抗うつ薬は状態がおちついてきても、しばらくは続けていく必要があります。


抗不安薬のほとんどは「ベンゾジアゼピン」と呼ばれる化学物質でできているお薬で「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」と呼ばれます。大量に飲んでも直接命にかかわらないため、安全なお薬として治療に用いられてきました。ただし、下記のような副作用と問題点があるため、症状が安定してくれば、定期服用は減量・中止を目指し、頓服(必要なときに服用するお薬)にとどめていくことが理想的です。
●依存性、●眠気、●ふらつき、●認知機能の低下
このうち依存性には、下記2つのパターンがあります。
■どんどんとお薬の量が増えてしまう。
■やめるのが不安でやめられなくなる。
抗不安薬では、後者がとても多く、良くなっているにもかかわらず減量しようとすると、しんどさを感じ、薬を減らせません。
かといって、量が増えていくわけでもないので「常用量依存」と呼ばれます。抗不安薬の中でより「常用量依存」になりやすいものには、下記2つの特徴があります。
○作用が強い、○作用時間が短い
つまり、効果が強くて即効性のある薬ほどやめにくく感じます。では、どのような抗不安薬の減量方法があるのでしょうか?
当院では、以下のような方法を案内しています。
①漸減法(間隔はそのままで服用量を少しずつ減らす方法)
今服用している薬を少しずつ減らしていきます。
半錠に割った形で処方し、調子のいいときは半錠で試していただくこともあります。薬が必要な時とそうでない時の
区別ができるようになると、頓服扱いに変えていけます。
②変薬
「やめにくいタイプの薬」から「やめやすいタイプの薬」にゆっくり変更します。依存の問題がない漢方薬を追加することもあります。その上で、漸減法を行います。
③主剤の十分な処方
不安症・パニック症はSSRI剤、慢性疼痛は各種抗うつ薬、気分が不安定な時は気分安定薬などが治療の主剤(中心薬剤)です。これら主剤(中心薬剤)が足りていない状態の方には十分な量を処方した上で、抗不安薬の減量を行います。
★抗不安薬には即効性が期待できるという特徴があり正しく使えば非常に有用なお薬です。心療内科の治療では気持ちや症状が落ちつくことで、物事のとらえ方が変わることも少なくありません。また、このお薬があれば大丈夫という安心感も、症状の再燃・悪化を減らしてくれます。正しい理解を深めていただき、より良い治療につながれば幸いです。


また、依存性がほとんど無い抗うつ薬も選択肢のひとつとなります。

10数年前より「会社に行くのが辛い」「起きられない」と抑うつ気分に悩み続けていた40歳の女性。初診時にドグマチール、デパスの処方を受けたが、昼夜逆転や意欲低下も認められるようになり、途中からはリタリン(注:現在はうつ症状には処方不可となっている)の追加投与を受けていた。しかし、「生きているのが嫌」「死にたい」と症状は悪化し、アルコールを多飲したり、薬物を規定以上に服薬してしまうこともあった。その後、トレドミン、パキシルなどの抗うつ薬や抗不安薬・睡眠導入剤などを多剤併用するようになったが、一向に改善が見られない状況が続き、ちょうど1年ほど前に私が担当となった。
あらためて話を伺うと、「人との距離が取れない」とのこと。社会適応がうまくいかないために前述の症状が出ている可能性が考えられたため、薬物療法のみでなく認知行動療法(「認知」や「行動」上の問題点を明確化しそれを修正することで、適応力を高めていく治療法)を導入した。3か月経過した頃に話を聞くと「認知行動療法で話すと少しは楽。でも薬は効いているのか分からないので、最近はあまり飲んでいない。」とのことだった。そして精神面が安定を見せ始めた一方で、「今は(精神面よりむしろ)体の症状の方が辛い」とのお話が出た。具体的には、むくみ、頭が重い、下痢に悩んでいるという。さらには、今まで内服していた睡眠導入剤のマイスリーのせいか、夜間に知らないうちに電話をかけているといった夢遊症状が出現していた。私は、思い切って今までの薬を全て中止し、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)とアナフラニール1錠のみを使うこととした。
すると2週間後の再診で、「朝の気分が良くなった。生活サイクルが良くなった」と言う。職場での自分の存在価値に悩みを抱いている時であったが、認知行動療法と漢方薬を併用するようになってからは気持ちが落ち着いたようで、1か月後にはなんと転職を果たした。認知療法を自ら中止。その2か月後には「うつは治った感じ。すごく楽」と笑顔を見せるまでになった。仕事もきちんと続けている。「時々落ち込むことはあるけれど、それを自分でコントロールできるようになった。納得できない内容の仕事があっても、発想を切り替えてやり続けることができるようになった」と清々しい顔で話をしてくれる。10年以上もうつ症状に悩み、アルコール多飲、過量服薬までしていた患者さんとはとても思えない。
今回のケースは、西洋薬だけの治療から、認知行動療法と漢方薬に変更することでうまくいった例である。まずは認知行動療法で気持ちにゆとりを持つことができるようになり、次に体の症状改善に焦点をあてた漢方薬を使用。その結果、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入剤などを多数内服していた患者さんが、漢方薬と最少量の抗うつ薬で自覚的に「うつが治った」と感じることができるようになった。
本来、抗うつ薬は不安や焦燥感を取り除くために処方する薬である。ところが、逆にそれらを煽ってしまうアクチべーション・シンドロームが認められたり、倦怠感が見られたり、ときには睡眠導入剤(特にマイスリーなど短時間作用型)で夢遊症状が出現することがある。そのため処方後も丁寧な問診を続けることが重要である。一方で、認知行動療法と漢方薬であれば、体への負担は少なく、妙な副作用の出現もほとんどない。さらに、精神科薬に対してマイナスイメージを持つ患者さんにも受け容れられやすい。
この患者さんは、体の症状が改善されたことで気持ちも安定してプラス思考となり、仕事をうまくこなせるようになった。このように「体と心は一体」であることを、特に女性の患者さんでは感じることが多い。抗うつ薬ばかりに頼るのではなく、漢方薬で体の症状を改善してみることで全体的な調子が上向き、結果として精神科薬を減量できるようになることは珍しくない。

エスシタロプラムはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)に分類される抗うつ薬で「レクサプロ」という商品名で販売されています。ジェネリック医薬品も多く販売されており、その場合は名前に「エスシタロプラム」とつきます(以降「エスシタロプラム」にて統一します)。

抗不安薬を十分に使っても不安がしずまらない場合、していきます。

心療内科のお薬には、主に「抗不安薬」(デパス、セルシン、ワイパックスなど)、「睡眠薬」(マイスリー、ルネスタ、ロヒプノールなど)、「抗うつ薬」(パキシル、デプロメール、レクサプロ、サインバルタなど)、「気分安定薬」(リーマス、デパケンなど)、「抗精神病薬」(リスパダール、セレネース、ジプレキサ、セロクエルなど)などがあります。

セルトラリンは米国ファイザー社によって合成されたSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)に分類される抗うつ薬で「ジェイゾロフト」という商品名で販売されています。

不安に対してもっともよく使われる抗うつ剤はと呼ばれる種類です。

エスシタロプラムはデンマークで開発された抗うつ薬です。2001年にスウェーデンで初めて承認され、その後ヨーロッパ全土に広まり、日本でも2011年に「うつ病・うつ状態」の効能・効果で承認されています。2014年12月末までに、米国、英国、カナダ、オーストラリアなど世界98の国と地域で使用され、約3億5千万人以上に対して投与されたと推定されています。

抗不安薬のベンゾジアゼピン系抗不安薬うつ病治療で主に用いられる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

ルーランは抗不安薬のセディールに似ていて、抗不安作用が期待できます。

古くから使われてきた三環系や四環系といわれるタイプの抗うつ薬は強力な効果がある反面、副作用も強いため使いどころが難しいお薬でした。しかしエスシタロプラムは副作用を起こす頻度が低く、それでいて治療効果も三環系や四環系と同程度なので患者さんにとって使いやすく、継続しやすいお薬になっています。飲み始めてすぐに効果はあらわれませんが、飲み続けると徐々に脳内で作用を発揮し、抑うつ気分や不安をやわらげてくれます。

ミルナシプランはトレドミンという商品名で販売されているSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)に分類される抗うつ薬です。


なかでもよく処方されているのはレクサプロ、ジェイゾロフトといった抗うつ薬です。

ミルタザピンはリフレックスやレメロンという商品名で販売されているノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤(NaSSA)に分類されるお薬です。

セパゾン錠1の基本情報(副作用・効果効能・電子添文など) / 抗不安薬

抗うつ薬は、脳内でモノアミンと呼ばれる神経伝達物質(神経細胞間を橋渡しをする物質)を増やす作用が認められます。うつ病の患者さんはモノアミンが減少していることから、このモノアミンの量を調整することで脳内のバランスを整え、つらい症状を改善していくと考えられています。

長時間型の比較:抗不安作用はランドセン/リボトリール>セパゾン>セルシン/ホリゾンです。 ..

抗不安薬は効き目が早いのが特徴ですすぐに不安症状を抑えたい場合には抗不安薬の服用が有効です

[PDF] 新たに向精神薬に指定される内服薬の投薬期間について(案)

(1)投与後まもなく効果発現し、中止後まもなく効果消失するもの(その日限りの症状を緩和する薬):
鎮静作用、催眠作用、抗不安作用、など

(2)十分量・十分期間投与後初めて効果発現し、中止後しばらくして効果消失するもの:
抗精神病作用、抗うつ作用、抗躁作用、など

ですから、日によって薬を増減しても、(2)では意味がありません。

サゾラム(セパゾン)、クロチアゼパム(リーゼ)、クロルジアゼポ

抗不安薬は眠気や記憶障害などの副作用が強めにでる傾向があります。

キシド(コントール)、フルジアゼパム(エリスパン)、ブロマゼパム

うつ病以外にも、パニック障害や社交不安障害などの不安障害、強迫性障害などにも適応が認められています。セロトニンが増えることで、とらわれが少しずつ薄れていきます。
また、睡眠を促す作用のある抗うつ薬は、睡眠障害に使われることもあります。悪夢がみられるときは、レム睡眠を減少させる抗うつ薬が使われることがあります。

ソラナックス、デパス、セレナール、セパゾン、バランス、ホリゾン、グランダキシン ..

