ドパミン効果主体の抗精神病薬ならびに少量のドパミン効果主体の抗うつ薬の併用による早期治療が必要と判断し、外来加療行っております。


まず、増薬のストラテジーについては、前薬の継続を対照群としたRCTについて系統的レビューが3本発表されているが、すべて、ファーストラインの治療に無ないし部分反応であった場合に、同じ投与量を続けるよりも、増量した方が有効性が高くなるというエビデンスはないと結論している[15-17]。次に、変薬については、系統的レビューが2本[18] [19]あるが、これらによると、前薬の継続と変薬のストラテジーを比較したRCTは1本しかなく、これによるとfluoxetine 20 mg/日による6週間の治療後も無反応であった者104人を、さらに6週間そのまま継続するか、ミアンセリン 60 mg/日に変薬するかで比較したところ、寛解率は18%と36%であった(p=0.10) [20]。また、変薬する薬の間での差異を検討すると、ファーストラインがSSRIであるときにSNRIのvenlafaxineへの変薬は同じSSRIへの変薬よりも有効であるようだが、それ以外に異なった薬理学的クラスへの変薬を推奨する根拠は強くなかった[19]。最後に、増強戦略については多数のRCTと系統的レビューが発表されている。もっともエビデンスが揃っているのがリチウム増強[21]、甲状腺ホルモン増強[22]、非定型抗精神病剤による増強[23]である。ほかに、ミルタザピン/ミアンセリンによる増強のRCTが3本[20, 24, 25]、ピンドロールによる増強のRCTが11本ある[26]。


メカニズムが異なるため、SSRIやSNRIとNaSSAを併用する治療法も効果的です。


1つ目はヒトで抗うつ薬で適応されているミルタザピンという飲み薬です。こちらは動物薬はまだありません。
人ではこの薬の副作用に食欲増進作用の記載はありませんが、犬や猫では食欲増進薬として使われています。薬の作用機序から食欲増進・抗悪心・制吐作用が見込まれるとされています。
腎臓病の猫達に3週間投与した海外の報告では、ミルタザピンとそれ以外で食欲増進のスコアがミルタザピンの方が明らかに高いという結果でした。

目次

1.うつ状態・うつ病における抗うつ薬の位置づけ<中村 純>
1.うつ病の診断が確定している場合に薬物療法が選択される
2.双極性障害が示すうつ状態(双極性うつ病)
3.抗うつ薬使用の原則
4.うつ病に対する薬物治療アルゴリズムの課題
5.一般的なうつ病の経過
6.薬物療法を補完する基本的な精神療法

2.抗うつ薬の種類・効果的な薬物療法<吉村玲児>
1.うつ病の多様性
2.抗うつ薬の有害事象からの薬剤選択
3.意欲・活動性低下や思考力低下が前景であるうつ病
4.不安・焦燥感が前景であるうつ病
5.食欲不振や不眠が前景であるうつ病
6.精神病性うつ病(妄想性うつ病)
7.血管性うつ病(vascular depression,post-stroke depression)

3.三環系抗うつ薬<熊田貴之,大坪天平>
1.三環系抗うつ薬の必要性
2.各三環系抗うつ薬の特徴
1.イミプラミン
2.アミトリプチリン
3.トリミプラミン
4.ノルトリプチリン
5.クロミプラミン
6.アモキサピン
7.ロフェプラミン
8.ドスレピン

4.四環系抗うつ薬・トラゾドン<富田 克>
1.四環系抗うつ薬
1.マプロチリン
2.ミアンセリン
3.セチプチリン
2.四環系抗うつ薬の適応
3.トラゾドン
4.トラゾドンの適応
5.せん妄への適応
6.四環系抗うつ薬/トラゾドンによる賦活と自殺の危険性

5.SSRI
(1)フルボキサミン<常山暢人,鈴木雄太郎,染矢俊幸>
1.用法や用量,投与期間の工夫
2.フルボキサミンの副作用と薬物相互作用
3.σ1受容体について
(2)パロキセチン<坂元 薫>
1.用法・用量
2.有効性
3.使用にあたって留意すること
4.症例
(3)セルトラリン<中野和歌子,香月あすか>
1.薬理学的特性
2.臨床効果の特徴
3.有害事象
4.症例報告
(4)エスシタロプロム<平安良雄>
1.効能,用法・用量
2.薬理学的特徴
3.有効性
4.安全性
5.薬物動態・薬物相互作用
6.高齢者
7.妊婦・産婦・授乳婦
8.身体合併症
9.治療期間
10.他剤からの置換

