1) 標準寛解導入療法(ビンクリスチン,ドキソルビシン,デキサメタゾン(short VAD 療法)を2コース実施。


ASCO ガイドライン2017 によれば,遅発性嘔吐は,程度としては軽度なものが多いが,急性嘔吐の対処が不十分なときに起こりやすいとされる。治療としては副腎皮質ステロイド(経口デキサメタゾン)が推奨されており,メトクロプラミドや5-HT3受容体拮抗薬とも併用される。しかし,デキサメタゾンに加え5-HT3受容体拮抗薬を併用しても制吐効果の増強は得られない。さらに,急性嘔吐を認めた場合にはこれら2 剤を併用しても効果は不十分であるとされているため,抗がん薬の催吐性リスクや患者の状態に応じていずれか一方の使用にとどめるべきと思われる。


シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+デキサメタゾン

薬剤の催吐性リスク分類は単剤での評価が基本であるが,同一薬剤であっても投与量,投与法によって異なり,さらに近年ではいずれの悪性腫瘍においても多剤併用療法が主流となっているため,催吐性リスクが過小評価とならないよう細心の注意を払うべきである。この点に関して,アントラサイクリンとシクロホスファミドの併用療法について,それぞれ単剤(シクロホスファミド≦1,500 mg/m2)では中等度リスクに分類されるが,NCCN ガイドライン2017 では高度リスク群として明記され,MASCC/ESMO ガイドライン2016 およびASCO ガイドライン2017 においても嘔吐頻度が高いことが示されている〔→参照〕。さらに,抗がん薬を複数日にわたって施行するレジメンの場合,薬剤の投与順序に応じて急性嘔吐と遅発性嘔吐が重複する場合もあり,より綿密な治療計画が望まれる。その一例としてリンパ腫におけるESHAP 療法では,1 日目から4 日目は中等度リスクとして対処し,高用量シタラビンが投与される5 日目以降は高度リスクとして対処する。

NCCN ガイドライン 2015 では,アプレピタントの代わりに多受容体作用抗精神病薬(MARTA)であるオランザピンをパロノセトロンとデキサメタゾンと3 剤併用で用いるオプションが示された。さらに同2017では,新たにアプレピタント(またはホスアプレピタント),パロノセトロン,デキサメタゾンの3剤併用にオランザピンを加えるレジメンも提示された。これらは,シスプラチンとAC療法を含む高度リスク抗がん薬投与に際し,オランザピンが,パロノセトロンとデキサメタゾン併用下においてアプレピタントと同等であることが示された第Ⅲ相ランダム化比較試験や,アプレピタント(またはホスアプレピタント),パロノセトロン,デキサメタゾンの3剤併用にオランザピンを加える有用性が示された第III相ランダム化比較試験の結果を受けている。ASCO ガイドライン2017 でもオランザピンを加えた4剤併用が推奨療法として追加された。オランザピンはわが国でも複数の臨床試験が行われた。オランザピンは公知申請により2017 年6 月から,他の制吐薬との併用において成人では5㎎ を1 日1 回経口投与(患者状態により最大1日10㎎ まで増量可能),最大6 日間を目安として先発品と一部の後発品で保険下にて使用が可能となった。本邦における推奨用量,使用方法については未だ検証段階であるため,適切な患者に慎重に投与することが望まれる。慎重投与すべき患者としては,糖尿病患者ならびに高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者であり,使用に際しては副作用の傾眠や血糖上昇に十分注意する。高齢者への投与も慎重に行うべきである。作用点が重複するドパミンD2 受容体拮抗薬ドンペリドン,メトクロプラミド,ハロペリドール,リスペリドンなどとの併用は勧められず,また,睡眠薬との併用には注意を要する。投与量に関してはランダム化第Ⅱ 相試験ではあるが,高度リスク抗がん薬投与に対し3剤併用に加えたオランザピン5 ㎎ と10 ㎎では遅発期の悪心・嘔吐の制御において同等であったとの報告もある

ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。 ..

