た患者が登録された。全患者は,バリシチニブ(14日以下),レムデシビル(10日以下),デキサメタゾン(10日以下).


新型コロナの経過は,発症から1週間程度はかぜ様症状や嗅覚・味覚異常などの症状が続く.この時期はウイルス増殖期と考えられるため,抗ウイルス薬によって増殖を抑えることが理にかなっていると考えられる.また,感染者の2割は肺炎が増悪し,炎症反応が過剰に起こることによって重症化する.高齢者は特に重症化リスクが高い.この時期は過剰に起こった炎症を抑えるためにステロイドなどの抗炎症作用をもつ薬剤を使用するのが合理的と考えられる.つまり,現時点では新型コロナウイルス感染症の病期に合わせて「抗ウイルス薬」と「抗炎症薬」を組み合わせて行うという考え方になってきている.発症早期では抗ウイルス薬の効果が期待されるが,重症化してからは効果は期待されない.一方,抗炎症薬は発症早期では効果は期待できず,重症化してからの使用が推奨される.
「KEY WORDS」COVID-19,SARS-CoV-2,レムデシビル,バリシチニブ,デキサメタゾン


。それぞれどんな特徴があるのか。 □レムデシビル、幅広く使用 デキサメタゾン、飲むタイプも バリシチニブ、もとは関節リウマチ薬…

2019年末に中国で確認後、急速に全世界に拡散した新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2:SARS-CoV-2)は、今日に到るまで1億7000万人が感染し350万人が死に到る歴史に残るパンデミックとなっている。このSARS-CoV-2による新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)の治療法開発には多くの研究者と企業が総力をあげてこの一年取り組んできた。抗ウイルス活性が示唆される既存薬のrepositioningの試行に加え、重症例での病態への関与が示唆される過剰免疫の抑制についても各種抗炎症薬の効果を検証する臨床試験が実施されている。しかし、2021年4月時点、本邦でCOVID-19治療薬として承認されているものは、抗ウイルス薬のレムデシビルと、抗炎症薬であるデキサメタゾン、バリシチニブの3剤のみである。

背景
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に対するレムデシビルの有効性は前試験(The adaptive covid-19 treatment trial-1:ACTT-1)で示されたが依然として死亡率が高い。サイトカイン・ストームといわれる制御不能な炎症が重症度と関連していると考えられており、この炎症を抑えることで臨床転帰が改善することが期待されている。
バリシチニブは選択的Janus kinase (JAK) 1 and 2阻害薬であり、COVID-19発症時にみられるサイトカインを抑制することや酸素化を改善することがこれまでの研究で示されている。本研究はバリシチニブをレムデシビルと併用することにより臨床転帰を改善するか検証した。

承認されれば、新型コロナウイルスの治療薬としては、レムデシビルとデキサメタゾン、それにバリシチニブに続いて4例目となります。 目次に戻る

日本でコロナウイルスの治療として承認されているのはレムデシビル、デキサメタゾン、バリシチニブ、抗体カクテル療法の4つです。

薬品名(商品名)レムデシビル(ベクルリー)抗ウイルス薬ファビピラビル(アビガン)デキサメタゾン免疫抑制薬バリシチニブ(オルミエント)トシリズマブ(アクテムラ)呼吸管理・酸素吸入抗ウイルス薬免疫抑制薬抗血栓薬用法・用量初日200mg2日目以降100mg1日1回点滴静注5日間(最長10日間)初日3,600mg2日目以降1,600mg内服10日間(最長14日間)6mg 1日1回(経口・経管・静注)10日間4mg1日1回内服最長14日間8mg/kg単回点滴静注発症早期前半ウイルス増殖軽症ファビピラビルレムデシビル対象臨床試験(対照群との比較)回復までの期間短縮 10日 vs 15日死亡率改善傾向 11.4% vs 15.2%症状改善、ウイルス陰性化までの期間短縮 11.9日 vs 14.7日死亡率改善人工呼吸管理例 29.3% vs 41.4%酸素吸入例 23.3% vs 26.2%症状回復までの期間短縮7日 vs 8日死亡率改善 31% vs 35%中等症~重症軽症~中等症中等症~重症中等症~重症中等症~重症後半中等症Ⅰ中等症Ⅱ酸素吸入デキサメタゾンバリシチニブトシリズマブヘパリン免疫反応重症人工呼吸管理/ECMO表1 COVID-19の主な治療薬図1 薬物療法。重症度に応じて、感染前半には抗ウイルス薬、後半以降は免疫抑制薬を用いる。薬 YEARBOOK '21/'22 デキサメタゾンは重症のアレルギー疾患、自己免疫疾患など多くの疾患、病態の治療に用いられてきた。COVID-19においてコルチコステロイドの抗炎症作用が過剰な炎症を抑制することが期待され、用いられる。臨床試験において死亡率を人工呼吸管理患者では41.4%から29.3%に、酸素投与を必要とした患者では26.2%から23.3%に低下させた2。ただし、酸素投与を必要としなかった患者では予後改善効果を認めなかった。6mgを1日1回10日間(経口・経管・静注)する。副作用として血糖値上昇、易感31特集1 歯科医師が知っておきたいCOVID-19の基礎知識3.免疫抑制薬症状発現から72時間以内、かつ基礎疾患などの重症化リスク因子を有する50歳以上の感染者を対象に新たな臨床試験が行われており、その結果が待たれる。1錠200mgの錠剤を初日3,600mg(1,800mg 1日2回)、2日目以降1,600mg(800mg 1日2回)を10日間、最長14日間内服する。注意点として、妊娠していないことを確認して投与すること、また、投与期間中および投与終了後14日間は避妊法を徹底すること、男性では投与期間中および投与終了後10日間まで避妊法を徹底することが必要である。副作用として尿酸値上昇があり、相互作用をきたす薬剤としてテオフィリン、スリンダクなどがある。