6.SNRI
(1)ミルナシプラン<森下 茂>
1.ミルナシプランについて
2.ミルナシプランはどのようなうつ病に効果が期待されるか
3.ミルナシプランを年齢で使い分ける
4.性別でミルナシプランを使い分ける
5.精神症状によるミルナシプランの使い分け
6.躁状態を伴ううつ病へのミルナシプランの選び方
7.ミルナシプランの用い方
(2)デュロキセチン<杉田篤子,阿竹聖和>
1.デュロキセチンが奏効した痛みと多彩な心気症状を伴ううつ病の1例
2.適応
3.用法・用量
4.利点
5.副作用
6.禁忌
7.使用上の注意点
8.薬物動態
9.薬物相互作用
10.中止法

7.ミルタザピン<堀 輝,香月あすか>
1.ミルタザピンとは?
2.ミルタザピンの薬理学的作用
3.ミルタザピンの利点
4.ミルタザピンとミアンセリンは何が違うか
5.大規模研究からみたミルタザピンの位置づけと使用方法の留意点
6.併用療法としての可能性
7.有害事象

8.スルピリド<山田和夫>
1.ドパミン神経路と生理的機能
2.ドパミン2受容体
3.スルピリドの薬理
4.スルピリドの商品名・剤型
5.スルピリドの使い方

9.抗うつ薬の効果が不十分な時の工夫―難治性うつ病
(治療抵抗性うつ病),追加療法,増強療法―<吉村玲児>

10.抗うつ薬の副作用とその対策―うつ病の多様性をめぐって―<新開隆弘>

11.抗うつ薬と他の薬剤との相互作用

12.一般身体科医と精神科医との連携<中村 純>

索引

付.抗うつ薬一覧表

ミルタザピン(リフレックス・レメロン)は、精神科で使われる抗うつ薬の1つです。うつ病、うつ状態に使われ、睡眠を助ける効果も期待します。

1970年代に入って、脳の神経伝達物質に作用する薬がパニック障害を緩和することが分かり、盛んに心の病気と脳の関係が研究されるようになってきました。
心の状態に作用する向精神薬(psychotropic drugs)も進化しており、より副作用の少ない抗うつ薬や抗不安薬などが次々と新しく登場しています。特に抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、抑うつ症状や不安症状を改善する際の第1選択薬として広い範囲で使われています。
ただし、副作用は比較的少ないものの、吐き気、下痢などの胃腸症状がみられることもあり、ごくまれに「セロトニン症候群(セロトニン過剰による意識障害や発熱)」や、「アクティベーション症候群(SSRI服用後1~2週間後に起こる情動不安)」などが起こることもあるので、容易な使用は危険です。
SSRIの後に登場したセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、セロトニンだけでなくノルアドレナリンにも作用し、脳内の神経伝達機能を正常にする目的で使われます。
また、従来から使われている抗うつ薬(三環系抗うつ薬など)も、SSRIの効きにくい人に有効な場合があり、効果の確実な抗うつ薬として現在も治療に役立っています。
(「薬いらずのメンタルケア」貝谷久宣著、主婦の友社 より抜粋)

グレリン受容体作動薬と言われるもので商品名はエンタイスです。
犬で使用でき、猫ではまだ臨床的にはたくさん使われていませんが、どのくらいの容量で服用すべきかなど報告が出てきています。
ミルタザピンは副反応を利用した薬ですが、こちらの薬は空腹になるホルモンであるグレリンという胃で分泌されるホルモンと同様の作用があり、直接的に食欲を増やすお薬です。成長ホルモン分泌促進作用もあって、筋肉が増えたり体重が増える効果が期待できます。液体のお薬でほとんどの子がお家であげられますが、お家ではあげられなくて週に1度病院に来てスタッフが飲ませていた子もいました。「これ飲ませると食べてくれるので、食べてくれるなら大変じゃないです〜」とおっしゃって1年以上通ってくださっていました。

