局所麻酔薬の特性と末梢神経ブロックにおける効果持続時間延長のための手段 ..


オピオイドによる眠気には,眠気の強度と苦痛の程度を評価する。精神刺激薬,オピオイドスイッチング,投与経路の変更,神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討する。


麻酔 2017年3月号【特集】末梢神経ブロックの将来 | 克誠堂出版

オピオイドによるせん妄に対しては,抗精神病薬の投与,オピオイドスイッチング,オピオイドの投与経路の変更のいずれかを行う。効果不十分な場合は,神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止を検討する。

20 緩和医療とオピオイド(栗山俊之/川股知之)
1 転移が認められた非小細胞肺がん患者に対する緩和ケアの早期導入は,QOLと気分を改善し,生存期間を延長させる
2 デキサメタゾンは,進行がん患者のがんに伴う倦怠感を改善する
3 通常の制吐療法にオランザピンを併用することで,化学療法誘発悪心・嘔吐は抑制される
4 OPRM1 A118G遺伝子の変異は,術後鎮痛に必要なオピオイドの量を増加させる
5 切除不能な進行膵がんによる痛みは,腹腔神経叢ブロックで軽減する

段の一つが末梢神経ブロック(peripheral nerve block; 以下

ドゥシャンヌ型筋ジストロフィはX染色体短腕にあるジストロフィン遺伝子の変異に起因する難病で、筋細胞が障害されることによる呼吸や循環機能の減弱に加え、麻酔薬や筋弛緩薬に対する異常反応をきたすリスクがあります。今回、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院シュライナー研究所においてドゥシャンヌ型筋ジストロフィの研究を続けておられる安原先生に筋ジストロフィ患者の麻酔管理についてお話し頂きました。

ドゥシャンヌ型筋ジストロフィは前述したジストロフィン遺伝子変異によって、筋肉のコスタメア構造の根幹をなすジストロフィン分子が変異し、筋細胞が壊れやすくなります。なぜ壊れやすくなるのかに対していくつかの理論がありますが、安原先生はドゥシャンヌ型筋ジストロフィモデル動物であるmdxマウスにおける血流反応性の異常を発見し、筋肉が機能虚血に陥っていることを世界に先駆けて証明されました1)。この筋肉と血管の両者の相関を考える2ヒット病因論をわかりやすくご教授いただきました。またオートファジーがブロックされている筋ジストロフィ患者に対し、全ての麻酔薬はオートファジーを誘導する2)ため筋細胞に対して保護的に作用するかと思われますが、筋ジストロフィ患者における麻酔薬による医療事故3)が報告されており、患者状態が増悪した際の主症状を見逃さず、注意深く観察する必要があるとご説明いただきました。

ドゥシャンヌ型筋ジストロフィ研究の第一線でご活躍されている安原先生の大変貴重なお言葉でした。(風間)

がん薬物療法における基本的な制吐薬として,NK1受容体拮抗薬,5-HT3受容体拮抗薬,デキサメタゾンの3 剤があり,これらを催吐性リスクによって使い分けていく(→,,制吐療法アルゴリズム,制吐薬治療のダイアグラム)。最近のQI 調査においては,催吐性リスクに応じた適切な制吐療法をどの程度行っているか,それを確実に行う体制が整備されているかが評価項目となっており,施設全体の取り組みであるという認識が必要である。

[PDF] 末梢神経ブロック (PNB)後のリバウンドペインとは

オピオイドによる悪心・嘔吐には,想定される悪心・嘔吐の機序に合わせて制吐薬(ドパミン受容体拮抗薬,消化管蠕動亢進薬,または抗ヒスタミン薬)を投与する。効果不十分な場合は,制吐薬を併用,制吐薬を変更,オピオイドスイッチング,投与経路の変更,神経ブロックなどによるオピオイドの減量・中止などを検討する。

他のどの病院も断った難手術を要する患者様を紹介されるボストン小児病院で、その難手術を成功に導くためのシミュレータ教育に尽力しておられるPeter Weinstock先生にご講演いただきました。

