リメタゾン® (Dexamethasone Palmitate)は、デキサメタゾンに脂肪乳剤を結合させた薬
19:424-430,1992 漿膜炎(1点)、DIC(2点)、血球貪食症候群(2点)、好中球比率85%以上(1点)、フェリチン濃度3,000ng/mL以上(1点)、著明なリンパ節腫脹(1点)、プレドニン換算0.4mg/kg以上でも治療抵抗性(1点)の7項目の点数(0~9点)を合計し3点以上で重症、2点で中等症、1点以下で軽症とし、中等症以上で医療費助成対象となる。(難病情報センター 成人スチル病より) 軽症例はNSAIDsのみで軽快することもある(7~15%)が、通常ステロイド投与が必要となる。発熱・関節症状・皮膚症状にとどまる場合や軽度の臓器障害にとどまる場合は中等量以下(PSL 0.5mg/Kg程度かそれ以下)、高度の臓器障害(肝障害など)を伴う場合は大量(PSL 1mg/Kg程度)でステロイドを投与する。重篤な肝障害・血球貪食症候群などの場合は、ステロイドパルスを実施する。ステロイドの減量が困難な場合やステロイド抵抗性の場合は免疫抑制剤を追加する。 免疫抑制剤は、メトトレキサート(MTX)の使用報告が多い。他にシクロスポリン(cyclosporin)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)などが使用される。スルファサラジン(Sulfasalazine)は、成人スティル病では副作用が出やすく避けたほうがよい。MTXは、成人スティル病の関節症状に対して効果があるとされる。 ステロイドに抵抗性の場合は、トシリズマブを8mg/kgを2週間隔での点滴も考慮される。IL-6作用を反映するCRPを指標に1週間まで投与間隔短縮も可能である。成人スティル病は汎血球減少や骨髄での血球貪食像を呈するマクロファージ活性化症候群(MAS)へと進展することがあり、トシリズマブ投与中にMASが発現した場合は投与を中止し、MASの治療を行う。なお、成人スティル病は薬剤アレルギーを生じやすいとされており、疾患活動期には投薬を最少にする。 成人発症スチル病に、マクロファージ活性化症候群(MAS: macrophage activating syndrome)、反応性血球貪食症候群(HPS: reactive haemophagocytic syndrome)を合併することは珍しくなく、12%で見られたとの報告がある。また骨髄での貪食像が見逃されている可能性もあり、実際の頻度は高いと考えられている。発熱、肝脾腫、リンパ節腫脹、汎血球減少、著しい血清フェリチン上昇、糖鎖フェリチン割合の低下(20%以下)、トリグリセリド上昇、肝酵素上昇を伴っている。Tリンパ球とマクロファージの活性化と増殖により、高サイトカイン血症と血球貪食が引き起こされる。 成人発症スチル病と血球貪食症候群は、臨床像や検査異常が類似し、共通の機構が示唆される。リポ化ステロイド(デキサメタゾンパルミチン酸エステル)、免疫グロブリン大量療法、ステロイドとcyclosporinやcyclophosphamideなどの免疫抑制剤の併用、血漿交換療法などによって加療された報告がある。 (sJIAでの感度73%、特異度99%であるが、成人スティル病においても有用とされる) sJIAと診断または疑われる場合で、発熱がある患者で、血清フェリチン>684 ng/mLであり、さらに以下のいずれか2つを満たす(血小板減少≦18.1万/μL、AST上昇>48 IU/L、TG上昇>156 mg/dL、フィブリノーゲン≦360 mg/dL)
[PDF] 合成副腎皮質ホルモン剤 デキサメタゾンパルミチン酸エステル注射液
図「新型コロナウイルス感染症の重症患者に投与される治療薬の作用機序」に重症患者に投与されるデキサメタゾン、トシリズマブ、バリシチニブが働くメカニズムを簡単に示しました。薬によって作用メカニズムは異なります。デキサメタゾンは副腎皮質ステロイドの一種で、免疫全般、特にマクロファージからの炎症性サイトカインの産生を抑えます。
イスラエルの研究者がNatureグループのScientific Reportsに今年報告したのじゃが、骨髄細胞をマクロファージに分化させてデキサメタゾン(合成ステロイド)と培養すると、30%がアポトーシス(細胞死)してしまう。ところが、LPSで活性化しておくとマクロファージは細胞死をほとんど回避出来る。その仕組みとして、ステロイド抑制型の受容体がLPSで誘導される可能性が示唆されておるのじゃ。これまで、LPSは不思議とステロイドと併用しても皮膚の状態を改善する結果があることが知られていたが、LPSの有用な理由が、また見つかったようじゃのう。