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小型肝細胞は、肝細胞由来であるとは思いながらも培養するとその特性がいわゆる成熟肝細胞とは異なる。“小型肝細胞に特異的な分子があるのではないか”という思いは当然のことながら研究初期からあり、小型肝細胞に関する一通りの仕事に目途がついた1993年頃から特異的に認識できるモノクローナル抗体作りを始めた。当時、小型肝細胞だけを取り出すことは困難であったため、生後2週ぐらいの乳児期の生肝細胞を抗原にモノクローナル抗体採りを始めた。この時期の肝細胞は小型肝細胞と同様に増殖能が高く、コロニー形成も見られないことから小型肝細胞と同じではないかと思い抗原として使った。GeneChipの結果が手元にある今はわかっていることだが、乳児期の肝細胞は成熟肝細胞とその遺伝子発現はほとんど違わず、小型肝細胞特異的な分子は発現していない。当時20回ほどfusionを行ったが当然の結果として、小型肝細胞コロニーを特異的に染色する抗体は取れなかった。その時の唯一の成果は、毛細胆管膜抗原のectoATPaseに対する特異抗体で、論文(35)の一部のデータに使えたぐらいである。一人で研究していたので時間とお金の面で痛かった。小型肝細胞の組織化の研究に集中するまでの3,4年間はL15培養液を使った肝細胞分化機能維持に関する研究で何とか論文を出し、研究費を得ていたのが実態であった。97年にクローン羊ドリーが現れ、米国Wisconsin大学からヒトES細胞作製の発表があり、世の中が「再生医学」ブームに涌いた。幹細胞研究に注目が集まり日本での肝幹細胞研究をしていた極少数の研究者の一人であった私にも視線が注がれるようになる。小型肝細胞とNPCによる肝組織化の論文(33)が出たのはベストタイミングだった。JSTから大きな研究費をもらい、小型肝細胞特異的分子の研究を始めた。特異的分子を見出し、ヒト小型肝細胞を分離培養し増やすことがこの研究の大きな目標であった。網羅的遺伝子解析、小型肝細胞膜表面タンパク質の網羅的解析、表面抗原に対する特異的抗体の作製などを行い「抗体で細胞を集める方法を開発する」ことを目標に研究を行った。結果的に網羅的遺伝子解析の結果からCD44を同定し(41)、他にテトラスパニンファミリーのD6.1A及びBRI3を見出したが、抗体から特異抗原を見出すことはできなかった。成熟肝細胞と非常に良く似ている細胞であることを改めて認識した。


【薬剤師向け】「デキサメタゾン」とは?効果や副作用、薬価などを解説

デキサメタゾンとして、通常成人1日0.5〜8mgを1〜4回に分割経口投与する。小児には1日0.15〜4mgを1〜4回に分割経口投与する。

図17. 小型肝細胞の増殖とCD44sタンパク質の発現。上段は位相差顕微鏡写真、下段は対応するCD44sに対する蛍光免疫染色写真。小型肝細胞はコロニーを形成し始めると細胞膜に発現する。培養経過と共に小型肝細胞が成熟化し大型細胞になると発現は消失する(矢印)。

15). 利尿剤[これらの薬剤の作用を減弱させるおそれがある(機序不明)]。

また、この様に形態的に成熟化した小型肝細胞は、血清蛋白の分泌や糖・アミノ酸代謝、アンモニア代謝や尿素合成、さらにはP450等の薬物代謝酵素の発現など成熟肝細胞とほぼ同様の機能を持っている(33,34,39,40)。しかし、生体内と同等の機能発現までには至っていない。培養皿上での限界なのか、まだ工夫の余地があるのかは定かではないが、現時点では生体内での機能を100%とすると、その60~70%程度の回復と考えている。

CD44は小型肝細胞が増殖を始め、コロニー形成をしはじめると確かに発現するが、細胞播種時には全く発現していない(図17)。また、成熟化し3次元化した小型肝細胞ではその発現が消失する。CD44が小型肝細胞特異的であるのは間違いないがその発現機序についてはまだわかっていない。CD44は、標準型(s)の他にvariant型(v)がv1~v10まで10種ある。小型肝細胞は、CD44sとCD44v6の2種類を発現するが(41)、それらは同時に発現されるわけではない。CD44v6の発現は、CD44sに数日遅れて認められる。盛んに増殖している小型細胞には発現せず、大型化し始めた小型肝細胞に強く発現するようになる。このCD44v6も3次元構造を形成している細胞では認められないことから、成熟化に関係した分子と考えているが解析は進んでいない。

ポマリドミド+デキサメタゾン療法でB型肝炎ウイルス再活性化の可能性


図16. 小型肝細胞におけるトランスポータータンパク質の発現。増殖している小型肝細胞(A, C, E, G)と大型化した細胞(D, F, H)、盛り上がった細胞(B)におけるMRP2 (A, B)、MRP3 (C, D)、Oatp1 (E, F)、Oatp2 (G, H)の発現。増殖している小型肝細胞にはOatp1/2, MRP2は発現していないが、成熟化し大型化した細胞には良く発現するようになる。一方、増殖している小型肝細胞に良く発現しているMRP3は大型化し、盛り上がった細胞では発現消失する。