先生は「医療は本番前に練習をしない最後のハイステークス業界かもしれない」と危惧され、定期的に個別に対応した現実に近い環境でのリハーサルや準備を行うことでヘルスケアを最適化することを目的にシミュレーション活動を開始されました。シミュレーション2.0ではカリキュラムゾーンをゾーン0〜4に分け、純粋なテクニカルスキルからシナリオ、チームワーク、ライブビデオへと段階的にステップアップすることでバーチャルリアリティを実現し、臨床現場で使える技能に磨くことが可能であると教えていただきました。これにより14時間以上かかると予想されていた手術が4時間で成功したり、ICUに数週間入ると予想されていた患者様が翌日に抜管され、10日後には退院が可能となった症例も報告されています。リアリティを実現するためにSimulation Engineerの協力のもと、3Dプリンタなどの技術を活用して患者様の模型作成も行い、具体例として臨床のその場で練習できるウエラブルポートカテ(ポート部分を体表外ケースに封じた中心静脈カテーテル)や十二指腸腹部トレーナー、新生児beating heart心バイパストレーナー、手術可能な銃創トレーナー、新規ギプス抜去シミュレーショントレーニング1)、低侵襲神経外科手術のための新しいシミュレータを提示していただき、どれも精巧なものでした。

SIM Pedsサービスは現在7カ国12病院で採用されており、診療の安全性や効率が向上、合併症の低減や業務時間の短縮も期待でき、またアメリカでは$1の投資に対して$7相当の利益を生み出せた実績の報告もあり、期待が高まっております。今後、日本への導入も待ち遠しくなるような、Peter Weinstock先生の貴重なお言葉でした。(風間)

(3) 末梢神経ブロック(腕神経叢ブロックや大腿神経ブロックなど ..

19 ペインクリニック(河野達郎)
1 慢性内臓痛モデルマウスでは,前帯状回皮質のAMPA型グルタミン酸受容体の可塑性変化が痛みに関与している(共著者:佐々木美佳)
2 モルヒネによる痛覚過敏の原因は,ミクログリアを介した神経細胞内Cl-の変化にある(共著者:佐々木美佳)
3 慢性痛の小児に対して,心理的治療は有効か?(共著者:田中萌生)
4 術後慢性痛は予防できるか?:関連因子の考察(共著者:田中萌生)
5 群発頭痛は脳における痛みネットワークの異常である(共著者:田中萌生)

がんによる神経障害性疼痛には,鎮痛補助薬(抗けいれん薬,抗うつ薬,NMDA 受容体拮抗薬,抗不整脈薬,コルチコステロイド)の投与を行う。鎮痛補助薬は,薬剤に生じやすい副作用と痛みを生じている病態から選択する。効果不十分な場合には,鎮痛補助薬の併用・変更,神経ブロックを検討する。骨転移による痛みには,予測される生命予後を検討したうえでビスホスホネート,デノスマブなどのbonemodifying agents(BMA)の投与の検討や,神経ブロックの適応を専門家に相談する。上腹部の痛みには,腹腔神経叢ブロックなどの神経ブロックの適応についてなるべく早い時期に専門家に相談する。胸部の痛みには,硬膜外ブロック,肋間神経ブロック,神経根ブロック,クモ膜下フェノールブロックなどの神経ブロックの適応を専門家に相談する。会陰部の痛みには,サドルブロックなど神経ブロックの適応を専門家に相談する。悪性腸腰筋症候群で腸腰筋の攣縮がみられる場合には筋弛緩薬の投与を検討し,また神経ブロックの適応について専門家に相談する。消化管閉塞による痛みには,消化管分泌抑制薬(オクトレオチド酢酸塩,ブチルスコポラミン臭化物)とコルチコステロイドの投与を検討する。


デキサメタゾン(仙骨硬膜外腔,神経周囲,静脈内投与)は局所麻酔薬の仙骨硬膜外ブロック(N)

鎮痛効果が不十分な場合は,非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用,レスキュー薬の増量,定期投与量の増量,神経ブロックなどを検討する。

神経障害性疼痛は,中枢神経系・末梢神経系の障害によって引き起こされる。 ..