NK1受容体拮抗薬であるアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与と5-HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾン9.9 mg 静注(12 mg 経口)の3 剤併用が推奨される。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの2 剤併用に比べ,アプレピタントを加えた3 剤を併用することで制吐作用の著しい改善が示されている。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬(→ 参照)は,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,薬剤間またその投与経路によって効果に大きな差はなく,用量や投与回数の影響を受けないことから,抗がん薬投与開始前に必要量を単回投与とする。第2 世代5-HT3受容体拮抗薬のパロノセトロンは,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,急性嘔吐の予防効果は他薬剤と同等であるが,遅発性嘔吐の予防において優れている(→ 参照)。デキサメタゾンの用量(→ 参照)については,第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬との2 剤併用では13.2~16.5 mg を静注(16~20 mg を経口)とされてきたが,アプレピタントとの併用では,アプレピタントがCYP3A4 を阻害することによりデキサメタゾンの濃度-時間曲線下面積(area under the concentration-time curve; AUC)が増加するため,3 剤併用では9.9 mg 静注(12 mg 経口)に減量する。ただし,副腎皮質ステロイドが抗がん薬として投与されるCHOP 療法などではレジメン内のステロイドは減量してはならない。アプレピタントの投与期間は3 日間が推奨される。ホスアプレピタントはアプレピタントの水溶性を向上させたリン酸化プロドラッグであり,静脈内投与後に体内の脱リン酸化酵素によって速やかに活性本体であるアプレピタントに変換される。ホスアプレピタントはオンダンセトロン,デキサメタゾンとの3 剤併用でアプレピタントとの同等性が示されており,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下での抗がん薬投与30 分前,150 mg の単回使用が推奨される。ただし,副作用として注射部位痛/発赤/血栓性静脈炎の頻度が高いことに留意すべきである。

抗がん薬投与後,24 時間以内に出現する急性嘔吐は,抗がん薬の治療アドヒアランスを妨げる最も大きな要因の一つであり,その予防制吐効果の成否は遅発性嘔吐の治療効果にも影響を及ぼす。したがって,特に催吐性リスクが高度および中等度の抗がん薬投与に際しては,急性嘔吐を未然に防ぎ,さらに遅発性嘔吐の治療反応性を良好に保つためにも,積極的な制吐薬の投与を行う必要がある。以下に急性嘔吐の予防を目的として,抗がん薬投与前に行うべき対処を催吐性リスク別に概説する。

リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾンを含む高用量化学療法。 BR療法

また,高度・中等度リスクの経口抗がん薬に対して,MASCC/ESMO ガイドライン2016 では,5-HT3受容体拮抗薬,副腎皮質ステロイドの2 剤併用が推奨されている。NCCN ガイドライン2017 では,5-HT3受容体拮抗薬の経口連日投与が推奨されているが,シクロホスファミド,エトポシド,テモゾロミドでは,日常臨床において治療目的や放射線治療併用のために副腎皮質ステロイドが併用されていることが多い。

軽度リスクの経口抗がん薬に対して,MASCC/ESMO ガイドライン2016 では,制吐薬3 種類(5-HT3受容体拮抗薬,デキサメタゾン,ドパミン受容体拮抗薬)を単剤で使用することが勧められているが,最小度リスクに対する制吐薬の予防的使用は推奨されていない。一方,NCCN ガイドライン2017 では,軽度・最小度リスクの経口抗がん薬を含めて,悪心・嘔吐が生じた際にメトクロプラミド,プロクロルペラジン,5-HT3受容体拮抗薬などの連日投与(必要に応じてオランザピンやロラゼパムを併用)が推奨されている。しかし,経口抗がん薬に対する制吐薬の比較試験がないため,これらの推奨される制吐療法の信頼度は低い。ただし,これらの経口抗がん薬の有効性のエビデンスを示した比較試験のプロトコールをみると,Grade 2 の悪心・嘔吐が発現した場合にはおおむね支持療法を行うかまたは休薬し,支持療法によってコントロールできない場合には,投与量を一段階減量する,さらにGrade 3 の悪心・嘔吐が発現した場合は,投与量を一段階減量することが一般的である。したがって,がん薬物療法のエビデンスを示した臨床試験のプロトコールを参考に,日常臨床で使用されている薬剤を使用するほか,食事の工夫,カウンセリングなどの支持療法を実施し,コントロール不良の際は休薬し,抗がん薬を一段階減量して再開するという原則を守り,Grade 3 以上の悪心・嘔吐を発現させず,Grade 2の悪心・嘔吐が継続しないように内服を継続することが求められる。

(7) 骨髄腫に対するVAD療法(ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン併用) ..