2021年11月11日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、移植適応のある新規多発性骨髄腫患者を対象に新規プロテアソーム阻害薬であるカルフィルゾミブ(商品名:カイプロリス、以下カイプロリス)+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の有効性、安定性を比較検証した第2相のUNITO-MM-01/FORTE試験()の結果がUniversity of TorinoのFrancesca Gay氏らにより公表された。

デキサメタゾン投与群で観察された(用量依存性なしに)。副腎での中

CD44の主なligandはヒアルロン酸である。小型肝細胞はヒアルロン酸をコートしたdishで選択的に増殖する。type I, type IV collagen, fibronectin, lamininをコートしたdishと比較して実験を行ったが、ヒアルロン酸をコートしたdishでは小型肝細胞の増殖がNPCより速く、コロニーの増生が目立った。ヒアルロン酸レセプターを発現していることが知られている類洞内皮細胞(42)は接着するが、小型肝細胞を増殖させる培養液では増殖はせず、1週間も過ぎるとdishから剥がれていく。ヒアルロン酸コートdishでは、collagenコートdishなどに比べてNPCの増殖が悪いことがわかったので、更に増殖を抑えるために無血清で実験を行った。小型肝細胞がコロニーを作るようになると無血清でも増殖することはわかっていたが(43)、播種時点から無血清にしても小型肝細胞だけが選択的に増殖した。NPCもいくらか残るが10日目の時点で約85%の細胞がCD44陽性でコロニーを形成していた(28)。小型肝細胞の増殖はTGF-αの産生によるautocrineの増殖であると思っていたが、Genechipで遺伝子発現を調べるとfollistatinを特異的に発現していた。培養液中にも分泌されていて中和抗体でその活性を抑制すると、小型肝細胞の増殖が抑制されることから、小型肝細胞の増殖は主にfollistatinの作用によるものと推測している。現在詳しい機序を研究している。

さらに、Time-lapse装置を付けた顕微鏡でこの毛細胆管を長時間観察することにより収縮・拡張を繰り返し、胆汁を輸送する能力も有することがわかった(図15)(37)。3次元構造を作る細胞には、毛細胆管膜面が形成されるだけではなく、類洞側膜面(sinusoidal domain)や壁側膜面(lateral domain)も形成され、細胞膜は生体内と同様の極性を有するようになる(36、38)。有機アニオントランスポーターの発現を見ると、類洞側膜面にはOrganic anion-transporting protein (Ostp)1,2,4やNa-dependent taurocholate co-transporting peptide (Ntcp)が発現し、毛細胆管面にはMRP2やbile-salt export pump (BSEP)といったtransporterタンパク質が発現するようになる(図16)。正常肝臓では発現していないが胆汁うっ滞時に出現するMRP3は、小型肝細胞にも強く発現しているが、毛細胆管を形成している小型肝細胞ではその発現が消失する。また肝細胞を破壊することなく、これらの毛細胆管内に分泌された物質を回収することも可能である(36)。


[PDF] 特異体質性薬物性肝障害における免疫学的因子の作用機序解明と



図15. Time-lapse撮影装置を付けた位相差顕微鏡を用いて小型肝細胞コロニーの同一箇所を20秒間隔で2時間360枚連続撮影した。Aは、毛細胆管の拡張及び収縮する様子を示す。Bは、Aの写真上の□で囲った部分(4カ所を色で区別)を2値化し、白色部の面積を毛細胆管の拡張度としてグラフにしたもの。

8.5 褐色細胞腫の合併を認識していなかった状態でデキサメタゾン製剤(経口剤及び ..

ヒト肝細胞の増殖用培地と維持用培地です。ヒト肝細胞培養用基本培地に、増殖に必要な成長因子などすべての必須因子を含んだ成長用サプリメント(Supplement)、または限定的に含む維持用サプリメント(Supplement)が添付されています。

次に、ラットの初代肝細胞をデキサメタゾンで処理した後、rCES2 mRNA

私のこれまでの肝細胞研究のうち、in vitroの研究の多分間違いが無いだろうと思われることについて書いた。全てではないが、これまでにわかったことを踏まえてできるだけ時系列に沿って分かり易く、失敗も含めて正直に書いたつもりである。最近の研究やin vivoの仕事は、ある程度まとまってからまた書く機会があると思う。15年以上にわたり飽きずに小型肝細胞の研究を行ってこられたのは、この細胞のポテンシャルが極めて高いと信じているからである。ヒトES細胞が樹立され、骨髄由来幹細胞が発見され、またiPS細胞が創出され、それらの研究が急速に進んではいるが、今なお、内胚葉由来の“肝細胞“を誘導することは非常に困難である(44)。小型肝細胞は、肝細胞としての機能を既に持ち、肝組織に類似した類肝組織も作らせることが可能である。加えて成熟肝細胞とは異なり、凍結保存した小型肝細胞は解凍後も初代培養の時と同様に増殖し、成熟化することがわかっている(45,46)。但し、single cellの状態ではなくて、コロニーの状態を維持しながら保存する必要がある。ヒト小型肝細胞をコンスタントに分離することが可能になり、さらに増殖させることができれば細胞バンクも決して夢ではない。肝再生医療に使えるかどうか、見極められるまでは研究を続けたいと思っている。