レムデシビル、デキサメタゾンもしくはバリシチニブの継続使用の推奨、また

1年前との大きな違いは治療や治療薬があること


——どのような薬が、コロナの治療で使用されていますか。

軽症から中等症Ⅰの人で、重症化リスクのある人は、7月に特例承認された中和抗体薬ロナプリーブの適応となります。この薬剤は1回の点滴投与を行う薬剤で、発症早期に使用することが望ましいとされています。中等症Ⅰであれば、昨年5月に特例承認された抗ウイルス薬レムデシビルも適応となります。レムデシビルは点滴で1日1回で5日から10日間投与します。
中等症Ⅱや重症になると、中和抗体薬は適応からはずれます。レムデシビルは適応であり、さらに免疫を抑える薬であるデキサメタゾンといったステロイド薬や、関節リウマチで使用されているオルミエントも適応になります。デキサメタゾンは飲み薬も点滴もありますし、オルミエントは飲み薬になります。
中等症Ⅱや重症では、酸素投与が必要な状態ですので、酸素投与や重症度によってはネーザルハイフローといった高流量酸素投与や人工呼吸器による管理を行うとともに、レムデシビルや免疫を抑制するステロイドやバリシチニブを併用することもあります。


——コロナが流行しているなかで、治療薬も徐々に増えてきていますが、安全性や有効性はいかがでしょうか。

現在使用されているいずれの薬剤も、コロナが発生した当時は存在しなかった、または有効性がわからなかったもの。1年数カ月が経過するなかで、世界的に十分に治験が行われ、有効性が示されたものが出てきているというのは、非常に重要なことです。ワクチンもあり、治療という面での対応ができるようになってきているのは、1年前との大きな違いだと思います。
最初は、既存のほかの病気のためにつくられた薬がコロナにも有効ではないかという視点で開発が進められていきました。同時に、コロナのための治療薬の開発も進められてきました。さらに、治験で統計的に優劣をつけたうえで薬事承認されています。
これだけの治療薬が短い期間で有効性を示し承認されているのは、製薬会社や協力してくれている医療機関の方々、参加された患者さんの支援があったからこそです。
現在、ほかにも治療薬の開発が進められています。有効性が治験で示され、いずれ承認されて使用できるようになれば、治療の選択肢もさらに増えていくことが期待されます。

一方、レムデシビルの有効性については否定的な報告も存在する。重症COVID-19患者を対象に中国で実施された多施設共同プラセボ対照二重盲検RCTでは、目標被験者数452例の組み入れを達成できず237例の組み入れで試験を終了した為統計学的な解釈は困難であるものの、臨床状態改善までの時間に両群の差は認められなかった(本剤群21日、プラセボ群23日、ハザード比:1.23[0.87, 1.75])。世界30カ国から入院中COVID-19患者を登録し、レムデシビルを含む複数の薬剤の有効性を評価するWHO主導の非盲検RCT(Solidarity試験)の中間解析の結果も、死亡率、挿管率、入院期間等の有効性評価指標について、各治療群(レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル及びインターフェロン1α)と各々の対照群との間に大きな差異を認めなかった。このように、レムデシビルの有効性に関して試験間でのばらつきはあるが、これまでの試験成績や作用機序からは、重症化前の酸素需要のある発症早期例でより高い効果が得られることが想定される。

国内で既に承認されている「レムデシビル」、「デキサメタゾン」に次いで3つ目の治療薬となりました。 「バリシチニブ ..