抗うつ薬の長所は、比較的副作用が少ないこと服用を急に中止すると、頭痛やめまいなどが出現する場合があるため注意が必要

減薬にコツや減薬しやすくする道具があります。それらについて精神科専門医がわかりやすく説明します。

セパゾンは、効果のわりには副作用の少ないベンゾジアゼピン系抗不安薬です。古くからあるお薬で、以前はよく使われていましたが、最近は新しいお薬を使われることが多くなりました。

レクサプロ)、デュロキセチン(商品名サインバルタ)などの薬剤が服用可能です ..

何より大事なことは“薬を減らすこと”そのものではなく“症状が改善した状態のまま薬を減らしていくこと”です。“薬を減らすこと”だけを気にしすぎると、思わぬところで症状のぶり返しがあり、かえって薬の量が増えてしまったり、減らすことのできるタイミングが先に延びてしまうことがあります。そこで、疾患や症状によって減薬のコツが異なりますので、主要な薬と疾患について薬の減らし方のポイントを簡単に以下紹介します。
(1)共通
①薬を増やす時も減らす時も体がびっくりしないよう少しずつ!
(2)睡眠薬、抗不安薬
①複数薬を服用の場合、薬の種類を減らす!
②薬の錠数や、容量を減らす!
③服用している薬を中止しやすいタイプの薬に変更!
④効果が十分に得られるようになれば頓用に変更!
(3)抗うつ薬、抗てんかん薬、抗精神病薬
①服薬を開始する時は効果が出るまでじっくりと!
②中止は焦らず慌てず良くなり十分に時間が経ってから!
③痛み治療薬として使用する時は症状が改善して十分な
期間(3か月以上)経過後、無理ないスピードで減量・中止!
④その他の疾患で使用時は症状に合わせて減量・中止!
(4)漢方薬
①色々な症状や疾患に、西洋薬との併用や単独で使用!
②西洋薬を中止するために、症状がぶり返しにくくするため、漢方を一時的に追加し、最後に漢方薬を中止!

(レクサプロ)、2位:セルトラリン(ジェイゾロフト)、3位:ミルタザピン(リ ..

抗うつ薬は、飲み始めてすぐに効果が実感できることは多くありません。一般的には、効果が出てくるまでに2週間~1か月ほどはかかるといわれています。
抗うつ薬は、規則正しく服用することがとても大切です。もしもお薬を飲み忘れてしまったら、少しずれてもいいので必ず服用してください。
よくなるとお薬をすぐにやめたくなってしまうかもしれませんが、脳の神経伝達物質が安定するにはしばらく時間がかかりますし、治りたての時期はストレスにも弱いです。不安の病気では、無意識に苦手意識が残っています。
症状が本当に安定したのちに、生活の変化が少ない時期に少しずつ減量をすすめていきます。

クロキサゾラム(セパゾン) クロルジアゼポキシド(コントール), 未記載1, 11~21

また、抗うつ剤をご自身で減らしたり、服薬を止めてしまった際に、体調が悪くなってしまうことがあります。

[PDF] 投薬期間に上限のある医薬品(2022 年 4 月改訂版)

統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)には、(1)中脳辺縁系のドーパミン神経の活動性増加が関与するという仮説があり、統合失調症の陰性症状(感情鈍麻、意欲低下など)や認知障害には、(2)中脳皮質系のドーパミン神経の活動性低下が関与するという仮説や、脳の構造変化や神経の脱落が関与するという仮説があります。抗精神病薬はこれらの神経系のドーパミンD2受容体を遮断して作用を発揮します。
脳内のドーパミン作動系には、
(1)中脳辺縁系 (2)中脳皮質系 (3)黒質線条体系 (4)結節・漏斗系
があり、これらを遮断すると、下記の作用が見られます。

薬の大量摂取 オーバードーズに走る女性たち 死のうと思って…

パニック障害が治る(治療)のを抗不安薬(ベンゾジアゼピンの頓服)が邪魔をする

レクサプロ10mg(夕食後)が追加になりました。レクサプロを飲み始めてから昼間の ..

世界初の抗うつ薬イミプラミン(トフラニール®)が偶然発見されてから半世紀あまり…。

レクサプロ 力が入らないについて | 医師に聞けるQ&Aサイト

現在の主流は、比較的副作用の少ないとされるSSRIやSNRIやNaSSAになりますが、三環系抗うつ薬など古いタイプの方が優れた効果を発揮するケースもあるため、それぞれの患者さんに応じ、もっとも適切と判断されたものをお飲みいただきます。