[PDF] 副腎皮質ホルモン剤 デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液

ところが大型化した細胞を持つコロニーでは、毛細胆管に排泄されるような像は見られないが、細胞内にfluoresceinが見られ、時間とともにMRP3により細胞外に排出されるために薄くなってゆく。一方、3次元構造を取り細胞間に毛細胆管様構造が認められる所では、代謝されたfluoresceinにより線香花火のように見える。毛細胆管がコロニー上に網の目の様に発達していることがわかる(35)。蓄積した蛍光物質は培養液を交換しても減光することはなく長時間維持されていた。またbilirubinを培養液中に加えても黄色いbilirubin色素が毛細胆管内に蓄積していくのを観察することができる(図14)。

ヒト胎児肝細胞における各種薬物代謝酵素の発現解析を行った。 ..

UNITO-MM-01/FORTE試験は、移植適応のある新規多発性骨髄腫患者(N=474人)に対する導入療法としてカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン(KRd)併用療法を実施後、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を実施し、コンソリデーション療法としてカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法を行う群、もしくは導入療法としてカイプロリス+シクロスファミド+デキサメタゾン(KCd)併用療法を実施後、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を実施し、コンソリデーション療法としてカイプロリス+シクロスファミド+デキサメタゾン併用療法を行う群に無作為に振り分け、主要評価項目として導入療法後の最良部分奏効率(VGPR)を比較検証したオープンラベルの第2相試験である。なお、コンソリデーション療法後は、維持療法としてカイプロリス+レナリドミド併用群、レナリドミド単剤群に振り分けられた。

肝細胞を初代培養肝細胞(primary hepatocytes)と呼ぶ。分離直後の肝細胞 ..

図5. 成熟化し組織化した小型肝細胞コロニーでは、毛細胆管網が発達し、嚢胞状の構造も形成される。毛細胆管面にはビリルビンの排出を担うトランスポーターのMRP2が発現し、グルクロン酸抱合を受けたビリルビンは毛細胆管内に排泄され、一方向に輸送され嚢胞状構造に蓄積する。組織化していない小型肝細胞にはMRP3が発現しており、取り込まれたビリルビンは培養液中に分泌される。

デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム(注射剤) ..

1). 慢性副腎皮質機能不全(原発性慢性副腎皮質機能不全、続発性慢性副腎皮質機能不全、下垂体性慢性副腎皮質機能不全、医原性慢性副腎皮質機能不全)、急性副腎皮質機能不全(副腎クリーゼ)、副腎性器症候群、亜急性甲状腺炎、甲状腺中毒症[甲状腺<中毒性>クリーゼ]、甲状腺疾患に伴う悪性眼球突出症、ACTH単独欠損症、下垂体抑制試験。

[PDF] 【肝細胞がん】デュルバルマブ+トレメリムマブ療法

下図は、培養液中にビリルビンを加えた時に、代謝産物が毛細胆管に排泄されるかみることにより、小型肝細胞が成熟化し、毛細胆管を形成しているか検討した結果である。

凍結肝細胞Hepatocytes (プライマリー細胞) · DTC(Dissociated Tumor Cells ..

PromoCell社より、25年以上に渡り世界中の科学者に支持されてきた細胞培養、細胞生物学研究用の高品質な製品と熟練したテクニカルサポートを集約された新カタログがリリースされました。細胞分析用アッセイや血管新生、細胞遊走/浸潤キットなどの多数の新製品が追加されました。

デキサメタゾンりん酸エステルナトリウム Dexamethasone Sodium Phosphate

血液中のビリルビンは、類洞面に局在するTransporterのOatp1を介して肝細胞内に取り込まれ、グルクロン酸抱合された後、毛細胆管面に局在するTransporterのMrp2を介して毛細胆管に排泄される。

肝細胞培養上清の ELISA 法による解析の結果、17β-エストラジオールによる ..

InVitroGRO HI/HT mediumにTransferrin、Selenious Acid、Linoleic Acidは含まれていません。また、Dexamethasoneは含まれていませんが類似のホルモンとして、Hydrocortisoneが含まれています。培地のすべての組成に関する情報をお伝えすることはすることはできませんので上記ご参照いただければと思います。

本論文は、骨髄及び筋肉由来の間質細胞の骨形成能を持つ細胞への分化がデキサメタゾンによ.

図4. Matrigelにより成熟化誘導された小型肝細胞は、アンモニア代謝能及び尿素合成能を有している。