ニューロマンサーロボコップ鋼の錬金術師(オートメイルは違うかな?) コブラ銀河鉄道999
う〜む。
総合評価があまりに高い事にちょっと違和感を抱いてしまった。
原作をよくご存知の方ならばこの忠実な映像の評価が高い事はわかる。
しかし、そうでなければIMAXでの映像美に恐ろしく感動した人でもない限り、本当にそんな高評価になるのだろうか?
台詞で多くを語らないヴィルヌーヴと、詳細な世界設定の描写が魅力の一つでもある「砂の惑星」の相性はどうなのだろうか。
そりゃあ、個人的には「指輪物語」(以下LotR)と双璧を為すSF古典の最高傑作だと思ってる。
過去の技術では映像化困難であり、それを今回ついに見事な映像化に成功という点もLotRと同じである。
サイエンス・フィクションの祖と言えばヴェルヌの月世界旅行かウェルズのタイムマシンや宇宙戦争である事に異を唱える人はいないだろうが、それから約100年後「砂の惑星」の原作が書かれた当時はクラークやアシモフ、ハインライン等の活躍を経てスペースオペラやハードSFなどのジャンルがすっかり確立し、現在に通じるあらゆるSF的ギミックはすでに発明され尽くしたように思われた。
そんな中で「コンピューターとロボットを一切排した」本作の価値は凄まじい功績を残したと言えよう。
その影響力たるやスターウォーズの辺境惑星タトゥイーン、スタートレックで最も有名な地球外惑星であるバルカン星、栗本薫グインサーガの辺境ノスフェラス、寺沢武一コブラの惑星ザドス、宮﨑駿のナウシカやラピュタに見られる世界観など枚挙に暇が無い。
LotRが「ファンタシー世界の詳細な創造」だとすれば、本作は「スペースオペラにおいて、宗教や文化や政治経済や哲学や生態系、すなわち社会的意味合いでの『世界』を詳細に一から創造する」という事をやってのけた画期的作品だと考える。
ヒューゴー賞、及び第一回ネビュラ賞の受賞も当時のSF界事情を思えば納得だ。
しかしだねぇ。
初見の人が本作を観て、描き込まれたメインキャラ達の複雑な人間関係や内面描写、心情変化を汲み取れるだろうか?(いや、汲み取れるはずがない・反語)
わかるはずないよね、説明も言語外描写もほとんど無いもん。そもそも設定自体が複雑なんだから、いくらなんでもこんな少ないセリフだけで理解しろってほうが無理。原作は、背景描写も心情描写も非常に丁寧に描き込まれているんだから。
せめてジェシカとレト公爵との深い愛情、それ故のベネ・ゲゼリットとの葛藤、ポール出生の秘密(公爵は男児、ベネゲゼは女児を望んでおり、ジェシカは自分で赤児の性別をコントロール出来る)などが「誰にでもしっかりとわかる」ように作ってくれないと、予備知識の無い観客には作品の価値がまったく伝わらないんじゃないかなぁ・・・。
ハルコンネンの襲撃時にメランジで覚醒したポールがジェシカ自身も知らない秘密を知り、己の未来まで視えてしまって気も狂わんばかりの深い絶望に捉われる。それを抑え込んでいるからこそフレメンの部族と出会った辺りは感情の起伏が小さい演技になるのだろうがそれも伝わらない。
(それどころかポールがジェシカの◯◯に気付いたシーンを、マザコンが母を異性として意識したみたいな解釈しちゃってるレビューもあったよぅ。誤解だよー!そゆ人は続編は観てくれないだろうなぁ・・sigh)
過剰に進化したAIと人類の世界戦争という前史がある事。その為、AIの製作や研究が禁止され、メランジで意識拡張しての超常能力発揮やメンタートなど人間コンピューター的な能力が開発されている事(F.S.Sファイブスターストーリーズのファティマの源流だろね)。
コンピュータ関連の使用が全面禁止だから、やたらアナログな世界なんだという事もおそらく大多数の観客には伝わらない。
いくら起承転結の「起」だとしても、これらの設定や伏線が伝わってこそ物語が動き出したあとの深みが出てくるんじゃないのか?
