3剤標準制吐療法が推奨されています。
抗がん薬の催吐性リスクは,高度,中等度,軽度,最小度の4 段階に分類される。良好な治療アドヒアランスを得て,がん治療を円滑に進めるためにも,催吐性リスクの適正な評価と個々の症例に応じた予防的対処を行う必要がある。
今回は実はたくさん種類がある制吐薬についてです。 嘔吐が起こる仕組みも解説しているので、よりそれぞれの薬剤が理解しやすくなっています。
抗がん薬投与後,24 時間以内に出現する急性嘔吐は,抗がん薬の治療アドヒアランスを妨げる最も大きな要因の一つであり,その予防制吐効果の成否は遅発性嘔吐の治療効果にも影響を及ぼす。したがって,特に催吐性リスクが高度および中等度の抗がん薬投与に際しては,急性嘔吐を未然に防ぎ,さらに遅発性嘔吐の治療反応性を良好に保つためにも,積極的な制吐薬の投与を行う必要がある。以下に急性嘔吐の予防を目的として,抗がん薬投与前に行うべき対処を催吐性リスク別に概説する。
にて制吐剤をデキサメタゾンからメチルプレドニゾロンに変更す ..
悪心・嘔吐には、抗癌剤や放射線治療に伴う治療関連因子以外にも、患者関連因子がある。患者関連因子としては年齢、性別、アルコール摂取量が挙げられ、女性、50歳未満に発現頻度が高く、アルコール摂取量が多いと発現頻度が低いと報告されている8-10)。また、癌患者では、下記に示す病態で悪心・嘔吐を生ずるので注意が必要である。
・ 短時間作用型制吐剤 (オンダンセトロン, ドロペリドール等)
NK1受容体拮抗薬であるアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与と5-HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾン9.9 mg 静注(12 mg 経口)の3 剤併用が推奨される。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの2 剤併用に比べ,アプレピタントを加えた3 剤を併用することで制吐作用の著しい改善が示されている~。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬(→ 参照)は,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,薬剤間またその投与経路によって効果に大きな差はなく,用量や投与回数の影響を受けないことから,抗がん薬投与開始前に必要量を単回投与とする。第2 世代5-HT3受容体拮抗薬のパロノセトロンは,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,急性嘔吐の予防効果は他薬剤と同等であるが,遅発性嘔吐の予防において優れている(→ 参照)。デキサメタゾンの用量(→ 参照)については,第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬との2 剤併用では13.2~16.5 mg を静注(16~20 mg を経口)とされてきたが,アプレピタントとの併用では,アプレピタントがCYP3A4 を阻害することによりデキサメタゾンの濃度-時間曲線下面積(area under the concentration-time curve; AUC)が増加するため,3 剤併用では9.9 mg 静注(12 mg 経口)に減量する。ただし,副腎皮質ステロイドが抗がん薬として投与されるCHOP 療法などではレジメン内のステロイドは減量してはならない。アプレピタントの投与期間は3 日間が推奨される。ホスアプレピタントはアプレピタントの水溶性を向上させたリン酸化プロドラッグであり,静脈内投与後に体内の脱リン酸化酵素によって速やかに活性本体であるアプレピタントに変換される。ホスアプレピタントはオンダンセトロン,デキサメタゾンとの3 剤併用でアプレピタントとの同等性が示されており,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下での抗がん薬投与30 分前,150 mg の単回使用が推奨される。ただし,副作用として注射部位痛/発赤/血栓性静脈炎の頻度が高いことに留意すべきである。
化学療法のdelayed emasisが疑われる場合は、標準的な制吐対策をしてください。 ..
NCCN ガイドライン 2015 では,アプレピタントの代わりに多受容体作用抗精神病薬(MARTA)であるオランザピンをパロノセトロンとデキサメタゾンと3 剤併用で用いるオプションが示された。さらに同2017では,新たにアプレピタント(またはホスアプレピタント),パロノセトロン,デキサメタゾンの3剤併用にオランザピンを加えるレジメンも提示された。これらは,シスプラチンとAC療法を含む高度リスク抗がん薬投与に際し,オランザピンが,パロノセトロンとデキサメタゾン併用下においてアプレピタントと同等であることが示された第Ⅲ相ランダム化比較試験や,アプレピタント(またはホスアプレピタント),パロノセトロン,デキサメタゾンの3剤併用にオランザピンを加える有用性が示された第III相ランダム化比較試験の結果を受けている。ASCO ガイドライン2017 でもオランザピンを加えた4剤併用が推奨療法として追加された。オランザピンはわが国でも複数の臨床試験が行われた。オランザピンは公知申請により2017 年6 月から,他の制吐薬との併用において成人では5㎎ を1 日1 回経口投与(患者状態により最大1日10㎎ まで増量可能),最大6 日間を目安として先発品と一部の後発品で保険下にて使用が可能となった。本邦における推奨用量,使用方法については未だ検証段階であるため,適切な患者に慎重に投与することが望まれる。慎重投与すべき患者としては,糖尿病患者ならびに高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者であり,使用に際しては副作用の傾眠や血糖上昇に十分注意する。高齢者への投与も慎重に行うべきである。作用点が重複するドパミンD2 受容体拮抗薬ドンペリドン,メトクロプラミド,ハロペリドール,リスペリドンなどとの併用は勧められず,また,睡眠薬との併用には注意を要する。投与量に関してはランダム化第Ⅱ 相試験ではあるが,高度リスク抗がん薬投与に対し3剤併用に加えたオランザピン5 ㎎ と10 ㎎では遅発期の悪心・嘔吐の制御において同等であったとの報告もある。
参考:日本癌治療学会制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂
基本的に5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン6.6~9.9 mg を静注(8~12 mg を経口)の2 剤併用とするが,一部の抗がん薬(カルボプラチン,イホスファミド,イリノテカン,メトトレキサート等)を投与する場合にはアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与の併用が推奨され,その際にはデキサメタゾンを減量(静注: 3.3~4.95 mg,経口: 4~6 mg)する(→参照)。また,わが国では400 例を超えるオキサリプラチン投与患者に対する第III相ランダム化比較試験が行われ,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下において,アプレピタント/ホスアプレピタント群がコントロール群より全治療期間,特に遅発期の悪心・嘔吐の制御に優れることが示された。
第 1 章では、海外の制吐療法ガイドラインに続いて日本の制吐療法ガイドラインにお ..
なおホスアプレピタントの海外第III相ランダム化比較試験として,中等度リスクの制吐薬治療における5-HT3 受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用に対するホスアプレピタントの上乗せ効果が報告されている。