Milnacipranとmirtazapineの併用が効果的であったうつ病の1例を経験したので若干の考察を加えて報告する。

統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)には、(1)中脳辺縁系のドーパミン神経の活動性増加が関与するという仮説があり、統合失調症の陰性症状(感情鈍麻、意欲低下など)や認知障害には、(2)中脳皮質系のドーパミン神経の活動性低下が関与するという仮説や、脳の構造変化や神経の脱落が関与するという仮説があります。抗精神病薬はこれらの神経系のドーパミンD2受容体を遮断して作用を発揮します。
脳内のドーパミン作動系には、
(1)中脳辺縁系 (2)中脳皮質系 (3)黒質線条体系 (4)結節・漏斗系
があり、これらを遮断すると、下記の作用が見られます。

抗精神病薬による副作用が誤って陰性症状ととられている場合があります。

精神症性のうつ病に対して,抗うつ薬および抗精神症薬の併用はいずれか単独の使用よりも効果的である。

効果のわりに副作用が少ない抗うつ剤としてSSRIやSNRIがありますが、これらと合わせて新規抗うつ剤と呼ばれています。

(1)投与後まもなく効果発現し、中止後まもなく効果消失するもの(その日限りの症状を緩和する薬):
鎮静作用、催眠作用、抗不安作用、など

(2)十分量・十分期間投与後初めて効果発現し、中止後しばらくして効果消失するもの:
抗精神病作用、抗うつ作用、抗躁作用、など

ですから、日によって薬を増減しても、(2)では意味がありません。


ラゾドン25mg~50mg、ミルタザピン15mg、抗精神病薬。 ..

まず、ファーストラインについては、MANGA研究の結果から、有効性と受容性のバランスを考えれば日本ではセルトラリンを第一選択と考えて良いだろう。しかし、すでにこの段階から実地臨床家は選択を迫られる。初期投与量の設定である。日本に於けるセルトラリンの標準投与量は50-100 mg/日であるが、臨床家はまず 50 mg/日を目標に投与スケジュールを組むべきであろうか、それとも 100 mg/日を目指して投与を開始すべきであろうか。Papakostasら[29]がSSRIについて複数の固定投与量を比較したRCTの系統的レビューを行ったところ、標準投与量の下限(セルトラリンなら 50 mg/日)を投与するのに比して、その2倍を投与した場合、有効性は高くなるかもしれない(RR=1.12, 95%CI: 0.99から1.27)が受容性が低くなる(RR=0.74, 0.54から1.00)ことを見いだしている。反応率(うつ病重症度が50%以上減少)で言うと51% から 55%に4%増えるかもしれないが、脱落率が10%から17%に7%増えてしまう。ただし、Papakostasらが検討した研究は、セルトラリン200mg, 100mg, 50mg, プラセボの4群を比較したFabreら[30]の研究も含めて、すべて最初から固定用量を投与するデザインとなっている。

Cmax は 36%増加したが、女性ではミルタザピンの薬物動態パ

が比較的急激に出現する。
血清CPK(特にMM型)が発症初期より急上昇。
横紋筋融解症を合併すると予後は悪い。
抗精神病薬投与開始後数日以内に発症することが多いが、長期投与でも生じうる。
→ 抗精神病薬の中止、点滴、ダントリウムの投与。

ドーパミン作動系以外の遮断による副作用としては、下記のものがあります。

レクサプロ他)などの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI ..

現在はSSRI、SNRI、NaSSaと呼称されている新規抗うつ剤の使用が主流となっています。従来使われていた三環系・四環系と呼称される抗うつ剤よりも副作用が少ない事が大きな要因です。
うつ病は、神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミン)が欠乏する事で神経間の情報伝達がうまくいかなくなる事が原因で起こります。
抗うつ剤は、神経伝達物質の欠乏を改善するメカニズムで治療効果をあらわします。 抗うつ剤の効果は遅発性であり、効果発現まで2週間~1ヶ月程度はかかる事が多く、副作用が先行して出現してしまう事がありますが、焦らず効果を待ちましょう。

(商品名:レクサプロ)とは エスシタロプラムはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)に分類される抗うつ薬で「レクサプロ ..