結局、「映画」というよりは「出来の良いイメージ映像ビデオ」を観ている感じだ。「物語は原作読了済みで知っている事を大前提にして、作品に忠実な真に迫る映像だけを制作した」って事なら大絶賛の星5なんだけど。
でも、そうじゃないよね?(原作ファンの星5は、この評価軸でもいいんだけどね)
LotRは第一部、第二部、第三部、それぞれ単体の単独作品として観ても非常に面白かったぞ?(まぁ、私の生涯ベスト1に、今のところ選んでいるしw)
だから、随分と高評価が多いのはちょっと疑問なんだ。「本当に映画として面白かったのかな?ストーリー、きちんと理解して貰えたのかな?」って。
昔、マトリックスが大流行した時にも似た感情を味わった。
だってね?日本におけるインターネット普及率2割の頃よ?しかも、その2割の中にニューロマンサー読者やブレラン鑑賞者がどれだけいるか?
(江川達也の「BE FREE」や末松正弘「右曲がりのダンディー」などでは80年代にすでに電脳空間ネタあったけど)
サイバーパンクを断片でもかじってなきゃマトリックスの基本設定すらわかるはずがない。だから、あの爆発的ヒットは本っ当に不思議だった。
まぁ、最初っからストーリーを理解して貰う事は捨てて、ひたすらスタイリッシュで斬新でカッコいい映像を撮る事に振ってきた感があるし、実際大当たりもした。衝撃的な映像体験だと感じた人も多かろう。
ただ「マトリックス」の場合は「時代が作品に追いついていなかった」という点が最大の理由だが、本作「砂の惑星」の場合は純粋に脚本の問題だ。
本当は誠実な作りなのに、一見、味を捨ててインスタ向けの「映え(ばえ)」に特化してきた料理のようにさえ見えてしまう。
どこか素直に頷けない不完全燃焼な想いが残ったのは事実である。
これ単体ならリンチ版と総合点はどっこいかも?(オーニソプターは断然ヴィルヌーヴだけど。あと、リンチ版の悪趣味アレンジよりは「忠実」が好みではあるんだけど
※私はリンチ版も好きですw)
馬鹿正直に物語のド真ん中までをpart1にしなくても、贅沢に尺を使うのは後半の方が良くないか?
映像美は、ホント素晴らしいんだけどね。
まぁ、本作でのフラストレーションはpart2での大いなるカタルシス効果に繋がるって事なのだろう。
評価、本当に迷う作品だ。困ったものである。
(劇場公開期間中に鑑賞出来ていたなら「part2制作への協力」として5をつけただろけど、制作決定したみたいだからもういいよな?(笑))
(あと、ティモシー・シャラメにはぜひエルリックを演って欲しいと思った。ムアコックは以前ポール・ベタニー希望と言ったそうだが流石に歳でしょ。映画化の話も頓挫っぽいし、誰かエルリック創ってくれぇ〜wそれこそヴィルヌーヴが良きかも?)
ちいかわに出てきた「びんよよ」ってなる珍武器、「ニューロマンサーの謎暗器コブラでは…!?」と思ったら、同じこと言ってる人が結構いてシックリ
ニューロマンサー
ロボコップ
鋼の錬金術師(オートメイルは違うかな?)
コブラ
銀河鉄道999
FF7(バレットとか)
スタートレック
フロント・ミッション(BDとか)
シャドウ・ラン
ビジュアル的な部分は兎も角、名称としてはモノの元祖『ニューロマンサー』に出てくる謎武器「コブラ」あたりがだろうか…
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鼓舞羅(こぶら)は「ニューロマンサー」というクラブのケツ持ちをしていて愚連隊の総長です。
In Neuromancer, what does Cases cobra look like
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