日本語
ステロイド添加が股関節骨折手術における神経ブロックの鎮痛効果に及ぼす影響についての研究

ているが、局所鎮痛法 (末梢神経ブロック、LIA) に対する優位性


局所麻酔薬の使用量が多くなるため、他の局所麻酔法に比べ中毒の発生に注意しなければなりません。薬の極量の把握はもちろんのこと、皆さんが医師に薬液注入を頼まれた場合、血管内注入を避けるため必ず注入前ごとに血液が引けないか吸引確認し、その旨を医師に伝えてから毎回注入しましょう。術後回復室で急に興奮しだしたり、口唇の痺れの訴えが出たら、即座に局所麻酔薬中毒を疑うくらい警戒して接していきたいものです。四肢のブロック後、多くの場合には痺れや感覚鈍麻、筋力低下が残っている状態で手術室から病棟に申し送ることになります。麻酔以外にも手術操作やターニケット(四肢を血圧の2倍以上の圧で駆血して出血しない状態で手術を行えるようにする器具)による影響かもしれませんが、術後経過を慎重に見ていくよう継続看護の視点は重要です。

➀末梢神経脱髄の有無は伝導遅延(伝導速度低下,遠位潜時延長,F 波潜時延長,時間

経口抗がん薬における催吐性リスクについては,MASCC/ESMO ガイドライン2016 を参考に作成委員会内でコンセンサスを確認し, それ以外の薬剤については承認申請時のデータ,代表的な臨床試験の報告をもって に示すリスク分類とした。わが国で使用頻度の高いテガフール・ギメラシル・オテラシル(S-1)では,悪心の発現頻度は3~54%,Grade 3/4 は0.2~7.1%,嘔吐の発現頻度は14~28%,Grade 3/4 は1.2~4.3%と報告されており,軽度リスクに分類した。トリフルリジン・チピラシル(TAS-102)は悪心と嘔吐の発現頻度がそれぞれ48%,28%であることから中等度リスクに,アレクチニブは悪心の発現頻度が13%であり軽度リスクに分類した(→)。レンバチニブでは悪心の発現頻度が41%, Grade 3 が2.3%であり, 中等度リスクに分類した。

的分散)と伝導ブロックの存在をもって判断される.1991 年の米国神経学会

他にも各神経ブロックに合併症(治療をする上で生じえる危険)がありますが、治療前に各神経ブロックについて十分ご説明します。
その上でご理解、ご承諾を頂いてから治療を始めます。無理に治療をお勧めすることはありません。

末梢神経炎(ギランバレー症候群を含む) [*静脈内注射、*点滴静脈内注射 ..

日本語
デキサメタゾン局所添加が大腿骨近位部骨折手術における腸骨筋膜下ブロックの鎮痛効果に及ぼす影響についての二重盲検ランダム化並行群間比較試験

また末梢神経終末には、47℃以上の熱刺激や15℃以下の冷刺激、pH 6以下、トウガラシ ..

16 産科麻酔・無痛分娩(松田祐典)
1 塩化カルシウムは子宮収縮を増強することで,オキシトシンによる低血圧を予防できるか?
2 帝王切開の術後鎮痛におけるくも膜下モルヒネの至適投与量は100μgである
3 Fibtem 5分値振幅は,分娩後出血時の出血量予測に対して有用である
4 自動間歇的硬膜外注入法は,持続硬膜外注入法より優れているか?
5 デクスメデトミジンは,妊娠中の母体と胎児にどのような影響を及ぼすのか?

1 末梢神経ブロックに際し,超音波ガイドと神経刺激装置はどちらが有用か ..