公表、非公表を含む77の介入試験(シタロプラム:17、エスシタロプラム:16、フルオキセチン:27、ミルタザピン:11、パロキセチン:28、セルトラリン:11、ベンラファキシン:16、 投薬群 N=19364(プラセボ群:N=6881))が解析対象となりました。

ミルタザピン錠15mg「JG」 | くすりのしおり : 患者向け情報

(1)定型抗精神病薬(第一世代)
錐体外路症状、高プロラクチン血症、遅発性ジスキネジアを起こしやすい。

①ブチロフェノン系(ハロペリドール(セレネース)など):抗幻覚妄想作用が強い。

②フェノチアジン系(クロルプロマジン(コントミン)、レボメプロマジン(ヒルナミン、レボトミン)など):鎮静作用が強い。
フェノチアジン系は顆粒球減少症(フェノチアジン系によるアレルギー反応で、投与量とは無関係。服薬3~8週に発症のピーク、死亡率20~50%。発熱、咽頭痛があり、白血球3500以下、好中球30%以下の場合は直ちに投薬を中止し、十分な抗生物質、ステロイド剤などを用いる。)、皮膚色素沈着、角膜・水晶体の混濁を起こします。

例として三環系抗うつ薬(アミトリプチン)と四環系抗うつ薬(ミルタザピン)の構造を示します。 ..

MAO阻害剤といわれるモノアミン酸化酵素阻害剤とエスシタロプラムを一緒に服用すると、脳内のセロトニン濃度が異常に高くなってしまう可能性があり、副作用が強く出てしまう恐れがあるため併用できません。

た。 3週間後では寛解に至らなかった患者をセルトラリン継続群、セルトラリンと

不安に対する作用の強いSSRI、意欲・易疲労感に対する作用の強いSNRI・NaSSAに大別されます。

レクサプロ, エスシタロプラム, SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)

カルバマゼピンは「テグレトール」という商品名で販売されているお薬で、双極性障害(躁(そう)うつ病)における躁状態やてんかん、三叉神経痛などに対して使用されます。

抗うつ薬の種類・効果効能・副作用の解説 | 国分寺 精神科 心療内科

また、エスシタロプラムを服用することで心臓疾患を悪化させる可能性があります。心不全や不整脈を有する患者さんは病状によっては服用することができません。

ミルタザピン錠15mg「ニプロ」の効果・効能・副作用 | 薬剤情報

増薬というストラテジーにはこれに効果があるとする系統的レビューがないので、今回は検討の対象としない。増強については上述のように複数の増強戦略についてRCTが行われているが、このうち、現在の日本の保険制度で使用可能なのはミルタザピンおよびミアンセリンによる増強のみである。さらに、増強と変薬といずれがより効果と受容性のバランスでまさっているかは、やはり上述のように、誰も知らない。いつファーストラインに見切りを付けてセカンドラインを考慮すると良いのかも、分かっていない。複数の選択肢について一挙に回答を出す臨床研究を行うことは不可能であるので、われわれは今回の研究ではSSRIを継続する選択肢と比較して、MANGA研究でもっとも有効性が高かったミルタザピンへの変薬と、複数のRCTが有効性を示唆しているSSRIのミルタザピンによる増強とを比較検討することにした。

【コラム】リフレックス・レメロン(成分名:ミルタザピン)の効果・副作用について · 1.リフレックス・レメロンの分類

ミルタザピンへの変薬がセカンドラインの候補となる理由は以下の通りである。①MANGA研究で、ミルタザピンは有効性が最も高い新規抗うつ剤であった。受容性においてやや劣るためファーストラインとはならなかったが、ファーストラインの抗うつ剤に対して無ないし部分反応の患者に対し、より有効性が高いミルタザピンを考慮するのは当然であろう。②2剤の併用による増強療法は単剤による治療よりも既知および未知の副作用のリスクが大きくなるので、単剤治療をまず考慮すべきであるという議論が成立する。

医療用医薬品 : リフレックス (リフレックス錠15mg 他)

これら以外にも併用するには注意が必要なお薬がいくつかあります。現在エスシタロプラム以外に服用しているお薬がある場合は医師・薬剤師に相談してください。また、妊娠中の方や授乳中の方は胎児や母乳中へエスシタロプラムが移行することがわかっているため服用の必要性を確認するようにしてください。