バリシチニブ(Baricitinib)は、関節リウマチに対する治療薬として、2017年よりオルミエント ®という名前で日本国内でも市販されていた飲み薬です。
体内で炎症が起こると、サイトカインという細胞間の情報伝達を行うタンパク質がリンパ球などから放出され、これが様々な細胞の表面にある受容体というタンパク質に結合することで、細胞の中に炎症のシグナルが伝わります。
バリシチニブは、受容体から細胞の中に信号を伝える際に必要な、ヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素を阻害することで、サイトカインによって細胞で炎症が起こることを抑える働きを持っています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を重症化させる、いわゆるサイトカイン・ストームに対して有効な薬剤として、米国では昨年11月より抗ウイルス薬レムデシビルとの併用治療が緊急使用許可されていました。
日本では、イーライ・リリー社によって昨年12月にCOVID-19の治療薬として承認申請が行われ、4月21日の厚生労働省の審議会で承認されました。
COVID-19の治療薬としては、レムデシビル、デキサメタゾンに続く3剤目となります。
今回は、承認の決め手となったと思われる、国際二重盲検試験(ACTT-2)の成績を報告した論文を読み解いてみたいと思います。
論文が掲載されたのは、The NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE 誌の2020年12月11日号です。

原文(英語)や図表は、下のリンクからお読みいただけます
Baricitinib plus Remdesivir for Hospitalized Adults with Covid-19

ニュースなどで多くの方がご存じかと思いますが、たとえ新型コロナウイルス感染症を発病しても、ほとんどの患者さんは風邪のような症状をへて軽症のまま治ってしまいます。
しかし、一部の患者さんでは重症化して酸素吸入が必要になったり、更に悪化して人工呼吸器やECMOで生命を維持する治療が必要になったり、最悪の場合亡くなってしまったりします。
このような重症化が起こるメカニズムとしては、ウイルスの感染をきっかけに免疫システムが、いわゆる「サイトカイン・ストーム」を起こし、制御不能な炎症が肺を始めとした臓器に生じてしまうという説が有力です。
このため、新型コロナウイルス感染症の治療としては、①発症早期にはウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を、②サイトカイン・ストームで重症化した場合には炎症を制御する薬剤を、という二段構えの戦略が必要になります。
新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として国内承認された薬剤のうち、昨年5月に承認されたレムデシビル(ベクルリー®)は①の働きを持つ薬であり、昨年7月に承認されたデキサメタゾンは②の働きを持つ薬剤でした。
今回国内承認されたバリシチニブ(オルミエント ®)は②の働きを持つ薬剤ですが、デキサメタゾンと比較してどちらが有効性・安全性で優れているかは今の所わかっていません。
米国の疾病対策予防センター(CDC)のガイドラインでは、②の薬剤としてはデキサメタゾンを優先し、副作用の問題(高血糖など)でステロイドホルモンが使用できない症例では、バリシチニブの投与を検討するように記載されているようです。
一方、日本国内では、昨年末あたりからバリシチニブの保険適応外での使用が認められ、重症のコロナウイルス感染症の患者さんに投与が開始されていましたが、
①肺炎の陰影がCTスキャンで確認され、酸素飽和度が低下し始めるとレムデシビルの投与を開始
②悪化して酸素吸入が必要な状態になると、レムデシビルにデキサメタゾンを追加
③デキサメタゾン投与でもさらに悪化すると、上記2剤にバリシチニブを追加
という形で、デキサメタゾンとバリシチニブのどちらかを選択するというよりは、両剤を併用する医療機関が多いようです。
どちらが治療戦略として最適なのか、明らかになるにはしばらく時間が必要かもしれません。
近々改定されるであろう、厚生労働省の「COVID-19診療の手引き」では、本剤がどのような位置づけで記載されるのか興味があるところです。
第4波の到来による医療機関の逼迫が毎日のように報道されている今日このごろですが、バリシチニブの正式承認によって、投与する医療機関が増加→重症患者のICU滞在日数が短縮→重症病床の逼迫状態が改善、という流れが多少なりとも生じることを期待したいと思います。


されている医薬品として、レムデシビル、デキサメタゾン、バリシチニブ、トシリズマ

4/25 追記
米国で進行中だったレムデシビル+デキサメタゾン療法とレムデシビル+バリシチニブ療法の比較試験(ACTT-4)が、有効性において有意差が出ない見込みのために新規の症例登録を中止したとの報道がありました。炎症を抑制する薬剤としては、病態に応じてデキサメタゾンとバリシチニブのどちらかを使えば良いと思われます。
(両方使用するとさらなる有効性が期待できるかは、追加で検討が必要と思われます。)

レムデシビル(ベクルリー®)、デキサメタゾン、バリシチニブ(オルミエント®)、 ..