血液凝固の最前線を駆ける田中健一先生に昨年に続きご講演いただきました。

グランドラウンドでのご講演では田中健一先生自身が経験された「守」「破」「離」の流れで、臨床から論文へのプロセスをご説明していただきました。「守」では80/20 rule(19世紀イタリアでは80%の国土が20%の国民に保有された)にあるように1つの専門分野に特化しアウトプットを増大させることが重要であり、それに合わせた最適なメンターや施設探しが重要であると教えていただきました。メリーランド大学でも抗HLA特異的抗体陽性で血漿交換が必要となる両肺移植の患者様の凝固モニタリングをROTEM®や血液検査を用いて数値を記録することでcase report1)にし、そこから知識をつけて、全体像を見ることができるようにしてから総説2)を作成していくという指導を実践されていました。「破」では、当時、リコンビナント活性型第Ⅶ因子やフィブリノゲン製剤の術中使用や臨床ROTEM®デバイスの使用は珍しく、これらを組み合わせて論文3) にするなど、自分の専門分野において他者が手を出していない領域に挑戦することでimpact factorの高い雑誌への採択率も上がることをご教授いただきました。最後に「離」では一旦自分の分野から離れて自分を見つめ直すことで、新たな発見があると教えていただきました。その段階として先生は、人工心肺を導入すると残存ADP凝集率が30-40%低下します4) が、採取から5日経過した濃厚血小板液の残存ADP凝集率は10%程度しかなく、輸血後の血小板上昇のみでは血小板機能は確証されない5) ため、人工心肺導入前に自己血採取をして、人工心肺離脱後に投与することで輸血量を減らすことができる可能性をお話いただきました。

出血、血液凝固、輸血は麻酔科医にとって重要なテーマですが、その分野において最前線を駆ける先生のご講演は大変勉強になりました。また研究内容・結果を論文としてスマートに読者に伝えるポイントもお話いただき、臨床から研究・論文の各分野において躍進を遂げる田中健一先生の貴重なお言葉でした。

4 TKAの術後鎮痛において,リポソームブピバカインを用いた大腿神経ブロックは有用か?


施行時は清潔野の医師の指示でエコーや神経刺激装置の操作、局所麻酔薬の注入など依頼されることがあるかもしれません。末梢神経ブロックの効果や合併症の知識に加え、処置自体の勉強もある程度行っておくといざというときに安全かつスムーズな介助が可能になります。処置中は、エコー画面や処置に医師は集中しているため、患者さんの監視は看護師に委ねられます。基本的に患者さんは意識がある状態ですので、処置の状況や今後の流れなどを説明しながら不安軽減に努め、会話の中で意識状態や表情の変化など局所麻酔薬中毒の初期症状にも注意しながら看視をします。医師も処置をしながら患者さんの感覚異常の有無を確認しますが、何かあれば伝えてもらうよう事前に患者さんに説明しておきましょう。

末梢神経炎(ギランバレー症候群を含む)〔§静注、§点滴、§筋注〕、重症筋 ..

鎮痛効果が不十分な場合は,非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用,オピオイドスイッチング,他のオピオイドを追加,投与経路の変更,鎮痛補助薬をオピオイドと併用,または神経ブロックなどを検討する。

末梢神経および脊髄・ 脳の中枢神経のさまざまな部位に損傷(切断,圧迫,炎症, 変性) ..

現在, 抗がん薬の副作用である悪心・嘔吐の評価方法としては, CTCAE (Common Terminology Criteria for Adverse Event) v4.0-JCOG が用いられているが,これは制吐療法の評価方法ではない(→)。従来のわが国の制吐療法における臨床試験では,悪心・嘔吐が「ない」,「我慢できる」から,「ほとんど食べられない」といったチェック項目を患者に提示して個々の治療効果を示してもらうなどの方法がとられていた。最近の臨床試験では,がん薬物療法施行後0~120 時間の完全制御割合,0~24 時間の完全制御割合(急性),24~120 時間の完全制御割合(遅発性)などが評価項目として用いられている()。しかし,医療者は過小評価の傾向が指摘されており,悪心・嘔吐の予測がどの程度できているかの評価も重要である。また, 患者自身による主観評価にあたる Patient-Reported Outcome (PRO) の重要性も認識されてきており, がん臨床試験における患者の自己評価に基づき, 有害事象評価の正確性と高い精度のグレーディングを追及したツールとしてPRO-CTCAEが公開されてきており(), 日常診療として客観的評価とどのようにして関連づけて評価していくか等に関する検討が必要になるであろう

5) CRPS の ECT 治療 …米良仁志, 小林如乃, 土井永史 6) 末梢神経損傷に対する生体内再生治療 …

感染を起こさないためにも神経ブロック針は使い捨てのものを使用し、清潔を保つため滅菌手袋をはめて行ないます。
また治療前に採血検査を行い、出血の危険が少ないこと(血小板や凝固系で異常がないこと)を確認して治療を始めます。