StageⅠ-Ⅱ1 の DLBCL については,胃癌に準じた D2 郭清を伴う胃切除術を行うことにより,手術単独による治療でも90%程度の5年生存率を得ることができるとの報告がある。しかし,再発は5年を過ぎてもみられている。外科的切除後の再発の特徴は遠隔のリンパ組織に再発している点である。DLBCL は一般に放射線治療と化学療法の組み合わせで治療されているが,手術は局所療法であり,強いていえば放射線治療に置き換わるものである。したがって,何らかの理由で照射を避け,外科治療を行った場合には,化学療法を追加しない限り,標準療法と同等とはいえない。反面,化学療法を行わない場合でも,胃癌に準じた手術を行うことにより,治癒の可能性は残される。
手術療法の適応は限られるが,非外科的治療中に起きた大量出血や穿孔などの合併症への対処と,稀な不応例に対する salvage としての外科治療は今後も行われることになる。合併症が起きた場合には骨髄抑制の最中に緊急手術を行うことになり,手術のリスクは高い。しかし,その後も同様の治療を継続することを考えると,合併症のもととなった胃病変を残すことは賢明とはいえないので,可能な限り主病巣の切除を行うことになる。系統的なリンパ節郭清にこだわらず,必要最低限の手術にとどめるのが現実的であると思われる。一方,治療不応例に対しては,外科治療で根治を求める立場から,胃癌に準じたリンパ節郭清を伴う根治的な手術を行うことになる。占居部位や腫瘍の大きさゆえに胃全摘が必要となる可能性が高い。
なお,わが国における非外科的治療を検証する第2相試験では,StageⅠ-Ⅱ1症例52例が集積され,48 例で CR が得られ,salvage surgery は不応例2例に行われたのみであった。穿孔や大量出血は認められず,94%の2年生存率が報告されている。

以前よりわが国では,経口抗がん薬のうちフッ化ピリミジン薬の使用頻度が高く,大腸がんにおけるUFT/ロイコボリン,カペシタビン,胃がんにおけるS-1,肺がんにおけるUFT は比較試験により術後補助薬物療法の有効性が示されている。また,切除不能再発胃がんや大腸がんに対しても,S-1 やカペシタビン,UFT/ロイコボリン,大腸がんにおけるTAS102(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)は,ガイドラインで推奨されている治療の一つである。これらの経口抗がん薬は単回での催吐性リスクは少ないが,連日内服による消化器症状がある。