IV.デキサメタゾン
重症COVID-19患者は,肺障害および多臓器不全をもたらす全身性炎症反応を発現する.コルチコステロイドの抗炎症作用によって,これらの有害な炎症反応を予防または抑制する可能性が示唆されている.
英国で行われた入院患者を対象とした大規模多施設無作為化オープンラベル試験では,デキサメタゾンの投与を受けた患者は,標準治療を受けた患者と比較して死亡率が減少したことが示された.
この研究は6,425人の参加者を対象に行われ,デキサメタゾン群2,104人,対照群4,321人が参加した.デキサメタゾン群の参加者の21.6%,対照群の24.6%が,試験登録後28日以内に死亡した(RR0.83;95%CI,0.74~0.92,P<0.001).予後改善効果は,無作為化時に侵襲的人工呼吸管理を必要とした患者で最大であり,また登録時に酸素投与を必要とした症例でも予後改善効果がみられた.しかし,登録時に酸素投与を要しなかった集団では予後改善効果はみられなかった.本邦ではデキサメタゾンが使用された報告はないものの,プレドニゾロンなど他の種類のステロイド薬が使用された症例報告は散見される.なお,デキサメタゾンは現在の承認の範囲内で新型コロナウイルス感染症に対しても使用可能である.
なお,ステロイドであるデキサメタゾンをウイルス増殖期に投与すれば理論的にはむしろ予後を悪化することも懸念されることから,現時点では酸素投与が必要な中等症2の時点で投与を開始することが一般的である.

レムデシビル デキサメタゾン、バリシチニブ,トシリズマブを使用。

V.バリシチニブ(JAK阻害薬)
COVID-19と診断された入院患者1,033人を対象にレムデシビル(10日以内)に加えて,バリシチニブ(14日以内)またはプラセボ(対照)を投与したRCTでは,バリシチニブを投与された患者の回復までの期間中央値は7日,対照群では8日であり(回復率比,1.16;95%CI,1.01~1.32;P=0.03),15日目の臨床状態の改善オッズは30%高かった(オッズ比,1.3;95%CI,1.0~1.6).また登録時に高流量酸素または非侵襲的人工呼吸を受けた患者の回復までの期間は,併用療法で10日,対照群で18日であった(回復率比,1.51;95%CI,1.10~2.08).デキサメタゾンとバリシチニブの優位性の検証は現在行われているところである.
すでにデキサメタゾンなどのステロイドを投与されている患者に追加でバリシチニブを投与することで予後を改善する効果もあると考えられている.侵襲的人工呼吸を行っていないCOVID-19の入院患者1,525名を対象とした多国籍プラセボ対照無作為化試験のプレプリントの報告では,標準治療にバリシチニブを追加することで28日後の死亡率が低下した(プラセボ群13.1%に対して8.1%,HR0.57,95%CI0.41~0.78).
なお後述のトシリズマブとの併用については効果・安全性は不明のため推奨されない.

[PDF] COVID-19中等症Ⅱに対するレムデシビル,デキサメタゾン

◎現在,重症化する感染者の割合は激減しており,複数の抗ウイルス薬(レムデシビル,モルヌピラビル,ニルマトレルビル/リトナビル,エンシトレルビル)が承認されている.また,重症例ではデキサメタゾン,バリシチニブ,トシリズマブなどの抗炎症薬が使用される.

レムデシビル単剤とレムデシビル,バリシチニブ(bar- icitinib)併用の治療を比較したACTT-2試験が行われ,

RdRPによる転写を阻害するグアノシンの核酸アナログ製剤であり、C型肝炎の治療薬として開発が進められてきた経口摂取が可能な化合物である[8]。In vitroでSARS-CoV-2の増殖を阻害することが報告されている[9]。本剤は厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症治療薬の実用化のための支援事業(以下、支援事業)」の対象品目であり、現在軽症~中等症外来患者対象の国際共同第Ⅲ相試験(MORNINGSKY Trial)に、本邦も参加している。