• デキサメタゾンは血糖上昇や不眠、骨量低下等の副作用を有する


手術後化学療法3~4コースの治療群と化学療法単独群の治療成績は変わらないという報告もあるが,ドイツや日本から報告されたように手術した場合と化学療法放射線併用し,胃を温存した場合の全生存は変わらないため,現在では手術の適応は穿孔や止血困難な出血がある場合などに限られている。化学療法による組織の壊死で穿孔や出血が生じる可能性があるため手術が治療法の選択にあげられるが,壊死や穿孔のリスクの高い症例を明確に示唆するものは報告されていない。
胃原発を含む限局期 DLBCL は,巨大腫瘤病変や予後不良因子(61歳以上,病期 Ⅱ期,血清 LDH 高値,PS2 以上)を認めない限局期において CHOP 療法3コース後放射線治療群と CHOP 療法8コース群を比較した結果,CHOP 療法後放射線治療群は5年の無増悪生存率が77%,全生存率が82%と CHOP 療法単独群より有意に優れていたため CHOP 療法3コース後放射線治療群が予後不良因子のない標準治療となった。しかし,① 長期間のフォローアップをすると CHOP 療法 3コース+放射線治療群で晩期再発が多い傾向がみられる,② CHOP 療法8コース終了後放射線治療(30Gy)の有無で比較した臨床試験で,放射線治療追加群は無病生存期間の延長や局所コントロールは可能になるが全生存期間は変わらない,60歳以上のリスク因子のない患者では CHOP 療法 4コースと CHOP 療法 4コース実施後放射線治療(40Gy)群との無作為比較試験の結果で全生存期間は変わらないなどの報告があり,放射線治療の位置づけはやや不明瞭とも考えられる。ただし,対象患者が少し異なることや長期間のフォローが完全でないことなどから現時点で放射線治療が不要と結論づけることはできない。
限局期胃 DLBCL のような予後良好群に R-CHOP 療法を行うことで,さらに治療成績を改善させられるかが議論されてきたが,(1)前述したように進行期DLBCLの標準治療は R-CHOP 療法であることと,(2)主に限局期 DLBCL を対象とした臨床試験(MInT study)において IPI=0 の低リスク群においてもリツキシマブ併用化学療法が化学療法単独に比べてすぐれた結果を示していること,(3)historical control との比較で,preliminary なデータであるが,限局期 DLBCL 全体では R-CHOP 療法+放射線治療の成績が CHOP 療法+放射線治療より良好なため,実際は RCHOP 療法+放射線治療が行われることが多い。そのため,現在の治療方針として NCCN のガイドラインでは,① 前述の予後不良因子がない場合は R-CHOP 療法3コース後放射線治療,② 予後不良因子がある場合は R-CHOP 療法 6~8コースもしくは R-CHOP 療法3コース後放射線治療が推奨されるとなっているが,PET を用いた治療効果判定基準が提唱されており,今後化学療法後放射線治療の対象となる患者は減少するかもしれない。また,胃腫瘤の大きさと治療方法の選択にコンセンサスのある明確な基準はないが,参考として NCCN ガイドラインでは10cm以上の巨大腫瘤病変がある場合は R-CHOP 療法6~8コース後放射線治療が推奨されるとなっている。

Hyper-CVAD療法ではシクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾンの併用療法です。

※皮膚がん、骨軟部腫瘍、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など「がん種別」にない場合は「部位別」から検索してください。

VAD療法(ブイエーディーりょうほう) とは? 意味・読み方・使い方

※皮膚がん、骨軟部腫瘍、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など「がん種別」にない場合は「部位別」から検索してください。

抗癌剤のビンクリスチン・アドリアマイシン(ドキソルビシン)と抗炎症薬のデキサメタゾンという3種類の薬剤を併用する、多発性骨髄腫の化学療法。


DLBCL は進行期であっても治癒が望める悪性腫瘍であり,全身性の DLBCL と考え,手術や放射線治療のような局所療法単独治療は行わない。現在では,成人の全年齢層において抗 CD20 モノクローナル抗体(リツキシマブ)併用 CHOP(シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾロン)療法(R-CHOP 療法),6~8コースが基本的な標準治療である。国際予後指標(InternationalPrognostic Index;IPI)での予後不良因子(61歳以上,病期Ⅲ以上,PS2 以上,血清 LDH 高値,節外病変 2個以上)が 3個以上ある場合は予後不良であり,RCHOP 療法6~8コースを実施するか,臨床試験として自家造血幹細胞移植併用の大量化学療法(HD-SCT)や新規薬剤による治療などが実施される。

ダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(DBd)療法

1) 佐伯俊昭.制吐薬適正使用ガイドラインに関するアンケート調査.癌と化療.2015; 42: 305-11.

シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+PSL

現在, 抗がん薬の副作用である悪心・嘔吐の評価方法としては, CTCAE (Common Terminology Criteria for Adverse Event) v4.0-JCOG が用いられているが,これは制吐療法の評価方法ではない(→)。従来のわが国の制吐療法における臨床試験では,悪心・嘔吐が「ない」,「我慢できる」から,「ほとんど食べられない」といったチェック項目を患者に提示して個々の治療効果を示してもらうなどの方法がとられていた。最近の臨床試験では,がん薬物療法施行後0~120 時間の完全制御割合,0~24 時間の完全制御割合(急性),24~120 時間の完全制御割合(遅発性)などが評価項目として用いられている()。しかし,医療者は過小評価の傾向が指摘されており,悪心・嘔吐の予測がどの程度できているかの評価も重要である。また, 患者自身による主観評価にあたる Patient-Reported Outcome (PRO) の重要性も認識されてきており, がん臨床試験における患者の自己評価に基づき, 有害事象評価の正確性と高い精度のグレーディングを追及したツールとしてPRO-CTCAEが公開されてきており(), 日常診療として客観的評価とどのようにして関連づけて評価していくか等に関する検討が必要になるであろう

ドキソルビシン25mg/㎡ day1,15、ブレンツキシマブ ベドチン1.2mg/kg day1 ..

経口抗がん薬における催吐性リスクについては,MASCC/ESMO ガイドライン2016 を参考に作成委員会内でコンセンサスを確認し, それ以外の薬剤については承認申請時のデータ,代表的な臨床試験の報告をもって に示すリスク分類とした。わが国で使用頻度の高いテガフール・ギメラシル・オテラシル(S-1)では,悪心の発現頻度は3~54%,Grade 3/4 は0.2~7.1%,嘔吐の発現頻度は14~28%,Grade 3/4 は1.2~4.3%と報告されており,軽度リスクに分類した。トリフルリジン・チピラシル(TAS-102)は悪心と嘔吐の発現頻度がそれぞれ48%,28%であることから中等度リスクに,アレクチニブは悪心の発現頻度が13%であり軽度リスクに分類した(→)。レンバチニブでは悪心の発現頻度が41%, Grade 3 が2.3%であり, 中等度リスクに分類した。

デキサメタゾン40mg(内服)day8,22 [デキサメタゾン40mg/週]

がん患者では,抗がん薬以外にも支持療法や併存症に対する治療薬を併用している場合が多いため,薬物相互作用によるそれぞれの薬効の変化にも留意した選択・用量調節が必要である(→)。

20mg/body day1,4,8,11 day1,2,4,5,8,9,11,12

【11.1.1】末梢神経障害(神経麻痺,筋麻痺,痙攣等)〔運動性ニューロパチー(筋麻痺,運動失調,歩行困難,痙攣,言語障害,筋萎縮等),感覚性ニューロパチー(知覚異常,知覚消失,しびれ感,神経痛,疼痛等),自律神経性ニューロパチー(起立性低血圧,尿閉等),脳神経障害(視神経萎縮,味覚障害,眩暈,眼振等の平衡感覚障害等),下肢深部反射の減弱・消失等が発現。[8.1参照]〕【11.1.2】骨髄抑制〔汎血球減少,白血球減少(15%),血小板減少(4.8%),貧血(1.6%)が発現。なお,致命的な感染症(敗血症,肺炎等)や臓器出血等に至ったとの報告。[8.2参照]〕【11.1.3】錯乱,昏睡〔倦怠感,錯乱,昏睡,神経過敏,抑うつ,意識障害等が発現〕【11.1.4】イレウス〔腸管麻痺(食欲不振,悪心・嘔吐,著しい便秘,腹痛,腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来たし,麻痺性イレウスに移行することがある。腸管麻痺が現れた場合には投与中止。腸管減圧法等を行う〕【11.1.5】消化管出血,消化管穿孔〔致命的な出血や腹膜炎に至ることがある〕【11.1.6】抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)〔低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム増加,高張尿,意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群が発現。投与中止。水分摂取の制限等を行う〕【11.1.7】アナフィラキシー〔アナフィラキシー(蕁麻疹,呼吸困難,血管浮腫等)が発現〕【11.1.8】心筋虚血〔心筋梗塞,狭心症,心電図上虚血所見が発現したとの報告〕【11.1.9】脳梗塞【11.1.10】難聴〔一過性又は永続的な難聴が発現〕【11.1.11】呼吸困難及び気管支痙攣【11.1.12】間質性肺炎【11.1.13】肝機能障害,黄疸〔AST,ALT,γ-GTP,ALP上昇等を伴う肝機能障害,黄疸が発現〕